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魔術師の異世界ラプソディー  作者: 木林森
2章 焔帝と英雄(ドラゴンスレイヤー・ベイオルフ)
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結果

「アカツキジンノ様ですね?」

「はい、そうです。」

「では、おかけください。」

 俺が中に入ると、ギルドの職員さんが俺の事を確認した後に席を勧める。

「では、さっそく。……未だに信じられませんが、かの伝説の火龍を激戦の末破り、契約までしてのけたと。様々な属性の上級呪文を無詠唱、かつ同時に使用し、それを組み合わせる機転も見せた。さらには未知の魔法、つまり自分で開発したと思われる魔法をいくつも使用、しかもかなりレベルの高いものを。しかも発動までのタイムラグも短い。……しかも道中ではサラマンダーの成体を2匹同時に相手しても赤子の手をひねるように一瞬で倒した。……あなた本当に人間ですか?」

「自覚はあります。」

 この職員さん、かなり失礼。この人はギルドのお偉いさん、会社で言うと専務くらいの人だ。昨日のデスマーチにもいた。

「こんなことしてのけるのは初めてですよ……正直、評価が出来ません。」

 そういって頭を抱える。

「ですが、そんなこと言ってもしょうがありません。」

 そういって紙を俺に渡してくる。俺はそれを受け取る。


「おめでとうございます。貴方は正真正銘、この世で3人目の『SSランク』です。」

             __________________

 2人目に並んでいたライナーが部屋に通される。

(まぁ、正直サラマンダーの成体も仕留めたから悪い結果にはなるまい。)

 ライナーはそう考えて鷹揚に腰かける。

「お見事です。サラマンダーの成体を仕留めましたね。圧倒的なスピードと機転、それに力を使いこなしましたね。貴方は……。」

 職員はライナーに紙を差し出す。

「文句なしのSランクです。」

「ありがとう。」

 ライナーは口先だけでお礼を言いながら席を立つ。

(どんなに褒められても、アカツキには勝てないよなぁ。)

             __________________

 ルドルフが席に座る。

「サラマンダーの成体を仕留めましたか。お見事です。上位魔法の同時発動も見せ、また発動までのタイムラグもとても短いです。」

 ギルドの職員が何事かを言っているが、ルドルフの耳には入らない。

(アカツキ殿と比べるのはバカらしいのは分かっておるが……悔しいのう。)

「貴方は、文句なしのSランクです。」

「すまんの。」

 吐き捨てるようにお礼をいうと、ルドルフは勢いよく立ちそのまま部屋を去る。

(もっと精進せねばな。)

             __________________

 レイラが着席を促され、あわてて席に座る。

(うう、緊張するなあ……。Aランク、いけてるといいなぁ。)

「サラマンダーの幼体を何匹も倒し、最後の方には後ろで凄いことが行われている中、サラマンダーの成体2匹相手に善戦、援護もあったと言えど、大きな怪我も無く2匹に大きな傷を負わすことができましたね。類まれな射撃制度と威力、判断力も素晴らしかったです。」

「あ、ありがとうございます!」

 レイラは癖で一礼。

「貴方は、正真正銘の……。」

 紙をレイラに渡す。

(Aいって!Aいって!)

 祈りながら紙を受け取る。

「Sランクです。」

「へ?……えええっ!?」

 レイラの絶叫は職員の耳を痛めさせた。

             __________________

 ミリアは職員に勧められ、椅子に腰を下ろす。

(ま、決まってるわよねぇ。)

 サラマンダーの幼体を何体も軽く屠ったんだ、確実にAランク。

「サラマンダーの幼体と互角以上に戦い、成体相手にも2匹同時にも関わらず、結構な傷を負わせましたか。二刀流とは珍しい。剣の性質をよく分かっていて、狙う場所も正確。なおかつ判断力もよい。相手の攻撃をひらひらかわしてからの2つの剣から繰り広げられる壮絶な攻撃は見事の一言に尽きますね。しかも、成体と戦っているときには後ろではもっと危険で、不安にも駆られたでしょう。その中で良くここまで出来ましたね。」

(そう言われると……照れるわねえ。)

 まんざらでもない、と心の中でさらに付け足す。

「さて、そんな貴方ですが……。」

 紙を渡されるので受け取る。

(さぁ、今日からAランクとして頑張るわよ!)

 意気込んで紙を表にする。

「Sランクです。」

「Sランクぅ!?」

 こっちの職員も耳を痛めた。

             __________________

 全員の結果発表が終わり、5人でギルドの個室に集まっていた。本来、利用は禁止だが、ライナーさんが職員を昨日のお詫びを払え、と交渉おどしてみせ、俺たちは騒がしい酒場でなく個室にいる。

「さて、お主らは結果はどうだったかの?儂は当然Sランクじゃ。」

 ルドルフさんはさっさと言い終えるとミルクに口をつける。実は酒が苦手らしい。

「俺も当然Sランクだ。」

 ライナーさんも続くと、ビールを煽る。

「レイラはどうだった?」

 俺はレイラに振ってみる。

「私も……Sランクでした。」

「ほう。」

「ふむ。」

 レイラの発言に大人2人は反応する。

「あたしもSランクだったわ。未だに信じられない……。」

 ミリアもSだったようだな。

「当然だ。幼体は軽く葬るし、成体相手にも超善戦したんだろ?」

「しかも背後では伝説の龍と化け物が激戦を繰り広げてる最中での。」

「だれが化け物ですか!?」

 大人2人は女の子2人を励ます。俺はそれに突っ込む。

「で、アカツキはどうだったの?」

「私たちがSということは……アカツキさんもSでしょうか?」

 女の子2人はさっと切り替え、俺に質問する。俺は……言いにくいなあ。まぁいいや。

「SSランク……この世で3人目だと。」

「「「「SSランクっ!?」」」」

 4人は声を揃えて驚く。

『アカツキは我を倒したのだ。SSランクでも温いわ。』

 杖から火龍がそう呟く。

「SSランクっていったらウドウィン王国の王国騎士団長様とブラース帝国の軍団長様ですよ!どっちも魔族の超大群を1人で撃退したという!」

「過去の英雄でも1人しかいないわよ!魔王を倒した勇者ぐらいよ!」

「アカツキ……あの試験の時から思ってたが……。」

「お主、本当に人間かの……?」

「4人とも酷いなぁ!それと正真正銘人間です!」

 4人の反応に俺は思い切り突っ込む。それと、『この世で』は『今生きてる人』って意味か。史上だと思ってた。

「これからどうしようかな……。」

 俺はふっと呟く。一通り目先のあれこれは終わってしまった。

「なんか、私もやることが見つかりませんね……。」

「目標みたいなんが欲しいわよねー。」

 俺たち3人は大きなイベントが終わってすっかり腑抜けモードになった。

「お、なら別の国に行ってみたりとか、旅をすればいいんじゃないか?」

「ほう、ライナー、なかなかいい案じゃの。どうかね?3人で気ままに旅でもしてきたら。」

 大人2人がそんなことを言う。

「へぇ……楽しそうですね。」

 俺は、その案に興味がある。旅か、いいかもな。

「ギルドは全部の国で共通だし……いいかもなぁ……。」

「立ち寄った町や村で泊まって、そこでその日稼ぎの依頼を受ける……いいかもしれませんねぇ。」

 あ、2人も目をうっとりさせている。

「ふむ。ま、これは1つの案じゃ。じっくり考えるがよい。とりあえず、今日はこれぐらいでお開きにせんか?」

 ルドルフさんがそういうと、それぞれで返事をしながら荷物をまとめる(俺はストレージ)。


 この日は、これでお開きになった。

ちょっと終わり方が中途半端ですね。

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