すぐ隣。
ぷつり、目を閉じれば、
世界は暗闇に包まれて
あるものすべてが見えなくなってしまうけれども、
わかることがひとつだけある。
見えていなくても、存在はちゃんとそこにあるのだと。
ぷつり、目を閉じれば、
喧騒なる静寂が
耳元を通り過ぎていくだけ
至福の沈黙を愉しむのみとなるけれど、
わかることがひとつだけある。
この手でつかもうとしなくても、逃げていくものはなにもないのだと。
かたちのないなにかを目指して進んで
目に映らないからと見失って諦める
触れられるほど近くにあるものを
わたしたちは触れられないと言う
ものを見るために目があるというなら、
この両眼は
一体なにを見ているのだろう。
見えていないのだろうか。
なにも。