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転生したらチュートリアルで殺される悪役貴族だった件 ~元ニートの俺は引きこもるために努力する~  作者: 抑止旗ベル
第三章「異世界のんびりバカンス」

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第97話 犠牲

「しかし、それを実現するあなたの才能は大したものだ。いや、そうまでしなければ運命を変えることは出来なかったというわけですね」

「そんなことはどうでもいい。ラウル、諦めろ。今度はわき腹だけじゃない。その心臓も斬る」

「やだなあ、脅さないでくださいよ」


 ラウルはいつもの穏やかな笑みを浮かべながらも、その頬には汗が伝っていた。わき腹からはまだ血が出続けている。


「脅しじゃない。メル姫を返さないというのなら、そうなる」

「やれやれ、仕方ありませんね。僕の趣味ではないですが―――こういうのはどうでしょう?」


 そう言うと、ラウルは椅子に縛られたままのメル姫へと右手を向けた。


「……何のつもりだ!?」


 メル姫はラウルの手を見つめ、恐怖のせいか目を見開いている。体が小刻みに震えているようにも見えた。


「端的に言えばこういうことです。メル姫の命が惜しければ剣を収めてください、ミリアルドさん」

「―――!」

「どのみち処刑する予定ですからね。それが少し早まっただけですよ。ああ、メル姫。安心してください。痛みを感じる間はありません。一瞬で楽にしてあげますよ」

「っ!!」


 メル姫が声にならない叫びをあげる。


 俺は怒りのあまり剣を握る手に力が入った。剣の柄が手のひらに食い込む。


「ラウル、人質なんて……メル姫は何も関係ないだろ!」

「ロザワル領の領主でこのクーデターの当事者だ。関係ない、はさすがに言いすぎですよ」

「ラウル……!」

「さあ、剣を収めてください、ミリアルドさん」


 メル姫の大きな瞳から涙が零れる。姫は必死で何かを訴えるように俺を見つめた。


 ロープを噛まされた姫の口が僅かに動く。


 ――ころして、と言っていた。


「っ……!」


 ダメだ。


 ここでラウルと決着をつけるより、メル姫の命が大切だ。


 俺は剣を下ろした。


「それで良いんですよ、賢明な判断だ。では――回復魔法を解除してもらいましょうか」

「何……?」

「当たり前じゃないですか。あなたの回復魔法は常軌を逸している。不死の魔法なんて卑怯すぎる。さあ、それを解除してください。でなければあなたを殺せないでしょう」


 ラウルは右手をメル姫から俺に向けた。


「メル姫を人質に取るのは卑怯じゃないのか?」

「否定はしません。僕のポリシーにも反しますよ。ですが、それも仕方ない。ポリシーよりも大切なものはありますから」

「……!」


 一瞬でラウルに接近してトドメを刺す―――にしては距離がある。俺がラウルを斬る前に、ラウルはメル姫を爆殺するだろう。


 どうすればいい? このまま回復魔法を解除すれば、さすがに俺も死ぬ。一か八かに賭けてラウルに仕掛けるか?


「さあ、早くしてください。でなければメル姫の命が――」


 そのときだった。


 ラウルの言葉を遮るように外から窓ガラスが割れ、人影が乱入してきた。


「メル姫っ!」


 ディシズム卿だ。


 窓から飛び込んできたディシズム卿は転がるようにしてメル姫を抱え上げた。


 ラウルは一瞬だけ驚きの表情を浮かべながらも、冷静に右手をディシズム卿に向けた。


「ディシズム卿!」


 俺は剣を抜きラウルへ斬りかかった。が、ラウルの方が速かった。直後、ディシズム卿の半身が爆発した。


「――――!」


 ディシズム卿の飛び散った血肉を浴びながら、メル姫が叫ぶ。



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