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魔術師の異世界ラプソディー  作者: 木林森
1章 異世界への旅立ち(ラプソディー・オーバーチュア)
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エピローグ 共通点

 ぎこちない空気を払拭した俺たちはスーネアに戻ってきた。

「特殊クエスト、クリアしてきましたよ。」

 俺が笑顔でそういうと、後ろの酒場で「おおっ!」と声が上がる。

「それではこちらに。」 

 お姉さんが後ろの通路へ案内してくれる。昨日と同じ部屋に通された。

「では、少々お待ちください。」

 お姉さんはそういってドアを閉め、立ち去っていく。

「じゃ、アカツキ、早速品物並べちゃいましょ。」

 ミリアが俺を見てそういう。

「よいしょ!」

 俺はまた掛け声一つで品物を出す。右腕が12本、左腕が15本、頭が5個、胴体が5体、両足が15本ずつ、金棒は19本だ。鬼の取り巻きのオーガ通常種は5体いて、そいつらはフルセットでそろえられたが、他の通常種、つまり後からきたやつは俺が暴れまくったせいでほとんど綺麗なのが無かった。半ば細切れなのがほとんどで、とても出せたものじゃない。てゆうか、式紙がオーガに対して相性が良すぎた。桃太郎のお供はさすがだな。

「それっ!」

 俺はもったいぶって出すのを2回に分ける。こっちは赤鬼と青鬼のほう。生首と胴体と四肢に分け、ぴったり2セット。さらに特別性の金棒も2本だ。

「変異種って確か貴重な研究の資料になるからその部位は高く取引されるんですよ。」

 レイラが俺に説明してくれる。へぇ~。じゃあ昨日よりもさらにふんだくれるかもな。

「よし、きたぞい。早速鑑定しよ……ってふぉおおおお!」

 昨日と同じ鑑定士さんがドアを開けるなり叫びだした。そのまま電光石火で素材たちに駆け寄り鑑定していく。

「昨日に引き続きまたもこれほどの品を!しかも通常よりも大きく強い個体のものがフルセットじゃと!しかもこの金棒!これほどの大きさは見たことがない!」

 鑑定士さんは振り返り、今度は変異種を見る。

「こ、こ、これは!変異種!しかも通常の変異種より変異の仕方が大きいものでは!しかもフルセットで2セット!これはとんでもない!そして、そしてこの金棒!さっき見たものとは格が違う!見てるだけで気圧されそうじゃあ!」

「鑑定士さん。まだ、見てほしいものがあります。」

「なんじゃね!早く!早くうううう!」

 俺が鑑定士さんに声をかけると詰め寄ってきた。うわっ、うざっ!

「よ、よいしょ!」

 金銀財宝が姿を現す。

「ふぉおおおおおおお!」

 鑑定士さんが興奮でヤバい。目がオーガや鬼より怖い。

「これは!これはどこで!?」

 血走った眼で俺を睨んで質問してくる鑑定士さん。

「お、オーガの巣穴の奥で……。」

「なんと!奴らめ!こんな宝を隠し持っておったか!現代の金貨や銀貨もあるがこれは大昔の金貨や銀貨も混ざっておる!これらはマニアに高く売れるぞ!それと、この宝石!ルビー、サファイア、エメラルド、ダイヤモンド、オパール!なんでもござれじゃ!」

 鑑定士さんが本格的にヤバい。なんか危ない薬をやってそうな目だ。

「むっ?これはなんじゃ!?これは見たことないがとんでもない魔力を秘めている予感!」

 鑑定士さんが奥の方に埋まってたものを取り出す。それは、金属で出来ていて、大きな円盤状、複雑な文様もある。ってあれは!

「おいこら!ちょっとよこせ!」

 俺は思わず短剣を取り出して、魔術を使っての高速移動を使う。そのまま鑑定士さんからかっさらい確認する。

「これは、まさか!」

 やっぱりだ!見たことがある!

「な、なんだ!」

 鑑定士さんが詰め寄ってくる。

「これは買い取らせない!俺の物だ!」

 俺はそれを抱え、離さないようにする。

「そんな!それほどの魔力を秘めているものを!これは国宝クラスの名器じゃ!言い値で買う!頼むから譲ってくれ!全財産出す!」

「だめだめだめ!」

 俺は何とか駄々をこねて鑑定士さんから離れる。

「鑑定士さん、落ち着いてください。」

 お姉さんが鑑定士さんをいさめる。

「むぅ……そんなぁ……。」

 鑑定士さん涙目。

「と、とにかく、アカツキさんが持ってるあれ以外で査定してください!」

 レイラも我慢がならず仲裁に入る。

「分かったよぅ……とにかく、これだけでもとんでもない額になるな。変異種フルセット2つに大きい個体のフルセット5つ、それにたくさんの金棒と金銀財宝。」

 俺は鑑定士さんの話しを聞きながら金銀財宝の中をあさる。他にはいいのが無かった。ちっ。

「しめて……白金貨20枚じゃ。」

「「白金貨!?」」

「なんだそれ?」

 鑑定士さんの言葉に2人が過剰反応。俺は首をひねる。

「白金貨は金貨10枚分なんですよ!」

「えーとじゃあつまり、金貨200枚分だから……2000万!?」

 とんでもない額だ!

「よし、いいでしょう!さすがに昨日みたいにやるわけにいかんですしね!」

 俺は速攻で了承する。

「では、少々お待ちください。」

 お姉さんが姿を消すが、すぐに戻ってくる。

「ご確認ください。」

 袋をお姉さんが渡してくれる。中には白身がかかった金貨が20枚。これが白金貨か。

「はい。わかりました。」

 俺はそれをストレージでしまう。

「大金持っててもそれじゃ安心ねぇ。」

 ふっとミリアが呟く声が聞こえた。

             __________________

 俺たちはそのあとギルドを後にすると、イマルに戻ってきて、2人の部屋で会議する。

「20枚か。3人で分けれないな。」

「一番頑張ったのはアカツキなんだから私達が6枚ずつで、あんたが8枚でいいんじゃない?」

「そうですよ。一番頑張ったのはアカツキさんです。」

「いや、俺が6枚で、2人が7枚ずつでいいよ。俺はこれがあれば満足だから。なんならもっと上げてもいい。」

 俺は会議中にそう言ってさっきのものを取り出す。

「それってなんですか?わずかに魔力を感じますが……。」

「これは、魔力を隠しているんだ。これが解放されると、2人は多分プレッシャーで息が出来ないぞ。」

「それほどのもんなのね……。で、それは何に使うの?」

「これはな、『鏡』だ。」

 金属が磨かれ、光沢になっている部分を2人に向ける。2人の顔が映りこむ。

「この鏡は、とんでもない効果を持ってるぞ。」

 俺は弾む声で説明する。

「こいつは、白金貨が1万枚、いや、10万枚あってもまだまだ全然足りないくらいの価値がある。これがあるから、白金貨は全部お前らに上げてもいい。」

「……価値を数えるのはやめました。」

「……同じく。」

 2人ともげっそりだ。しかし、すぐに自分を取り戻す。

「それでも、さすがに全部受け取るのは気が引けます。せめて6枚は貰ってください。」

「そうよ、それと現金は別だから。」

「そうか、ありがとうな。」

 俺は2人の優しさにお礼を返す。

「いいってもんよ。それで、その鏡についてもっと説明して。」

「私、気になります!」

 2人はこの鏡に興味を示した。片方はどっかで聞いたことあるぞ。

「この鏡は、緋緋色金ヒヒイロカネという、特殊な金属でできている。」

「結晶みたいなものですか?」

「いや、それよりも圧倒的に効果は強い。ただ、使える条件がいろいろあってな。」

「へぇ~。それで、名前はなんていうの?」

 その質問に俺は感慨深くなる。この鏡は、俺の生まれ育った国、日本の国宝、どころか、国でも3本指に入る凄い神器。『三種の神器』の一つ。


「これは、『八咫鏡』だ。」


 何故か異世界に、こんなものがあった。

             __________________

 2人はもう寝た。俺は自分の部屋でここ2日のことを振り返る。

(神様に頼まれ、異世界に来た。)

 目的は不明。内容は異世界で自由に暮らせ。全く意味不明。

(そして、この世界で、何故か俺たちの世界のものがある。)

 魔法の属性は俺たちの世界の四大元素、オーガの変異種は赤鬼と青鬼。そして、3種の神器の『八咫鏡』。

(とにかく、共通点が多い。)

 すいません、神様。


 貴方の『神意』にして『真意』は、なんでしょうか?

これにてライトノベルで言う1巻が終了です。いまさらですが前作同様ラノベを意識して書いています。

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