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転生したらチュートリアルで殺される悪役貴族だった件 ~元ニートの俺は引きこもるために努力する~  作者: 抑止旗ベル
第三章「異世界のんびりバカンス」

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第82話 経過報告

◇◆◇◆


「――というわけだ、中佐」


 夜になり、俺は中佐に電話した。


 中佐には既にミカからレザンについての報告があったようで、中佐もあらかたの事情は分かっていた。


『レザンがどれほどの戦力を持っているのか分からないな。こちらから仕掛けて良いか判断がつかない』

「同意見だ。ラウルも一緒だって話なら、余計にな」

『その部分も気になっている。ラウルが同行しているということは……』

「既に反ステイナー派は半壊していて、ラウルもステイナー領をひっくり返すことに興味はないだろう。やっぱり『コア』関係か?」

『そうだな。恐らくは……』

「でも、『コア』ってステイナー領にあるあの黒いやつのことじゃないのか?」

『ゾップさんに探ってもらったが、『コア』によく似た物体はマークニル王国に点在しているらしい』

「まさか、7つ集めると願いが叶うとか言わないよな?」

『? どういう意味だ?』

「あ、いや、何でもないよ」


 通じるわけの無いネタだった。


『そのうちのひとつがロザワル領にあるそうだ』

「つまり、ラウルの狙いは『コア』というわけだな」

『お察しの通りだ』

「……だとしたら、どうする?」

『居場所を掴んだ時点でレザンの件は大方決着がついている。奴が持つ戦力さえ把握できれば、それに見合うだけの兵を送り奴を確保するだけだ。私の個人的なルートを使ってディシズム卿と話をしてみる予定だ。ミカには引き続きレザンの調査を行わせる。問題はラウルだな』

「ロザワル領の『コア』か。俺はそっちを探ってみるよ」

『頼む、フルスト殿』

「ああ。そっちも進展があったら連絡してくれ」

『もちろんだ。……リリィ様は?』

「ああ、プールで遊び疲れて寝てるよ」


 さっき部屋へ送ったとき、リリィはベッドに直行していた。俺がリリィの部屋を出るころには寝息が聞こえていた。あれだけ遊んだのだから、疲れるのも当たり前だ。


『そうか。リリィ様にも良い息抜きになったな。レザンの件、荒事になると決まればリリィ様はすぐステイナー領へ戻っていただく予定だ』

「いつまでも領主が不在にしているわけにもいかないからな。リリィも分かっているはずだ」

『……しかし、これでレザンの件にカタがつけばステイナー領はさらに安定した領地になる。リリィ様も心配事がひとつ減るだろう』

「これが終われば国王選挙だろ? 心配事っていうのは、減った分だけ増えるんだよな」


 前の仕事がそうだったし。終わらせても終わらせても次から次へとやってくるタスク。思い出すだけで具合が悪くなりそうだ。


『――レザンの件、早急に対応する。明日には連絡できるだろう』

「仕事が早いな」

『今、ロザワル領の上層部と会談する段取りがついたと報告があった。私もそちらへ行くことになるかもしれない。そのときはフルスト殿にも同行してもらうぞ』

「分かった。ホテルを手配してもらった分の埋め合わせはするつもりだよ」

『期待している』


 中佐との電話が切れた。


 俺は受話器を元の位置に戻した。


 ホテルのロビーは夜だというのに、魔力を動力としたランプで照らされ明るかった。ロビーから見える外の景色も、街灯や町の明かりで眩しいくらいだった。

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