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遊園地(のこのこメリーゴーランド前)
「二人とも遅いよ」
すでにメリーゴーランドの前に着いた透が少し呆れ気味に言う。そう言いながら目線を奈津へと向けるとニコッと笑顔を向けた。
奈津はその笑顔に思わず自分も顔がほころびかけたが、なぜか寒気を感じる。
〝まさか2人きりの間に言っているわけないよねぇ?〟
口で発してはいないが、奈津は確信に近いものを感じ取り遥の後ろで大きく手を横に振った。
「何2人でアイコンタクトとっているんだよ」
その行動に遥は透が向ける視線の先を確認し、少しムッとした口調で透に言う。
「そんなの、なっちゃんと仲が良いからに決まってるよねぇ」
聞かれた透は目線を奈津に向けたまま答えた。その寒気のする笑顔にいやがおうなしに
「は、はい!」
と答えるしかなかった。
「……さっさと乗るぞ」
その答えを聞き、遥は面白くないとでもいったかのように言うと、さっさと乗り場へと行ってしまった。