表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
CHANGEの仕方  作者: 桜もち
30/43

遊園地(入口)

「どうして透がここにいるんだ!?」


遥も知らなかったようで、驚いた声を上げる。


「だってこの間、遥がなっちゃん誘ってるの見たから」


と透はキョトンとした顔で答えた。その答えに思わず、


「いや、そこはあえて来ないだろ」


と遥が突っ込む。その後ろにいた奈津も思わず「確かに」と心の中で頷いた。しかし、「キョトンとした顔も素敵です!」とも叫んでいた。もちろん心の中で。


「来るよ。だって僕はなっちゃんのことが好きだからね」


…………えっ?


あまりにもさらっとした言い方に、二人は一旦頭の中の思考が止まる。


「それって……」


その間に透は前に進み、奈津の目の前で足を止めた。そして顔を奈津の顔の近くまで近づける。奈津は茹でダコのようになった。


うううううううううう嘘ぉぉぉぉぉぉ!!??


「透っ!」


透の後ろで我に返った遥の叫ぶ声が聞こえた。奈津は固く目を瞑った。キスをされるのだと確信をして。

透はおでこがくっつきそうになる所で止まると、真っ直ぐ奈津の目を見て小さな、しかし奈津だけにはっきり聞こえる大きさで言った。


「この前も言ったよね。彰のことは言わせない」


その声が聞こえた瞬間、奈津は目を開けた。

顔は笑顔だったが、目は笑っていない。そのことに気づかされた奈津は思わず血の気が引いた。けれど目は逸らせなかった。

透は言葉にし終わると顔を奈津から遠ざけ、


「じゃあ行こうか」


とすぐにいつもの優しい笑顔で言った。そして遥に向き直り、


「だから良いよね」


とそのままの口調で言葉を続けた。


「まぁ……いっか」


そう答えた遥に「いいのかよっ!」と奈津はまた思わず突っ込んだ。しかしまだ体は血の気を引いたままで声がでなかった。

それに気付いているのかいないのか、透はチケットを買いに向かい始めた。透がその場を離れたことにより、見えなかった奈津と遥のお互いの姿が見える。


「っ!?お前、大丈夫か?」


遥が奈津の顔色を見て思わず駆け寄ってきた。そのまま手を頬に当てる。


「今、透に何かされたのか?」


遥に触れられたことにより、奈津は一気に体温が戻ってくる気がした。


「いえ、何もされてません。大丈夫です」


体温が戻ると、今度は触れられていることが恥ずかしくなり、奈津は思わずうつむき後ずさりした。


「なら良いけど……」

「行きましょうか」

「あ、あぁ」


二人はまた沈黙になりながら透のいる場所へと進み始めた。その中で奈津は、ただ私は透さんのことが好きなだけで、ただ遥さんに彰がここにいるよって伝えたいだけなのに、どうしてこうなったんだろうと考えていた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ