第8話 はじめての回復魔法
◇◆◇◆
「ええと……ではぁ……まず『ヒアル』の発動からですぅ……。両手を前に出してくださいぃ」
屋敷に戻った翌日。
俺はさっそく自分の部屋にミーアを呼んで、回復魔法を教わっていた。
「こうか?」
「あ、ち、違いますぅ。こうですぅ……」
手の向きが少し違ったらしい。
「こうだな」
「い、いえ、こうですぅ……」
「え? 意外と難しいな」
「あー……。あのっ、ミリアルド様。少し手に触っても良いでしょうか?」
「頼むよ」
「は、はいぃ」
ミーアが恐る恐る俺の手に触れ、手の角度を修正する。
「ああ、こうか」
「そ、そうですぅ」
安心したように微笑むミーア――の顔がすぐ隣にあって、俺の肩あたりには主張の激しいミーアの胸が押し付けられていた。
自室で巨乳メイドと二人きりのレッスン、か……。
前に読んだエロ同人とかAVのタイトルにありそうだな……。
フフッ。
「ミリアルド様、何かおかしかったのですかぁ?」
「いや何でもないよ。思い出し笑いだよ。別に何もやましいことは考えてないよ」
「本当ですかぁ?」
「本当だって。それで、手を前に出した後はどうすればいいんだ?」
「唱えるんです。『ヒアル』って。見ていてください」
ミーアが『ヒアル』と呟くと、その両手の間に緑色の光が灯った。
「……あれ、この間俺の怪我を治してくれたときは片手でやってなかったっけ?」
「基本は両手でやるんですけどぉ、場合によっては片方の手だけでも大丈夫なんです。ええとぉ、ミリアルド様って物を投げるとき、いつでも同じ体勢で投げますか?」
「いや、投げる物とか投げたい距離によって変わるかな」
「それと同じですぅ。回復魔法も、治したい対象によって使う手が両手だったり片手だったり、魔力の量も違ったりするんですよぉ。でも、どちらにしても基本的な形が出来てないといけませんから」
「なるほどな。両手を前に出して呪文を唱えるのが基本ってことか。なんとなくわかった。やってみよう」
俺はミーアがやったように両手を前に向けて、『ヒアル』と唱えた。
その瞬間、目も眩むような閃光が俺の両手から放たれた。
「み、ミリアルド様ぁ、すごい魔力ですぅっ!」
「ミーア、これ、どうやって止めればいいんだ!?」
「わ、わわ分かりませんっ!」
「何とかならないのか!?」
俺は両手を前に向けたままミーアの方を向いた。
直後、手のひらが何か柔らかいものに触れた。
「ひぁっ!?」
ミーアが妙に熱っぽい声を上げる。
角度がちょうど良すぎたのか、俺の両手は見事にミーアの両胸を掴んでしまっていた。
「ご――ごめん、ミーア!!」
慌ててミーアから離れる。その時には既に『ヒアル』の光は収まっていた。
「だ、だだだ大丈夫ですぅ……」
ミーアは頬を赤らめながら言った。
俺の手にはミーアの両胸の感触が残っていた。
こんなに柔らかかったのか。知らなかった。この感触は一生、俺の心のメモリーに刻んでおこう。
「それにしてもすごい胸――じゃなかった、すごい光だったな。回復魔法ってあんな感じなのか?」
「ミリアルド様がすごすぎるんですよぉ! ただの『ヒアル』じゃあんなふうになりません。上級魔法の『ヒアルラ』、もしかしたら最上級クラスの『ヒアルガ』レベルまでいっちゃってます」
「そうか、いっちゃってます、か……」
「そうですよぉ、いっちゃってますよぉ!」
「そうか……」
「ミリアルド様のが凄すぎていっちゃってますぅ!」
「俺の回復魔法がね? 誤解されそうな言い回しはやめてね?」
「ほえ?」
首を傾げるミーア。下ネタっぽくなっちゃったのは偶然らしい。
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