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魔術師の異世界ラプソディー  作者: 木林森
2章 焔帝と英雄(ドラゴンスレイヤー・ベイオルフ)
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定期試験

7月23日追記

加筆修正しました。表現の修正と説明の加筆です。

昨日、見事オーガの変異種の討伐に成功し、思わぬ臨時収入も持って帰った俺たちは、ちょっとした金持ちになっていた。

「昨日に引き続いてまた新しい装備が買えるなんて……幸せ……。」

 ミリアがそんなことを呟く。そう、俺たちは、また市場に出てきていた。

 ミリアは、職業は戦士。珍しいことに二刀流の使い手だ。しかも、結構強い。綺麗な茶髪をポニーテールに束ね、髪の毛の色に似た明るい茶色の瞳をしている。顔立ちもよく、快活な印象の女の子だ。

「ですよね……弓の重みが心地いい……。」

 レイラもそんなことを言う。

 レイラは弓使い。とても正確な狙いをしていて、打つタイミングなども心得ており、前衛で二刀流を使って戦うミリアより魔物の討伐数は多い。一発で急所に当てるんだもんな。ただ、ちょっと矢をつがえるのが遅いのが欠点かな。ちなみに、レベルはレイラの方が高い。見た目は、透き通るようなロングの金髪に、緑色の瞳をしていて、弓を背負っている。見た目の可愛さと普段の態度もあって気弱な印象をうけるが、やるときはやるタイプだ。

 ちなみに昨日一番高い買い物をしたのはレイラだ。しかも、驚異的な技術もあり、オーガ相手に魔法矢は1本も使っていない。いつかどんな効果があるか見てみたいな。

「俺も、そろそろいい装備整えようかな。」

 俺はそんなことをいいながら2人を見る。2人は、昨日買った装備を即売り払い、もっといい装備を買っている。しかも全身。さらに結構いいものを買った。それでも所持金は半分程度しか減ってない。恐るべし、白金貨。

 ミリアは、普通の皮の鎧から魔法効果の付いた皮の鎧をつけている。魔法効果とは、特殊効果のようなもので、マジックアイテムと同じかんじだ。これに付与された能力は『防御アップ小』。それなら素直に金属の鎧とか買えば、と俺が言ったら「重いからやだ!」といってこっちを買った。どうやら、軽装で戦うスピードファイターの様だ。背中に担いでいる2本の剣も昨日のは売り、新しいのになっている。こちらも魔法効果が付与されていて、赤い剣は火属性、緑の剣は風属性がついてる。魔力を流せばそれぞれの効果が出るのだ。ちなみにこれは、魔法効果なしでもそれなりに業物だ。ミリアは適正属性が火、その次に風らしいのでいい判断だろう。

 レイラもミリアと同じ鎧を買っている。新しい弓は、ところどころに結晶が組み込まれた綺麗な弓だ。これでもかなり丈夫らしいから怖い。魔法効果は当然ついていて、使用者に一番適性がある属性が矢に付与される。本人の意思によるオンオフも可能。レイラはどうやら水属性に適性があるようだ。ミリアと合わせると結構バランスがいいな。

 2人の新しい装備を見ていると、俺も装備が欲しくなった。

「といっても俺は何を買えばいいんだ?」

 俺は神様からもらった4つの象徴武器、それとストレージに入ってたいくつかの道具、それと『八咫鏡』とこれだけだ。あ、あと折紙といろんな色のカード、それとインクが切れない筆か。これらは皆『魔術』のためのものだ。正直、接近戦用の武器が欲しい。神様からもらった短剣は普通に使っても強いけど、魔術のためのものなのでこう使うのは気が引ける。

「アカツキは魔法使いだから魔法強化をしてくれるものがいいんじゃない?杖とか。」

 ミリアのアドバイス。あ、そうだ。俺は魔術師のかわりに魔法使いなんだよな。こっちの魔法は一切使えないけど。俺は魔術師であることは隠さなきゃいけないから、こっちの魔法も覚えなきゃな。

「それもいいかもな……あ、いいこと考えた。」

「ん?何をするの?」

 俺の閃いた発言にミリアが反応する。

「俺が来ている黒い服に魔法効果を付与してもらおう。」

「……あんた本当にそれ好きね。髪の毛も瞳も黒いし。」

「なんとでもいえ。」

 俺は適当にミリアの発言を流す。

「アカツキさん、ついてないものに魔法効果付与を頼むと、結構な額が飛びますよ。ピンきりですけど。」

 レイラがアドバイスをしてくれる。なるほどね。

「どれぐらいなんだ?」

「う~ん、ただの属性付与で白金貨4枚ですかね。」

「そうなのか、結構飛ぶな。防御アップ小だとどれくらい?」

「白金貨3枚ですね。」

「よっし、オッケー決めた。防御アップ小だな。」

「そうなると、魔法効果付与してくれる店が必要ね。」

 品物を見ていたミリアが、話に入ってくる。

「あ、入ったことはないですが知ってますよ。魔法効果をつけてくれる店。」

 レイラは思いついたように呟く。

「じゃあそこね。いきましょ。」

「おう、案内してくれ。」

「はい、えっと、こっちです。」

 俺たちは、その店へと向かった。

             __________________

 店の名前は『マギカ』。中に入る。すると中には、

「むん?アカツキ殿たちではないか。」

「ル、ルドルフさん?」

「おう。儂はここの店主じゃよ。」

「し、知りませんでした。」

「ぐ、偶然にも程があるわ。」

 カウンターにはルドルフさん。

「あの、魔法効果を付与して欲しいんですが。」

 俺はさっそく注文する。

「ふむ、どれに、何を、かね?」

「この服に防御アップ小を。」

「うむ、分かった。じゃあ、その服をよこせ。」

「はいはい、分かりました。」

 俺はその場で服を脱ぎ、上は肌着だけになる。

 魔法効果はモノによって付与できる効果と出来ない効果がある。『防御アップ小』はほぼ全部の装備に付与できるものだ。

「金額は白金貨3枚じゃ。にしてもお主……。」

「な、なんですか?」

 ルドルフさんが俺の上半身を見て目を細める。

「随分鍛えておるのう。しかも、無駄がない。」

 ルドルフさんがそんなことを言う。

「ああ、これですか?大分鍛えましたね、確かに。」

 俺の上半身はそこらのスポーツ選手くらいなら余裕でこえられるぐらい鍛えられている。当然下半身もだ。

「全く、魔法使いはそんなに鍛えなくてもよいのに、変わった奴じゃな。」

 ルドルフさんはそういうと俺の服をもって奥に消えてった。

「しばらく待っててもらって……どうした?お前ら。」

 後ろを振り返って2人に声をかけようとすると、何故か2人は頬を赤く染めて目をそらしている。

「い、いえなんでも。」

「う、うん、なんでもないわよ。」

「あ、そうすか……。」

 俺は反応に困り、しばらく3人で無言で待った。

             __________________

「ほれ、出来たぞ。」

「あ、ありがとうございます。これ、どうぞ。」

「毎度あり。」

 ルドルフさんが戻ってきて、俺に服を渡してくれる。それと交換で俺は代金を払う。

「わずかに魔力を感じますね……。これが?」

「うむ、魔法効果の付与じゃ。これからもごひいきに。」

「はい、ありがとうございました。」

 俺はそういって服を着て店を出ようとする。

「お、そうそう。1週間後にギルドで定期試験があるからの。精進せいよ。」

 ルドルフさんが別れ際にそんなことを言ってきた。

             __________________

「なぁ、定期試験ってなんだ?」

 俺は店を出て、ギルドに歩いていく途中で2人に問いかける。

「定期試験てのはね、1年に2回あるランクアップの可能性をはらんでる試験よ。」

「ランクアップは、通常クエストの成功の成績で上がりますが、この定期試験で良い成績を残すことで上がります。」

「ちなみに、前回はレイラが風邪ひいて、さらにあたしもうつされてどっちも出れなかったわ。」

「み、ミリア~それは言わないでよぉ。」

 2人はじゃれながら説明してくれる。へぇ、そんなものがあるんだ。

「どんなことをするんだ?」

「え~と、確か、全員に記録用の結晶が渡されて、その状態でこのパーカシス国の領土内を1日冒険するの。その時の、魔物の倒し方や倒した相手、その他もろもろを加味してランクアップをしていくの。」

「何回か前は南端の火山にライナーさんとルドルフさんがいって、そこで『サラマンダー』を倒したんですよね。当時はもう街中の話題でしたね。」

「火山?そんなのがあるのか?」

 俺はその中で気になったワードに反応する。

「はい。このオルケストラ大陸は東西南北で4つの国に分かれていて、ここスーネアは南なんです。そこの南端だから、つまり火山は大陸の南端ですね。」

「へぇ~、てことは『火龍』とかいたりしてな。」

「そう言われているわよね。サラマンダーがその南端の火山にたくさん住んでるもんだから余計にね。他のとこもこんな感じなんでしょ?」

「確かそうですね。北端には『ウンディーネ』、東端には『シルフ』、西端には『ノーム』が生息してますし、そこにしかいないんですよね。」

 む?4つの属性でそれか。……四大元素をつかさどる精霊と名前が同じだな。これも共通点だ。

「そもそもそいつらってなんだ?」

「それぞれの属性を持つ『竜』です。これらはそこらへんにしか生息してないんです。だから、これらは各属性の『龍』の眷属と言われているんですよ。」

「へぇ~。そんなのがあるのか。基本属性以外の龍はいるのか?」

「いや、それは伝えられていません。」

「ふーん。で、さっきの話に戻るけど、そのサラマンダーを倒したのがあの2人というわけか。」

「そういうことね。ま、今度の試験は楽しみね。」

 俺たちはそんなこんなしているうちにギルドについた。

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