何もしない院長パート98「シャドーワーク、加算になる」と、いいな!
「この物語に出てくる人たちはみな、きっとどこかにいる。名前は違っても、想いは変わらない。」
註:ちなみにシャドゥワークに加算は尽きません。著者の妄想ですので信じないでください。
■ 厚労省の会議室にて
「退院支援加算の拡充について……」
厚労省の分科会で、ある若手官僚が資料を読み上げていた。
「ケアマネジャーによる退院調整の“実態”を評価し……」
そこでスライドに写ったのは、まるで家政婦のように病室で冷蔵庫をのぞくケアマネの写真。会場がざわつく。
「これも……支援ですか?」
「いえ、シャドーワークです」
「でも、患者さん助かってますよね」
議論の末、誰かがボソッと。
「じゃあ、シャドーワークも加算で評価しちゃえばいいんじゃ?」
■ 地域での実証実験
南方総合病院でも早速、実証が始まった。
ケアマネ中村さんが退院前カンファでこう言う。
「冷蔵庫に賞味期限切れの納豆がありまして……」
すると医事課の湯先がにやり。
「それも業務として記録しておいてください。請求できるかもしれませんから」
看護師長が驚く。
「え、冷蔵庫チェックが加算対象!?」
「ええんちゃう、地域生活支援ですわ」
野上の一言で会場は爆笑に包まれた。
■ 在宅連携の新加算へ
その後、在宅連携の新加算が発表された。
対象業務の例示には――
在宅での服薬管理確認
冷蔵庫・食材確認
飼い猫のトイレ掃除支援(?)
「最後のは誰が入れたんや!」と全国からツッコミが入るが、制度の趣旨は明確だった。
“影”と呼ばれてきた仕事に、光を当てる。
■ エピローグ
新聞の地域版にはこんな見出しが踊った。
「ケアマネの“影の仕事”、ついに公認へ!」
――地域医療の新しい柱へ
野上は記事を読みながら、ぼそっと。
「影も役や。ええんちゃう、役者にしてしもて」
これはフィクションです。実在の人物・団体とは関係ありません。