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魔術師の異世界ラプソディー  作者: 木林森
2章 焔帝と英雄(ドラゴンスレイヤー・ベイオルフ)
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うっかり

 なるほどな。ギルドの酒場では試験の話題で持ちきりだった。試験の申し込みもやっているということで、俺たちは早速申し込みにいく。

「あれ、試験官のお姉さんじゃないですか。」

 その窓口にたっていたのは最終試験官のお姉さんだった。

「あ、二日ぶりですね。」

「試験の申込いいですか?」

「申し訳ございません。こちらのルールブックをお読みください。内容をご確認の上、申し込みをお願いします。」

 そういって冊子を渡される。

「はい、ありがとうございます。」

 俺は冊子を受け取った。

「早速宿に帰って3人で読みましょう!ここだと騒がしいですし。」

「それもそうね。アカツキ、いきましょ。」

「おう。」

             __________________

 内容はこんな感じ。

・試験当日になったら希望者全員に個人用転移結晶を2個渡す。これは、片方は国内ならどこでも転移可能(屋外に限る)、片方はギルド内につながっている。

・あと、記録用結晶も。これの記録を加味して成績を決める。捉える情報は、所持者の視覚、聴覚、触覚、魔力の感知である。

・道具の持ち込みはなんでも可。

・不正があったら転移結晶を通じてギルドに強制転移。ランクの降格、または退会となる。

・ランクごとに区分けされており、上のランクの人は下のランクのところに入ってはいけない。下が上に行くのは自由。

 となっていた。

「この区分けのせいで私たちは一緒に行動出来ない可能性もあるんですね。」

「Cランクはこのまえの山か。」

「げぇ~、Aランクはさっきの話の火山だけかよ。」

 こうなると俺はソロか。寂しいな。

「ま、仕方ないわね。アカツキ、火山で死なないようにね。」

「せいぜい頑張るよ。」

「ルールも確認したし、申し込みにいきましょう。」

 俺たちは再びギルドに向かった。

             __________________

 ギルドで申し込みを終え、酒場で飲み物でも頼もうと座ると、またもやライナーさんと相席になった。

「よう、よく合うな。」

「ですね。」

「あ、こんにちは。」

「こんにちはです。」

 2人もライナーさんに慣れたようであまり緊張はしなくなった。

「お前らは試験はどうなんだい?」

 ライナーさんは予想通りの話題をふってくる。

「区分けルールのせいで俺だけ火山でソロですよ。2人はCランクだし。さすがに火山は話に聞くだけでも危険ですからね。」

「残念ながら一緒に行動できません。」

「上に行けるっても火山はちょっとね。」

 俺たちは3人で補足しあいながら説明する。

「なんだ、そんなことでそんな辛気臭い顔してたのか。普通に2人も火山行けばよくないか?」

 ライナーさんはすごいことを言う。

「いやいやいやいや!サラマンダーですよ!」

「無理ですって!」

 当然2人が反論する。

「だってアカツキがいるだろ?言っとくがこいつは入会の試験の時には俺を適当にあしらってルドルフなんか魔法を発動する間もなく5秒で片付けたぞ。サラマンダーくらいなら倒せるだろ。」

 ちょ!この人ばらしやがった!

「え!そうなの!?それでなんでAランクなのよ!普通はSは行くわよ!?」

「一体何故!?」

 ほら、2人が食いついた。

「その試験の満点がAランクなんだよな。アカツキは全試験満点だぞ。」

 ライナーさん、もうやめて!俺はそう思っても驚きでパクパクしてるだけ。

「……驚かない驚かない。そうよ、あたし。アカツキについては驚かないって決めたわよね。」

「……もうなんでもこいです。今なら何が来ても驚く気がしません。」

 2人とも何か失礼なことをぶつぶつ呟いてる。

「ライナーさん、勘弁してください。」

 俺は悲痛な声でお願いする。

「う、うむ。ちょっと軽率だったな。」

 ライナーさんは気まずそうにそう言うと、そそくさと席を立った。逃げたともいう。

「アカツキ、あたし、一緒に火山行くわ。」

「私もです。一度サラマンダーを見てみたかったんです。」

 立ち直った2人は目をキラキラさせて俺のことを見つめてた。

(責任負えない……。) 

 この2人はまさに冒険者のようだ。

短いです。

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