そして今日2
どうしよう!二人きりは嫌だ!!気まずい!!
さっきまでの幸せな気持ちは一気に冷め、緊張と憂鬱が戻ってくる。
「よしっ、帰ろう!」
奈津は体を反転させ、出口の方に向ける。
すると彰が前にはばかり、通れないように手を広げ立っていた。
『だめだよ!ちゃんと約束果たしてくれないと』
「分かってるけど・・やっぱり今日は無理!!」
そう言うと、そのまま通り抜けようとした。ぶつかるかと思ったが、透は幽霊なため、奈津はまっすぐ通り抜けることが出来た。
あの人が来るまでに早くここを出ないと。奈津は早足にそのまま歩き続けようと足を進めようとする。
が、なぜか動かない。いや、動けない。
どうして?
そう思っていると、透がニコニコと笑いながら、奈津の両肩に手を置いていた。
「もしかして・・」
『そう!これがよく聞く金縛り!俺が生きてる人間に触れると効果覿面なのさっ』
「そんなもんいらんわ!って思わず関西弁になちゃったし。早くやめてよ!」
『やだ』
「もー!・・せめてこの体勢だけでも直させてよ」
『やだ。そう言って逃げる気でしょ』
「うっ。そっ、そんなことないし!」
そんなやり取りを二人で繰り広げていると、
「・・・・・・・・何、やってんの?」
別の声が聞こえてきた。それが誰なのか確認せず、勢いのまま奈津は答える。
「何って金縛りを解こうと・・わっ!」
が、答えると同時に金縛りが突然解けた。そのため、ずっと抵抗をしていた体が突然解放されたことにより、こけた。
「いったぁ・・」
「ほらっ」
奈津が声のする方へ視線を向けるとその人は、奈津に手を差し伸べていた。さらに視線を上に上げる。
そう、その人物は顔を横に背けた一枝 遥だった。