紫雲
仕事が上手くいった日の帰りの空は、紫雲で敷き詰められてるのよな。
ぼやーんとした締まりの無い空。
厭な気配はしないけとれども、上から坊さんがニヤニヤ笑ってると思うと、見せもんじゃねえぞ!
と、どうしても気持ちが荒ぶってしまう。
上人だか聖人だか知らねえけど、そう簡単に天に吊られてたまるかいって。
カイジの地下行きもアガルタもゴメンやけどさ………
地上の星でいいじゃん?
南極?
よりもいで見たから別にいい。
「ギャハハハハ!!!」
ふん。
イヤホンで四天王の入場曲を聴いて、下卑騒音は封じてあるはず………それを割って入ってくるとは?
イヤホンを外す。
周りを見渡す。
痛い程の静寂が、夜の商店街に染みる。
人の気配も無い。
やはり、イヤホンに憑かれたか。
人を惑わすのに努力を惜しまないね、ホント。
そういうとこだけは買ってやるよ。
イヤホンを戻す。
やはり、四天王の入場曲が大音量でかかる。
下卑騒音は鳴りを潜めた。
ふん。
種が割れたら引いたか。
また、次の手、次の手とくるんやろな。
これ自体が、意識を逸らす為の事象とかな………
やりそうなこった。
人を化過にしてるぜ。