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何にもしない病院長  作者: しゅんたろう
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何もしない院長パート104 「重症度看護必要度ピンチを救え!〜現場の知恵編〜」


■ 臨時カンファレンス招集


能生原の号令で、再び各病棟の看護師長・医事課湯先・リハ科好岡・MSW野守が会議室に集められた。

湯先がグラフを示す。

「現在の重症度該当率……23.1%。前回より上がったが、まだ安心できません」


吉永看護部長が口を挟む。

「現場は処置が必要な患者さんばかり。なのに“書き漏れ”や“評価の甘さ”で数字が落ちる。工夫せな」


■ 工夫その①:退院前リハ強化


好岡リハ科長が提案する。

「リハ強化加算の対象となる人は、退院前に“歩行評価”を必ずやる。ベッドから椅子に座れるだけでADL得点が変わる。結果、必要度に直結するんです」


看護師長たちは頷き、「そうか、日常的にやってることを“評価に記録”すればいいんだ」と目を輝かせた。


■ 工夫その②:診療科横断カンファレンス


能生原看護師長が次の手を打つ。

「内科も外科もリハも、週1回“横断カンファ”をやりましょう。栄養、褥瘡、誤嚥……合併症を拾えるかどうかで必要度は大きく変わります」


MSW野守が笑って言う。

「家に帰れない理由を、社会的要因も含めて拾っていくと、医学的にも“該当項目”が増えるんですよね」


■ 現場の化学反応


ある日の内科カンファ。

「この方、誤嚥リスクありますね」

「ならNSTに相談しよう」

「転棟前にADLチェックも!」

……と、それまでバラバラだったチームが、“必要度と患者の安全”を両立させる方向で自然と盛り上がっていった。


■ 野上の落ち


会議の最後、ずっとオブザーバーで黙っていた野上が、ぽつり。

「……結局、“数字を追う”んやなくて、“人を見直す”ことが一番の効率化やな」


沈黙の後、笑いが漏れる。

「院長、それ最初から言ってくださいよ!」

「いや……みんなで気づいた方が、値打ちあるやろ?」


■ エピローグ


翌月の重症度必要度割合は、25.7%。ぎりぎり基準を超えて維持成功。

院内には「#ギリ超え戦隊ナース」と書かれた手作りポスターが貼られ、野上も思わず吹き出すのだった。


*注釈:令和6年度(2024〜2025年度)診療報酬改定のポイント


・本編では「患者のADL(B項目)得点が看護必要度に含まれている」という前提でストーリー展開を行っていますが、実際には令和6年度診療報酬改定により、以下のような変更がありました。

・急性期一般入院料1(7対1など)では、B項目(移乗・食事・意識レベルなどADL評価)は評価基準から除外されました。

・判定基準となるのは、A項目(モニタリング・処置等)およびC項目(手術・医学的処置)への該当のみとなります。


衛生局からの経過措置もありましたが、制度対応が完了した医療機関は、新基準に基づいて施設基準の届出を継続する必要があります。


なんか厳しいですね。病院経営が厳しいのも納得ですね!

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