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何にもしない病院長  作者: しゅんたろう
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何もしない院長 パート36 「研修医たちの声が県庁を動かす!? “ここで働く理由”プロジェクト」 ――静かな病院に響いた、若者たちの言葉と決意。

『あれ?この話、実話じゃないの?』そんなことを言う人が3人いたら、それはもう“実話風フィクション”です。



■ プロローグ:「再編案、やはり無理があるのでは?」という再燃の気配


前回の協議でひとまず沈静化したかに見えた“再編構想”だったが、

再び県議会で話題に上がり、厚生部内では“見直し圧力”がくすぶっていた。


その背景には、

「若手医師の育成・定着が困難」

「南方病院にばかり人が集まっている」

という不満が他病院側から上がっていた。


有明部長:「どこであれ、地域医療を担う意思があるのか。それが問われているんです」


 


■ 展開:「じゃあ聞いてみたらどうです?」と事務局長・中西

会議後、野上の代わりに県庁へ赴いた事務局長・中西がひとこと。


中西:「じゃあ聞いてみたらどうです?

“なんで若い医者が、うちで働こうと思ったか”って」


県庁の若手職員がざわつく。

それは確かに、一度も“本音”として議論されてこなかった。


 


その週、「ここで働く理由プロジェクト」が立ち上がった。

主導したのは、教育担当医の河添診療部長と、若手看護副部長の江前田。


■ 研修医たちの声:アンケートと一言動画

院内では、研修医や若手医師に“匿名の一言メッセージ”を求めた。

内容はシンプルだった。


Q1:なぜ、この病院を選びましたか?

Q2:ここで働いて感じたことは?

Q3:あなたにとって“地域医療”とは?


 


提出された用紙の中には、こんな言葉が並んでいた:


●「患者さんの“家族まで診る”感じがここにはあった」

●「野上院長が“人生相談でもええよ”って言ってくれた」

●「専門性と同じくらい、“迷える時間”を大事にしてくれた場所」


 


5分のダイジェスト映像は、

県庁内で関係者限定として放映された。


 


■ 県厚生部長の変化:「数字だけで語っていたかもしれない」

研修医たちの飾らない言葉、

表情、たどたどしいが真剣な語り口。


それを観た有明部長は、

手元の再編資料をそっと閉じた。


有明:「……数字じゃ見えないものが、確かにここにはあるですね」


その日、有明はひとつのメールを送った。


【件名】:再編計画の柔軟運用について

【本文】:


南方病院については、人的・教育的基盤を含めた“地域中核モデル”として

既存の構想と別枠で議論する余地あり。

構想は、人の育ちを支える制度であるべきだ。


 


■ 院長室にて、何も知らぬ野上のひとこと


広報係 城方:「院長、研修医さんたちの映像、県庁で好評だったみたいですよ!」


「……え、なんや、映像なんかあったん?」


城方:「ま、まさか知らなかったんですか⁉」


野上ポツリと:「……なんやみんな、ええ仕事してますなぁ」


そしていつも通り、湯呑みにお茶を注いだ。


これはフィクションです。実在の人物・団体とは関係ありません。

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