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魔術師の異世界ラプソディー  作者: 木林森
9章 三つの大地(ワーム・ゴーレム・ナイト)
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裏の話 魔界

「そろそろ気づくかのう……。」

 神は、神界から暁を見下ろしながら呟いた。神にとって、暁とその仲間、そしてその世界の事は一番の重要案件となっていた。

 神の役割は世界の調律だが、全てに公平でなければならないため、こうして人に頼るという遠回りな手段しかとれない。それは神にとって、毎回とても歯がゆいものであったが、昔からそうしてきたのだ。仕方ないだろう。

「にしてもあやつめ……紛い物のくせによくもここまで動きよる。」

 神は愚痴っぽく呟く。

 神が愚痴っているのは、魔王のことであった。

 暁を送り込んだのは、この魔王が原因だ。この魔王が復活することで、世界のバランスが大きく崩れる。

 前回は豊富な知識と圧倒的な力を持っていた者に依頼して封印させたが、最近になって復活しかけているのだ。

「儂の対極に存在する『影』、『汚れ』……。」

 その正体こそが魔王。世界に災禍をもたらす。

 神は視点を変え、今度は強力な妖怪と戦っている神野家の者たちを見る。

 剛毅と茜、それに暁の叔父である翔太が、苦痛に顔をゆがませながら、広大な、木々が生い茂る山の中で妖怪と対峙している。当主であり最強の剛毅、その直系の娘の茜、そして剛毅の弟であり魔術の応用力に関してはトップクラスの翔太をもってしても、この妖怪は厄介なものだった。

 その妖怪は3mほどの身長で筋肉質で毛むくじゃら。顔は恐ろしく、牙は強靭、そしてその頭には角が生えており、その手には刀を持っていた。

 日本三大悪妖怪の一柱、酒呑童子。その身体能力と戦闘技術、そして膂力は、3人を苦しめていた。

 魔王が復活しかけたことで、世界に『綻び』が生じている。

 そのことによって――魔物が、暁が今いる世界から『地球に迷い込んで』いるのだ。

 魔物は、もともと地球にいないものばかり。全てが、暁がいる世界から、世界の『綻び』に巻き込まれて地球に迷い込んだものだ。

 この酒呑童子も、その『綻び』によって迷い込んだ魔族である。

 今までは、『綻び』はランダムで、それも滅多に起こらなかったうえに、規模も小さかった。だが……今や不安定になった世界は、その『綻び』の頻度も規模も大きくなってきている。だから、今地球の魔術師たちは苦しんでいるのだ。

「頼むぞ……『勇者えいゆう』……。」

 神は暁に対して、届かないと分かっていつつもそう呟いた。


 ――暁が神によって送り込まれ、今いる世界。

 地球の怪物や魔物、悪魔や妖やモンスターや魑魅魍魎、妖怪と呼ばれる異形は……すべて世界の『綻び』を通じ、地球に迷い込んだもの。

 ――暁がいる世界は、地球の一部では、『魔界』と呼ばれる。

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