そして今日3
遥は一向にこちらを見ない。それに顔がほんのり赤い気もする。もしかして・・、
「風邪?」
奈津は思ったままの答えを口にした。すると遥は、顔は背けたままの仏頂面で、
「そんなわけないだろ。そんなことより、早く立てよ。・・・パンツ丸見え」
「えっ!?」
こけた拍子に体操座りのような体勢で座っていたため、正面からは見える形になっていた。
一気に顔が熱くなる。
「きゃー!見ないでよ変態!」
「誰が変態だよ!自分がそんな座り方するからだろ!」
「だからって見ることないじゃない!」
「だから顔ちゃんと顔背けてただろ!」
「----っ」
確かに。思わず納得してしまい、奈津は何も言えなくなってしまった。
「ほらっ、制服もっと汚れるぞ」
そう言うと遥はもう一度手を差し伸べてくれた。そのぶっきらぼうな優しさを感じて、今度は素直に彼の手を取り、立ち上がった。
「ありがとう」
奈津は小さくお礼を言った。すると遥はその声を聞き取り、素直に答えてくれた。
「いや。・・俺の方がありがとう。昨日の今日なのに来てくれて。それと、ごめん。昨日は言い過ぎた」
「・・うん」
彰君や、透さんが言っていた通り、本当は良い人なんだな。
奈津はその言葉を聞いてそう思った。
「そういえば、さっきのあれ、何?一人芝居?あれはやばいと思うよ。もうちょっと場所を選ばないとかなりの変人に・・グハッ」
奈津は気がつけば笑顔で拳がみぞおちに決めていた。
前・言・撤・回☆
やっぱり嫌な奴!!
「んなわけないでしょ!どうして私がわざわざ一人芝居しなくちゃならないのよ!幽霊になったあなたの弟としゃべってたの!」
「弟?」
「そう!あなたに言いたいことがあるって、私に頼んできたんだから。どうして私にだけ見えるのかは分からないんだけど」
「弟って俺の?」
「あたりまえじゃない」
「俺、弟なんていないけど」
一瞬、奈津の思考回路が止まる。
「は?」
「だから、俺には弟なんていないんだって」
はぁーーー!!!!????