どうしたら良い?
事情を話し始めてから20分後……
「なんか、ドッキリって疑いたくなるね。……ごめん、ごめん。冗談だよ」
「まぁ、疑いたくなる気持ちはわかるけどね」
そう言って、奈津は苦い顔をした。
「でも、遥さんって人、どうして彰君のこと知らないって言ったんだろう?」
「うーん……マンガとかの展開的に記憶喪失とか?」
「それとも彰君の方が嘘をついてる?」
「いや、それはないよ。……と信じたい」
だって、あの震えた声、無理に出した痛々しい笑顔。出会ってたった2日なのに、彰君がいなくなってからずっと頭から離れない。私は、どうしたら良い?
そのまま奈津は黙り込んで考えていた。
すると理紗は奈津の顔を見て言った。
「ねぇ、奈津はもうどうしたら良いのか分かってるんじゃない?」
「えっ?」
意味が分からなかった。どうしたら良いのか分からないのに、どうしたら良いのか分かってる?
「どうしてそう思うの?分からないから相談してるのに」
思わずそう訊き返す。
「だって、奈津の顔は、透君を助けたいって思いっきり書いてるよ?私は3人には会ったことないから、どっちが嘘をついてるとか、誰を信じたら良いのとか分からないよ。でもいつも一緒にいる奈津のことなら何でも分かってるつもり」
「……」
「……」
「……」
「………違った?」
「………ううん。ううん!!」
奈津は思わず理紗の手をガシッと掴み、目を輝かせた。
「ありがとう!そうだよね。助けたいって気持ちが一番大切だよね。私が悩んでちゃダメなんだ」
何も言わない奈津に少し不安になっていた理紗はその言葉を聞いて、ホッと思わず息をついた。
「よかった」
「本当にありがとね。さすが私の親友!」
「でしょ?」
よしっ。このまま何もしないで変わらないのなら、私が変えてやる。良い方向にいくかもしれないし、もっと悪い方向にいくかもしれない。でも、このままじゃ苦しい気持ちのままだもん。
奈津は思いを固めた。