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CHANGEの仕方  作者: 桜もち
19/43

公園への帰り道

「えっ、遥さん……?」


奈津は思わず声を漏らす。

すると、透は慌てて扉を閉めた。そして小声で、


「ダメじゃないか。遥にばれるでしょ」


と奈津を注意する。


「ご、ごめんなさい」


奈津はなぜばれてはいけなかったのか分からなかったが、とりあえず謝った。

透はすぐに笑顔に戻り、


「このままいつもの公園に戻ろうか」


そう言うとそのまま上ってきたばかりの階段を、あまり足音をたてないようにしながら降りていった。

奈津は色々と疑問を隠せないといった様子。だがこのままここに立ったままも意味がないと思い、透の後を追いかけた。足音は一応気にしながら。








二人はそのまま病院を出て公園に向かおうとした。

その途中、公園に着くまでに並木道がある。二人はゆっくりと会話もなく歩いていた。

今は7月。大分暑さが増してきた頃だが、左右にある青々とした木々が風に揺れ、通り行く人達を優しく癒していく。ほかとは違う空間にいるようであった。

三分の一ほど進んだ頃、透は突然歩くのを止め、前を向いたまま奈津に話しかけた。


「なっちゃん。今って近くに彰いるのかな?」


透の少し後ろを歩いていた奈津は、突然足を止めたことに少し驚きながらも質問に答える。


「いえ、病院には着いて行かないって言っていたので今は居ませんけれど……」

「そっか」


そう言うと、透はゆっくりと体ごと奈津の方に向き直る。そしてどこか苦しそうな笑みを浮かべ、こう言った。


「あのね、遥は彰のことを、ちゃんと覚えてるんだよ」

「えっ…」


意外な言葉に言葉を詰まらせる。

二人の間に、ピンッと張りつめた空気が流れた。


「彰が知る前に、聞いてくれるかな?」


そう言うと、奈津は緊張した面持ちで、しかし透をしっかりと見つめたままうなずいた。

透はそれを確認すると、そのまま視線をはずし静かに話し始めた。





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