表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
何にもしない病院長  作者: しゅんたろう
92/162

何もしない院長パート85「丸川先生を支える人」


南方総合病院の消化器内科・丸川部長。

熱く、真面目で、責任感の塊——だがその生き方は今の働き方改革の風潮には、正直そぐわない。


内視鏡で大きな処置をすれば必ず泊まり込み、重症患者がいれば数日家に帰らないことも珍しくない。

「自分の患者は最後まで自分で見る」

それが丸川の信条だからだ。


——その分、家庭へのしわ寄せは当然、妻にのしかかる。


■奥さんのぼやき


「アンタねえ、子ども3人抱えてこっちはてんてこ舞いなのよ。祭りだの消防団だのまで顔出すヒマがあったら、せめて洗濯物くらい干してよ」


そう言いつつも、奥さんはどこか笑っていた。

“医師の妻”として腹をくくっているのだ。

夫の医療への矜持を理解しているからこそ、支える覚悟がある。


■長男のひと言


そんな家庭の姿を見て育った中学1年の長男。

父のことを友達にどう説明するかと聞かれると、こう言った。


「うちの親父? 祭りでは太鼓叩いて、病院じゃ寝ずに人助けして……。

でも家じゃ、インスタントラーメンも作れんのや。

——けど、オレは尊敬してるよ」


母は苦笑しながら「ほんと、その通り」と相槌を打つ。


■丸川部と野上院長


丸川部は、そんな部長を慕って集まる熱い若手たちの巣窟だ。

「部長のようになりたい」と口を揃えるが、奥さんのぼやきを知る者はほとんどいない。


ある日、その話を耳にした野上院長は、羊羹をかじりながらひと言。


「……まあ、ええんちゃう。病院のためにも、家族のためにも、丸川は走りすぎるくらいがちょうどええんや」


奥さんはあとでこうつぶやいた。


「院長先生の“ええんちゃう”って、うちの主人を一番わかってる言葉かもしれないわね」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ