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2.ペガサス


「レイブン、これも食べないのか?」


そんな声が聞こえたのは午前11時頃。仕事を終わらせ食堂に向かう時だった。


(随分綺麗なペガサスだな...しかもこの魔獣の為だけに厩舎が建てられてる。特別待遇って奴か)



「すいません。その魔獣がどうかしたんですか?」

「む?誰だい?」

「先日ロクム厩舎に配属されたリディと申します」

「あぁ、魔獣生産経験者と噂の...。この魔獣は王様の騎士時代のパートナーである魔獣なのだが...今朝からどうも元気がなくてね。」

「王様の...ではもう戦場には出ないのでしょう?治癒魔法を使えばよろしいのでは?」

「それがこの魔獣は耐性を持ってしまってな...」



魔獣は戦場ではない限りは病気や怪我があった場合は薬で治癒する。

元々彼らは魔法を使えない環境で育つため魔法を与え続けると耐性を付けてしまう可能性があるからだ。

引退魔獣だと言うなら治癒魔法を使えば良いのだが、耐性が付いてしまったなら無理か。



「魔獣医は?」

「ちょうど出掛けていてね。とりあえず薬草は与えてみたのだが」

「...魔獣医は1人しかいないということですか?」

「あぁ、ここは王宮だからね。出来る限り関わる人間を減らしたいんだろうさ」

「なるほど。薬草は何を?」

「とりあえず怪我を直す用の薬草を。もちろん特薬草だ。」

「それで治らないと言うことなら怪我ではないと。魔獣房に入っても?」

「構わないよ」

「ありがとうございます」



はーいよいよい、なんて安心させるために声をかけつつペガサスことレイブンに近づき足元を触る。

ふん、足元の怪我や熱は無しと...。



「今朝の厩舎の掃除は誰が?」

「掃除か?いや、朝からレイブンがこの調子だったからまだ掃除はしていないはずだ。」



まだ掃除をしていない...にしては糞が無いな。

飼料も残っている。



「エサを最後にいれたのは?」

「ちょうど先程だな。物欲しそうに前かきをしていたからたっぷり与えたのだが...一口ほどしか口を付けなくてね。」



前かきをしていたと言うことは少しは立てていたということか。

なら重症ってほどではないだろう。


「最後に。このペガサスは普段放牧などは?」

「あまりしていないな。まぁまぁな年齢ということもあって厩舎でのんびりと過ごしてもらっているぞ」

「...おそらく腹痛かと。あまり運動をせず食べてばかりのペガサスは腸の活動が衰え糞や尿を出せなくなることがあります。他の種族ならば嘔吐しますが、この子達は嘔吐するに適した身体の構造ではありません。」

「なんと...では、薬を用意したほうがいいのか?」

「それはそうですがこの程度であれば腸に刺激を与えれば良くなるかと。一番は引いて歩かせるのが良いのですが手は空いていますか?」




「私に引かせてはもらえないだろうか」




厩舎の入り口から声がした。



「王!いったいどうしたのですか!」

「どうしたも何も我が友の体調が優れないと聞いてね。少しばかり様子見に、と。」



ほー、これが王様か。村にいたらまず目にかかれんからな...。案外普通のおっさんって感じなんだな。



「娘よ。いつまで歩けば良い?」

「あー、30分程度でしょうか。30分経ったあとに糞を出すことが出来ているかどうかを確認してください。もし出来ていなければロクム厩舎まで連絡をいただけると...私が診に来ますので。」

「わかった。さて、レイブン...久しぶりに語らおうとするか。」



そう言って王はペガサスと共に外に出ていった。

...もうこんな時間か、急いで飯を食わねば午後の仕事が始まってしまうな。



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