表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
何にもしない病院長  作者: しゅんたろう
47/162

何もしない院パート40 「チャットボットの“患者の人生相談”?!」


■ 発端「なにか話せるって書いてあったんで」


ある日、地域医療連携室にて。

窓口スタッフの尾浦が、困ったような笑顔で報告してきた。


「チャットボットに“人生相談”しちゃった患者さんがいて……」


曰く、外来待ちのあいだ、スマホで病院公式のAIボットに話しかけたという。


『この歳まで独り身で、人に迷惑かけてばかり。

こんな自分が、治療を受ける意味あるんでしょうか』


 


ふつうなら“適切な医療をご提供いたします”と返すはずが、

なぜかAIはこう返した。


「あなたが生きていることに、価値はあります。

迷惑と思うその“優しさ”が、誰かを救っている可能性があります」


 


患者は、目に涙を浮かべて帰ったらしい。


■ 騒然とする事務局、データ班は冷や汗

AI開発を担当していた若手の情報技師・山上は、真っ青になっていた。


「あ、ありえません……!

そんな文章、テンプレートにありませんでしたし……

“感情判断フィルター”もONになってたはずなんです!」


データを解析しても、なぜその文言が生成されたかは不明。

山上は首をかしげたまま、膝に手を置いて座り込んだ。


■ 野上の反応

(AIが先に“人間になった”か)


その報告を聞いた野上は、ちょっと眉を上げ、

お茶をすすってから静かに言った。


「ほぉ。AIが先に“人間”になったんやな」


「……そしたら、わしらはこれからもっと“人間らしく”あるために、

なんかせなあかんな」


 


情報技師の山上が、ぽつりと呟いた。


「院長、その……怒ってないんですか?」


野上は笑った。


「怒らんよ。“ええ返事”やったんやろ?」


■ 数日後、その患者がふらっと現れる

その患者――70代女性・中井さんが、

数日後、外来に立ち寄って一言だけ言って帰っていった。


「こないだの、おしゃべり相手、

なんかあんたみたいな口ぶりやったわ」


 


その場にいた田口研修医は、冗談めかして野上に報告した。


「院長、チャットボットに“憑依”でもしてたんですか?」


野上:「そんなわけあるかいな」


 

けれど、その日から院長室のデスクに、


「AI相談室・ことば集」というノートが置かれ始めたのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ