遊園地(ベンチにて)
「さぁ、次は何に乗ろうか?」
あっという間にアイス食べ終えた透は笑顔で2人に問いかけた。
「じゃあ今度はのこのこメリーゴーランドに乗りましょう!」
と聞かれた奈津はそう答える。
「俺はそこで良いよ」
横で遥も賛成した。
「じゃあ決定だね。ということで2人とも早く食べ終えてね!」
「「うっ」」
透にせかされると、2人はお互い目を合わせてから頭がキーンとなるのを我慢しながら急いで食べ終えるのであった。
「よしっ、じゃあ行こうか!」
その様子を見終えると透はすぐに向かい始める。
「おい、ちょっと待てよ!……しょうがないなぁ」
遥は立ち上がると隣に座っていた奈津の方へと向き直り、
「なんか悪いな。俺といい透といい、お前に迷惑かけてしまって」
と片手を頭の後ろにあてながら言った。それを聞いた奈津は慌てて手を横に振り、
「いえ、大丈夫です!今日誘われた時点で……あっ!?す、すみません……」
否定するはずが裏目に出てしまった。思わずしまったと思い、顔を伏せる。
「プッ……お前って本当に素直だよなぁ。清々しいよ」
「そ、そこまで笑わなくても……」
「わりぃわりぃ」
遥はそう言いながらもお腹を抱えながら笑い、ついにはうっすらと涙を浮かべるほどであった。
「お前といると飽きないなぁ」
「どういう意味ですか?」
その言い方に少しムッとしながら聞いてみる。
「和むってことだよ。あー、こんなに笑ったの久しぶり」
遥は指で軽く涙をふくと、奈津の頭に手を乗せ軽くなでた。
「ありがとな」
その言葉になぜかドキッとする。
「さっ、そろそろ急いで追いかけないと透に怒られるな。行くか」
「は、はい」
奈津は自分の感じた違和感に戸惑いながら胸の辺りを押さえ、前を歩く遥の背中を追いかけた。