68/162
何もしない院長パート61 「院長は売店のおばちゃんと仲良し」
これはフィクションです。実在の人物・団体とは関係ありません。
南方総合病院の1階、院内コンビニ。
昼も夜も、患者さんや職員でそこそこにぎわう小さな売店だが、朝一番に訪れる常連客がいる。
――院長・野上である。
「おはようさん、今日は新作のフィナンシェ入っとるで」
レジ奥から顔を出すのは、売店のおばちゃん・谷口さん。
野上は目を細め、「そら買わなあかんやろ」と、ついでに職員用のコーヒーやら、救急に差し入れるバナナやら、レジかごをいっぱいにする。
谷口さんは、ただの売り子ではない。
「あの患者さん、今日はちょっと顔色悪かったわよ」
「○○先生、最近夜遅いんちゃう?」
――と、何気ない会話の中で、病院の空気をやんわりと伝えてくれる“院内の見守り役”でもある。
ある日、野上がレジに並んでいると、後ろから高校生のFuture Hands Projectメンバーが声をかけてきた。
「院長先生もここで買い物するんですね!」
「そやで。ここがな、院長室のサテライトオフィスや」
谷口さんも笑って、「ここで大体の院長会議は終わっとるんよ」と冗談を重ねる。
そんなやりとりに、レジ前の空気はふわっと和んだ。
お菓子や飲み物と一緒に、ちょっとした安心感も持ち帰れる――野上にとって、売店はそんな場所なのだ。




