何もしない院長パート80 看護師特定行為研修 開校式
講堂には白衣やスーツ姿の参加者たちが並び、やや緊張した空気が漂っていた。
壇上に立つ野上院長は、いつものように少し肩の力の抜けた笑顔を浮かべる。
■野上院長挨拶
「みなさん、こんにちは。学校長ののがみです。
今日は特定行為研修の開講式、つまり新しい門出の日です。
当院からは杉永さん、林さんが参加されます。お二人がこの道を選ばれたこと、院長として心から誇らしく思っています。
この研修は、看護師としてさらに一段高い専門性と判断力を身につける、とても意義深いものです。実践の場で役立つ観察力、判断力、専門知識を学ぶことになります。きっと大変な場面もあるでしょうが、そのぶん得られる力も大きいはずです。
当院の理念には “よき医療人を育てる” という方針があります。研修医の育成と同じく、特定看護師の育成はこれからの地域医療を支える柱です。訪問看護や病棟など、医師がいない場面で看護師が判断を求められる機会は確実に増えます。その時、この研修で学んだことが力になります。
地域で安心して暮らし、治療を受けられる社会の実現には、皆さんのように知識と実践力を備えた看護師の存在が不可欠です。どうかこの期間を通じて大きく成長されることを期待します。
最後に――特定行為研修は “特別な人になる研修” ではありません。“普通の看護師が、ちょっと頼りがいのある人になる研修” です。肩に力を入れすぎず、仲間と一緒に学びを楽しんでください。
本日はおめでとうございます。そして頑張ってください。」
会場の反応
一瞬ピンと張りつめていた空気が、「ちょっと頼りがいのある人」という言葉でふっと和らぐ。
講堂の後方で、売店のおばちゃんが「院長さん、相変わらず言い方がうまいわねえ」と頷いていた。




