進研ゼミマンガ風小説「攻撃」
僕の名前はフリードリヒ。高校二年生で、eスポーツ部に所属している。
6月の大会、自分のチームは無課金勢なのに対し、相手チームは重課金勢だった。腹いせに回線を落として失格になった。そんなわけで、部活はうまくいっていない。
もっとひどいのは成績だ。中間試験が返却されたが、解答を全て逆さまに書いてしまい、3点だった。(「0」だけ合ってた)受験に向けて当然勉強は頑張らなければならないが、将来の夢もないのでやる気が出なかった。
「どうしたの?そんなに落ち込んで?」
ナンシーが話しかけてきた。
「成績が悪いから勉強しなきゃとは思っているんだけどやる気が出なくて…そっちの成績はどうだった?」
「10点」
「10点?!どうしたらそんな成績が取れるの!?」
「実はね、夢ができたんだ。」
「どんな?!」
「古代遺跡に落書きして読めなくしてやる夢」
「当然の成績だね!僕も夢が欲しいな!」
「それなら東進に通ってみれば?私が夢を持つきっかけになったの。」
「行きたい!」
僕は体験生として入学した。塾長と面談した。
「あなたはどうして貴社で勉強しようと思ったのですか。」
「北進はソ連に阻まれ、南進は太平洋戦争による惨禍をもたらし、西進は極楽浄土、つまり死を暗示しています。東進しかないんです。」
「よろしい。体験授業を受けてきなさい。」
僕は政治経済の授業を受けた。政治家の暴言や失言を収録した授業だった。それが運命の出会いだった。
「バカヤロー!!」
そうか。
「記憶にございません。」
僕は。
「県民の皆様にいいいいいいい!」
政治家に。
「このハゲエエエエエ!!違うだろおおおお!!」
鉛玉をぶち込みたかったんだ。
「どうだった?体験授業?」
「夢ができたよ。僕は防衛大学に入る。そして銃を手に入れる。人を殺してやるんだ。」
「私は東大の考古学部に行きたいんだ!一緒に頑張ろうね!」
「うん!」
受験勉強を通じて、僕は知性を培っていった。
期末試験において、僕は解答用紙と問題用紙でで紙飛行機を作り、近所の学校に飛ばした。答えが書かれた状態でそれらは帰ってきた。試験監督はずっと壁をはい回っていたため、それに気付くことはなかった。
部活の大会でも、相手チームのエリアに蜂を放つことで順調に勝ち進んだ。
試験の直前期のことだった。僕のチームは決勝戦を戦うはずが、蜂の放ちすぎで会場がハチの巣になってしまい、大会は中止となった。
そんな中僕は受験本番を迎えた。最初は紙飛行機に頼っていたが、なんだかんだそこそこの学力はついた。防衛大くらい余裕だ。僕はナンシーと互いに励まし合った後、試験会場に到着した。
少しでも勉強しようと思い、世界史の教科書を開いた。
「ナチスドイツは東進によって活路を開こうとしましたが、最終的にソ連に阻まれました。」
僕は辺りを見回した。壁には肖像やスローガンが掲げられていた。
試験問題も共産主義やその指導者にかかわることばかりだった。監視体制がしっかりとしていて、紙飛行機も使えない。持ってきた蜂も、スズメバチを使い果たした今は、ミツバチくらいしか残っていない。
ミツバチのハチミツでどうにかならないだろうか。
とりあえず机にこぼしてみた。取り返しのつかないことになった。ハチミツはのりのように固まった。僕は机ごと答案を提出した。
春の暖かい日、僕は合格発表を見た。「死ね」と書かれていた。
併願していた芸大や地元の大学にも落ちた。腹いせに掃除機で桜の花びらを吸い取っていると、ナンシーがやってきた。
「フリードリヒ君、受かった?」
表情から察するに彼女は東大に合格したらしい。
「俺が本物のナンシーだ。したがって俺が東大に入る権利がある」
僕はそう言い放つと、彼女から髪の毛をむしり取って彼女のDNAを摂取し、本物のナンシーとなった。
しかし、彼女が受かったのは「東京大学」ではなく「東ティモール大学」であったことが判明した。
僕は東ティモール大学の合格体験記に憲法九条を守れ、とだけ書くと飛行機で東ティモールに向かった。
飛行機は居眠り運転だったため、南極にたどり着いた。
僕は生き残るためペンギンになった。
四角いゴルフボールのような人生だった。




