遊園地(ジェットコースターを降りて)
奈津はジュースを買いに行くと思いきや、さっきの場所へと戻っていた。
「彰、まだ中にいるのかな?」
そう呟きながらさっき出てきた出口から中にはいろうとした。すると出口横に立っていた遊園地スタッフに止められてしまう。
「ここは出口専用だから入っちゃだめだよ」
奈津は慌てて謝った。
「すみません。けれど、中に乗り物酔いをした友達がまだいるんです」
「そうなんだ。それは止めてしまってごめんね。じゃあ早く行ってあげて。でも走っちゃだめだよ」
事情を聞いたスタッフはすぐに対応を変え、中へと入れてくれた。
「ありがとう!」
お礼を言うと少し急ぎ足で奈津は中へと入っていった。
「彰!彰どこ?」
辺りを見回しながら小声で叫ぶ。
だが、一通り降り場の周辺を回ってみたが彰は見当たらない。仕方が無く、奈津は一度アトラクションから出てみることにした。すると先ほどのスタッフが奈津に気づいたようで、
「お友達、中にいなかったの?」
と聞いてくれた。
「はい……もう外に出てしまっているみたいで」
「そうかぁ……。よかったらその子の特徴教えてくれる?ほかのスタッフが見て覚えているかもしれない」
そう言いながらスタッフの人はポケットからメモ帳を取り出した。もちろん柄はメモ帳・ボールペン、共にきのこ坊や達だ。
「あ、あの大丈夫です。もう少し自分で探してみます」
奈津はそう言うと慌ててその場を離れた。
「……特徴言ったとしても、相手は幽霊だしなぁ……」
その後、少しジェットコースター周辺を軽く回ってみたがやはり彰はいなかった。
「しょうがない。あまり戻るのが遅くなってもいけないし、一旦ジュース買って戻ろ」
そう呟くとジュース売り場へと向かおうとした。
『奈津ー!!』
すると、後方から声が聞こえてきた。その声の方向に振り向こうとした瞬間、目の前に彰の度アップが
「ひゃっ」
映り、ぶつかると思わず目をつぶりかけるとともに奈津の体を通り抜けた。
彰は体を通り抜けた後急ブレーキをし、また奈津へと飛んできた。
『奈津ー!!ひどいぞー!!』
「ストップ、ストップ!ごめんってば」
彰の暴走を止めるため、(意味が無いことは分かっているが)両手を前へと向けた。
『置いていくなんてひどいぞ!』
「だからごめんって。ちょっと状況が状況だったから起こせなくて」
『ムーッ……じゃあお詫びにアイス買って』
「分かった分かった。買ってあげる」
『チョコのやつじゃないと許さないからな』
「分かりました。さぁ、行こっ」
『……うんっ』
そう言って2人は仲直りをし、ジュースとアイスを買いに行くことにした。