遊園地(ジェットコースターを降りて)
「ふぅ……遥、大丈夫か?」
「……悪い、ちょっと休ませて……」
青白い顔色の遥を見て、透はベンチへと誘導し座らせた。
「遥さん、大丈夫ですか!?」
少しすると奈津のあとからこちらへかけてきた。遥は気分の悪いことを隠すため、下げていた顔を勢い良く上に上げ、
「このくらい平……ッ」
とかっこよく言うはずが、返ってそれが仇となり、さらにかっこわるさを見せ付けてしまうこととなってしまった。
「あああ、遥さんごめんなさい!私がジェットコースターに乗りたいなんて言ったから!」
「いや、お前が気にする必要はねぇよ。俺が良いって言って言ったんだしな」
「そうそう」
遥の隣で透も賛同する。
「ありがとうございます。…あの、これ良かったら使ってください」
奈津はお礼を言うと、ハンカチを遥に差し出した。受け取るとひんやり冷たく濡れていた。
「おでことかに当てたら少しは良くなるんじゃないかと思って」
「ありがとう。使わせてもらうよ」
遥は今出せる精一杯の笑顔を返した。
それに安心すると
「じゃあ私、さっきの場所に戻って荷物取りに行ってきますね!ついでに何か飲み物も買ってきます!」
「なっちゃん、ありがとう!」
とパタパタと走って行ってしまった。それを見送りながら、
「かっこつけるから」
と奈津の方を見たまま透がボソッと言った。
「うるせぇよ」
それを聞いた遥が少し睨み付けるように答える。対して今度は遥の方へと視線を移し、爽やかな笑顔で
「けどそんな遥が面白くて僕は好きだけどね」
と言う。そんな言葉に呆れながら返した。
「うるせぇよ」