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転生したらチュートリアルで殺される悪役貴族だった件 ~元ニートの俺は引きこもるために努力する~  作者: 抑止旗ベル
第三章「異世界のんびりバカンス」

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第72話 イベント?

「すごい、キラキラしてますねぇ、みなさん」


 リムニは窓に張り付くようにしながら、目を輝かせてパレードを見つめていた。


「ああ。ヒリュー領でも俺があんな風にパレードをやっていれば、民衆からももう少し支持されたのかな?」

「いや、それはぁ……あ、いや、もしかするとぉ、そうかもしれないですねっ! ミリアルド様のファンクラブとか出来ちゃったりしてぇ……」


 目を泳がせながら答えるリムニ。


「……冗談だよ。パレードなんてやる気もなかったし」


 そう言ったとき、寝室の方から「ううん……」という声が聞こえた。


「リリィ様が目を覚まされるまで、私、一緒にいましょうかぁ?」


 寝室を見つめながら、リムニが心配そうに呟く。


「いや、大丈夫だ。リリィは俺が見ておくから。リムニも長旅で疲れただろう? 自分の部屋に戻って休んでくれ。シャペールもな」

「しかし――よろしいのですか? 我々はフルスト様の召使としてご一緒している身でございますが」

「何度も言うようだが、俺はもうヒリュー領の領主じゃない。本当ならお前たちも俺に仕える必要なんて無いんだ。だから……せっかくリゾート地のロザワル領に来てるんじゃないか。二人がゆっくり休んでくれた方が俺も嬉しいよ」

「お……おお! フルスト様、ご立派になられて……!」

「な、泣くなよシャペール! とにかく二人とも、自分の部屋に戻って休んでくれ」

「他人を思いやるそのお心、このシャペール、感激いたしました。大変心苦しくはありますが、フルスト様のおっしゃる通りにいたしましょう」

「それじゃフルスト様ぁ、プールはまた明日ですねっ!」

「ああ、また明日だな」


 シャペールとリムニはそれぞれの荷物を抱え、俺の部屋を出て行った。


 そして残されたのは俺と、ベッドで寝息を立てるリリィ。


 部屋の外ではまだ、メル姫のパレードが奏でる音楽が鳴り響いていた。かなりの音量だけど、リリィが目を覚ますような気配はない。……まさか寝たまま死んじゃったりしてないよな?


 不安になった俺は寝室へ向かった。


 リリィはさっきと同じようにベッドに横たわっていて、ネグリジェのような寝間着に包まれた胸が規則的に上下していた。


「…………」


 密室に美少女と二人きり、か……。


 いや、もしこれがゲームの世界なら何かしらのイベントが起こっておかしくないが、現実ではそんな都合よいことは―――って。


 俺が今いるのって、ゲームの世界じゃん。


 じゃあ、何かイベントが起こるのか? いやまさか。ありえないありえない。それに、リリィと何のイベントが起きるというのだろう。


 そんなこと、所詮妄想に過ぎない。何も起こらないのが現実だ。ゲームというのはプレイヤーに夢や希望を与えるひとときの幻想なのだ。現実とは違う。


 いやでも、何度も言うように俺が今いるのはゲームの世界なんだから……。


 ま、まあとりあえず、リリィの傍にはいるようにしよう。別に何かを期待しているわけじゃない。単純に、領主の補佐としてすぐ傍についているだけだ。それ以上でもそれ以下でもない。


 というわけで椅子を持って来て、リリィが寝ているベッドの隣に座った。


 リリィは相変わらず安らかに寝息を立てている。さっきまではうなされるような声もしていたけれど、今は落ち着いているようだ。


 俺は椅子に座ったまま、リリィの長い睫毛や整った鼻梁、小さな唇を眺めていた。


 パレードが遠くへ行って静かになった寝室では、リリィが呼吸をする音だけが響いていた。


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