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何にもしない病院長  作者: しゅんたろう
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何もしない院長パート89 「レセプト査定委員会、水虫に泣く!?」


南方総合病院の会議室。

月例のレセプト査定委員会で、医事課の湯先がスクリーンを指差した。


「今月も抗真菌薬の査定が多数です。特に爪白癬。検鏡による白癬菌証明がなく処方されているケースが多く、結果的に査定で病院持ちになっています」


数字が映し出される。額は数十万円規模。

医局内にざわめきが走る。


■医師たちの弁明と指導


「診ただけで分かる場合も多いしなあ」

「忙しい外来で顕鏡まで回らんのや」


内科医たちの声に、湯先は静かに釘を刺す。

「先生方、診断の確実性がないと査定は避けられません。必ず顕鏡で確認してください」


さらに熊田副院長が口を添える。

「皮膚科への紹介も選択肢やけど、あっちは大学からの応援で週2コマしかない。外来はすぐパンクする。できるだけ自分たちで顕鏡をやって確認しよう」


一同はしぶしぶ頷いた。


■野上院長の追加コメント


静まり返った会議室で、野上院長がぽつり。

「……まあ、足元すくわれんように、足元よう見とかなあかんな。水虫だけにな」


一瞬シーンとした後、爆笑。

「院長、それ落ちにしか聞こえません!」

「いやでも、妙に説得力あるなあ」


■その後


こうして「顕鏡または皮膚科紹介の徹底」が正式に通達された。

病院内では“水虫キャンペーン”と冗談めかして呼ばれ、顕微鏡の使い方勉強会まで開かれることになった。


会議録の末尾には、なぜか医事課の手でこう書き添えられていた。


《本日の野上語録》

足元すくわれんように、足元はよう見よ。水虫だけにな。


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