第66話 ロザワル領へ
「そうだよな! 反ステイナー派の件からずっと働きづめだし、そろそろ俺も休まないとな!」
『ああ、その通りだ。――が、こうして貴公に連絡を取ったのはその反ステイナー派に関連することだ』
「え?」
『レザンが逃亡した先が判明した』
「何? どこなんだ?」
『ロザワル領だ。観光客のひとりとして領地に入り、そのまま行方をくらましている』
「ロザワル領……!?」
俺は瞬時にメル姫のことを思い出していた。
『貴公も知っているだろう? 穏やかな気候と豊かな自然。バカンスにはぴったりの場所だ。私も休暇で訪れたことがあるが、良い土地だった』
「……で、そのロザワル領にレザンが?」
『そうだ。そして貴公には休暇が必要だ。私が直々に、貴公が休暇を取るのにふさわしい場所を準備しておいた』
「まさか……」
『ロザワル領の一等地を確保してある。ぜひ羽を伸ばしつつ――レザンの潜伏先を調査して欲しい』
「結局仕事の電話じゃねえか! 休暇の連絡かと思ってわくわくしちゃったよ!?」
『いやいや、休暇だ、休暇。貴公の仕事は私が代わりにやっておく。私が二倍働く代わりに、貴公はリゾート地であるロザワル領へ、ステイナー領の予算を使っていくことが出来るのだ。ぜひリフレッシュして来てくれ。ついでにレザンの行方も探っておいてくれ』
「ついで、ねえ……」
俺は休みの日、基本的には室内で過ごすタイプで旅行なんかはほとんど行ったことがない。泊りがけの旅行も修学旅行くらいしか経験が無い。
まあ、せっかく異世界に来たんだしリゾート地くらい行ってみるか。泊る場所とかは中佐が確保してくれてるらしいし。
『頼んだぞ、フルスト殿。もし同行者が必要なら連絡してくれ。私が調整しておく』
「分かったよ。でも、反ステイナー派の集会のときに分かったと思うけど、俺は基本的に情報収集とか向いてないタイプだからな。あまり期待はしないでくれよ。で、同行者だけどとりあえずシャペールとリムニの分も準備しておいてくれ」
『承知した。道中の幸運を祈る』
プツッ、という音がして電話が切れた。
「何の連絡だったんですかぁ、フルスト様?」
リムニが大きな瞳で俺の顔を覗き込む。
「ロザワル領へバカンスに行けってさ。旅の準備をしておいてくれ」
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