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CHANGEの仕方  作者: 桜もち
18/43

病院

次の日、奈津は病院の前に立っていた。


「き、来てしまったけれど……」


不安な顔をしながら病院を見上げる。

その視線をゆっくりと下におろしていくと、病院の中から透が出てくるのが見えた。

透は奈津と目が合うと、いつもの優しい顔で微笑む。

奈津はその笑顔に思わず胸がときめく。まぁいつものことだが。


「暑い中来てくれてありがとう」

「い、いえ、全然」


な、なんか傍から私たち、恋人同士に見えるかも!?


この二言会話を交わしただけで奈津の妄想が広がろうとしていた。

が、それはあっさり終わりを告げる。


「じゃあ病院の中に入ろうか」


そうだったぁぁぁぁ!私今から病院で検査受けるんだったぁぁぁぁぁ!!


奈津は現実に意識が戻る。先ほどとは違う心臓の音が体全体に鳴り響く。

それを感じながらも、一歩一歩透の後を着いていく。


逃げちゃダメだ。ちゃんと着いて行かないと。


このまま着いて行かず、逃げることも出来ただろう。

透は奈津の言葉を信じず、精神科で見てもらおうとしているのかもしれない。

確かに現実離れした話だ。

しかし、奈津は信じたかった。

話を真剣に聞いてくれたあの顔を。

『信じるよ』と言ってくれたあの言葉を。


「こっちだよ」


ときどき奈津がちゃんと着いてきているか振り向きながら、透は歩いて行く。

上へ上へと。


……んっ?上?

緊張していた頭の中に疑問が生じる。


「あの、透さん。どうして上へ?検診の受付なら一階なのに……」


おかしい。素直に質問すると、


「シーッ」


透は人差し指を口元に当て小声で答える。


「ここからは静かにね。」


その答えと共に、透は一つの扉を開けた。

上へ上へと上った先は屋上。


真っ青な快晴。その眩しい光の中に目を凝らす。


その光の先にいたのは遥だった。


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