猫に散歩は必要ない
猫を飼っている。
雑種である。
数年前に猫嫌いの親戚経由で我が家にやってきた元ノラである。
母が古式ゆかしい名前を付けた。
そして、完全室内飼い…… だったら良かったんだけどね。
完全室内飼いにできない理由。
それは母。
猫に古式ゆかしい名前を付けた張本人。
「猫を外に出さないなんてカワイソウ」
てなことをバリバリの方言でのたまい隙を見つけては猫を外に出している。
どんなに猫を外に出すなと注意しても、どうしても外に出してしまう。
家の中だけで過ごす猫はカワイソウとか言って。
昔農家だった実家で鼠番として猫を飼っていた頃の記憶と経験がそう言わせているのはわかるのだが、我が家は狭い敷地に建つちっさい一軒家で近くには狭くともバンバン車の通る道もある。
広い敷地に母屋と納屋と牛小屋があり道はあっても車の少なかった時代とは環境が違いすぎるのだ。
ついでに言えばその時代の猫が外をうろつき回って鼠を狩りまくったのは肉食の猫にネコマンマなる、ご飯(米・植物)に味噌汁(塩分過多)をぶっかけたものを与えていたからだという説を聞いたことがある。
要するに食事が合わずに自分で自分の食い扶持(鼠とか色々)を確保していたらしいのだ。
ニンゲンの側、しかも農家なら鼠(お肉)は向こうから寄ってくるし。
現代は猫が好み、栄養も豊富なキャットフードがある。
当然我が家も猫にはキャットフード(カリカリ)を与えているしなんだったらおやつ(チュール)も与えている。
わざわざ外で狩をしてまで食料を確保する必要性がないのだ。
それなのに外に出られないのはワカイソウの精神で外に出す。
「散歩行って来い」
とか言いながらこっそり外に出す。
もう「行って来い」が「逝って来い」に聞こえるレベル。
犬とは違うのだよ猫は!
母が猫に散歩は必要ないことを理解してくれる日は多分やってこない。
困ったもんである。
最近は暑すぎて空調の効いた部屋で寝ている猫。