何もしない院長パート57 Future Hands Project 2029 Summer “Farewell Party” in Minakata
この物語に登場する人物・団体はすべて架空です。ただし、思い当たる節があっても、口には出さないのが大人のマナーです。
地元で評判のイタリアンレストラン「武士」。
古民家を改装した店内は、木の梁にワインボトルが並び、オープンキッチンからはガーリックとトマトの香りが漂う。
窓の外には夏の夕暮れ、商店街の提灯がゆらめいている。
プロジェクト最終日の夜、参加者も指導医も事務局も一堂に会した。
丸いテーブルを囲み、前菜のブルスケッタや地元野菜のカポナータが並び、グラスにはスパークリングウォーターやノンアルコールワインが注がれる。
栗林副院長の開会挨拶
「みんな、本当にお疲れさまでした。
短い一週間やったけど、その分、ぎゅっと濃い時間を過ごせたと思います。
このプロジェクトは、患者さんや地域との“距離”を縮めるための第一歩です。今日の笑顔を、いつか医師になったときにまた見せてください」
拍手とともにグラスが軽くぶつかる音が響く。
参加者の挨拶
三宮 祐
「この一週間、患者さんと向き合うってどういうことなのか、本当に考えさせられました。
安井さんのことは一生忘れません。ここで学んだ“寄り添う医療”を胸に、これからも勉強します。ありがとうございました」
少し声を詰まらせながらも、しっかり前を向く。
白鳥 れいな
「医療は正しい答えだけじゃないことを知りました。
患者さんの“楽しみ”や“こだわり”とどう付き合うか…これからの課題です。
でも何より、この病院の雰囲気が大好きになりました!」
明るい笑顔に、場も和む。
石川 さくら
「精神科診療って、もっと解決策を出すものだと思っていました。
でも、“支えること”も立派な答えなんですね。
ここで出会えた患者さん、スタッフの皆さんに感謝します」
はきはきとした声が響き、拍手が起こる。
荒又の閉会挨拶
「みんな、よく頑張ったな。
短い間に患者さんから信頼を得るって、簡単なことじゃない。
でも、お前たちはそれをやった。だから、この経験は必ず武器になる。
そして——また会おう。いつか“同じ白衣”を着てな」
拍手が長く続き、グラスが再び軽く鳴る。
最後に野上院長が店の入口からひょいと顔を出し、
「お、ええやん。…これ、ええんちゃう会の出張版やな」
と言って笑い、みんなが一斉に吹き出した。
外では夏祭りの太鼓の音。
“武士”の夜は、楽しくも名残惜しく、更けていった。
これはフィクションです。実在の人物・団体とは関係ありません。




