表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔術師の異世界ラプソディー  作者: 木林森
1章 異世界への旅立ち(ラプソディー・オーバーチュア)
16/166

 翌朝、俺たちは大量に手に入ったあぶく銭で装備を整えることにした。2人は今まで金がなく、満足に装備も整えられなかったそうで、買い物の時には目を輝かせていた。

 レイラは、前に使ってた普通の木の弓から、木のつやが良く、弦の張りが強い弓と、矢じりに特殊な結晶が使われている『魔法矢』というものを数種類買った。矢じりの色は、黒、白、濃い赤、透明である。俺がなんの効果があるのかを聞いたところ、それぞれ、暗黒、聖光、地底、天空の属性を持つと言われた。

「属性?火と水と地と風だけじゃないのか?」

「はい。水と地の間に暗黒、風と火の間に聖光、地と火の間に地底、風と水の間に天空の属性が入ります。」

 レイラはそういって、紙に筆で図を描いて見せる。

 上から順に、水→天空→風→聖光→火→地底→地→暗黒ときて水に戻る円形を描く。

「水、風、火、地は基本属性で、さっきの4つはそれぞれを挟む基本属性の性質に近い性質を持っています。こちらも相変わらず反対側は相反する属性です。」

「へえ~。よく出来てるな。」

 この面では、地球とは全く考えが異なるな。そのうち魔法も覚えようかな。というか、覚えなければ大分不便だろうな。

「こっちもいい買い物ができたわ。」

 ミリアがほくほく顔で戻ってくる。昨日まで使ってた剣を売って、それよりちょっといい奴を『2本』持っている。

「何で2本なんだ?」

 俺はたまらず質問する。

「あ~これね。あたしさ、本来は『二刀流』なんだよね。今まではお金が無くて1本だけだったけど、大量の臨時収入があったからね。」

「ほう、『二刀流』か。」

 俺は表向きは軽く感心して見せたが、内心は違う。

(何それ!?カッコイイ!)

 男心がくすぐられる。

「で、アカツキさんは何を買ったんですか?」

 レイラが話の区切りを見て俺に質問する。

「ああ、おれか?俺はちょいと小物を買っただけだ。あとそうだな……あれをもう一着買おうかな。」

 俺はそういって服屋に目を向ける。このまえの暗殺に使った真っ黒の長そで長ズボン。あれ、結構動きやすくて丈夫なんだよな。

「そ、そんなの買ってどうすんの?」

 ミリアが俺に質問してくる。

「決まってんだろ。着るんだよ。これだといろいろなものに紛れるから役に立つ。」

 俺は服屋の戸を開けた。

             __________________

「そういえば結局何を買ったんでしたっけ?」

 服屋を出て、ギルドに向かう途中にレイラが聞いてくる。

「そういやうやむやだったな。正方形の紙を100枚といろんな色のカードを数枚ずつと方位磁石、それとインクがずっとついてる筆。マジックアイテムだな。」

 マジックアイテムとは、まんま魔法が込められたアイテム。お値段はけっこう張るが便利なものが多い。例えば、この世界は筆でいろいろ書くが、この筆はインクがずっと付いている状態になる。

「アカツキって本当に謎よね。」

「用途が想像できません……。」

「俺は物を媒介にして魔法を発動するんだよ。そういう風に習ってきたから仕方ない。」

 俺たちは会話をしながらギルドのドアを開ける。

 掲示板の前には人だかりができていた。

「昨日の特殊クエストだね。」

 ミリアが呟く。ああ、あれか。

「どれどれ、俺が見てくる。」

 そういって俺は掲示板を覗き込む。お、あったあった。だれもまだクエストを受けてないようだ。周りの会話を聞いてると、

「おい、オーガの変異種だってよ。」

「昨日ルドルフさんたちが話してたやつだな。」

「オーガよりさらに強いなんて俺たちじゃほとんどムリだ。」

「しかもこれ、2体の変異種だぜ。1体でも珍しいのにな。

 という内容が聞こえてくる。

「はいはい、失礼します。」

 俺は人混みを縫って紙が良く見える位置にいく。

(ほうほうどれどれ。……えっ!)

 俺はその内容のある一点をみて驚く。俺は、無意識のうちにその紙を掲示板から外した。

『おおっ!』

 周りからどよめきが上がる。俺はその紙をもって2人の元にいく。

「このクエスト、受けよう。」

「「ええっ!」」

 2人は大声で驚きの声を上げる。

「大丈夫。2人が怖いなら俺一人で行くよ。」

 俺は努めて優しい声でそうつぶやく。2人は大切な仲間だ。危険なところに本人の意思を無視していかせられない。

「アカツキ、あたしをなめんじゃないわよ。いいじゃない、いってやるわ。」

 ミリアが目を鋭くする。あ、逆効果?

「わ、私だって、負けてられません!」

 レイラはちょっと弱気気味だが目に宿る意志は強い。

「そうか……じゃあ、いくぞ。」

 そういって俺は受付に紙を持っていく。

「この特殊クエスト、受けます。」

「は、はい、ですが……どなたかの推薦はございますか?」

 お姉さんが目を丸くしながら質問してくる。そうだった、推薦者がいないと……。

「俺が推薦者になろう。」

「儂もじゃ。」

 俺が頭を抱えた瞬間、奥の通路から声が聞こえた。そこには、ライナーさんとルドルフさん。周りがざわつき始める。

「だが、お前、勝算はあるんだろうな?」

「決意の程を聞こう。」

2人の目が鋭くなる。俺は2人の目を見返し、力強くうなずく。

「はい、あります。」

 周りのざわつきが強くなり、2人は驚いたように目を丸くする。そして、口角を上げると、

「いいな。俺が推薦しよう。」

「儂からもじゃ。」

 2人はお姉さんにそう声をかける。

「か、かしこまりました。それでは、アカツキさん、レイラさん、ミリアさんの3名で、このクエストの受理を承認します。」

 お姉さんはどもりながらも承認をしてくれる。

「本当に、お前は凄いな。」

 ライナーさんが声をかけてくる。

「何か策はあるのかね?」

 ルドルフさんも近づいてきて俺に尋ねる。

「ええ。」

 俺は力強く返事をしながら、さっきの紙の内容を思い出す。

 条件は山奥に現れた2体のオーガ変異種を討伐すること。

 その2体は、通常の固体より1回り大きく、特殊能力として、異常なまでの怪力。その証拠として、手には2mくらいの金棒を持ち、自在に振り回す。

 常に2体で行動し、さらに5匹くらいのオーガの通常種が取り巻きにいる。

 昼は巣穴にて門番をしており、夜になって巣穴にオーガ達が戻ってくると2体と取り巻きで洞窟を離れる。

「大丈夫です。」

 見た目の特徴として、2体の色と顔、身に着ける者が変わっている。

 片方は肌の色が赤、もう片方が青。腰には黄色と黒の色の布を巻いている。頭にはパーマ気味の頭髪をはやしている。


「俺は、そいつらの対応策を知っています。」


 それは、どう考えても俺が住んでた日本の、


『赤鬼』と『青鬼』だ。

ちなみに今回の小説も前作同様見切り発車です。

それと、いくつか前作のネタもだすかもしれません。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ