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第2章⑧先輩たち

 声が響いた。

 宅井はボールを落とし、男子は耳を塞ぎ、須磨は背を伸ばして聞いた。

「あんたたちは誰だよ?」

 そこには3人の男子学生がいた。

「それはこっちのセリフだ。ここは俺たち卓球部の部室だ」

 角刈りの男は鋭い目つきで睨んで言った。

「やーね。そんな暴力的な言い方したらだめよ」

 ロン毛の男は妖艶な目つきで制した。

「ふん。お前の女性的な言い方が優しすぎるだけだ」

 坊ちゃん刈りの男は皮肉っぽい言い方だった。

「俺は新入部員の須磨です。よろしくお願いします」

 須磨はお辞儀した。

「俺は3年の大虎だ――それで、その新入部員が勝手に何しているんだ?」

 角刈りの大虎は相変わらず目つきが悪かった。

「何って、卓球ですよ。見たらわかるでしょ?」

「そうじゃねぇ。どうして佐藤が伸びているんだよ」

 大虎は倒れている佐藤を指さした。

「あーあれか。あれは……」

「す、すみません。これには訳があって」

 いじめられていた男子が2人の中を割って入った。

「お前は誰だ?」

「僕は……」

「あれはあの先輩が悪い!」


「0―10。今度は返せなかったね」

「くそ!」

「でも、仕方ないよ。片目がふさがっている状態でよくやったよ」

「なんだと?」

 須磨の左眉毛からの血が少し弱まっていた。須磨はその部分を左手で触り、赤く染まっていることを確認した。

 須磨が2人の間に割って入って、男子は再び名前を言えなかった。男子は再び心の中で泣いた。

「何が悪いんだ?」

「こいつをいじめていたんだよ」

「本当か?」

 2人は男子を振り向いた。その圧で男子は子犬のように震えた。

「ほ、ほほ、本当です」

 声を振り絞った男子を見ていた大虎は須磨を向きなおした。

「で、それとこれが何の関係があるんだ?」

「どういうことだ?いじめられていたんだぜ?」

 須磨は大虎に突っかかった。

「だからといって、お前がいじめていいわけじゃないじゃん」

「はっ?俺がいついじめたんだ?」

「だったら、なぜ佐藤が倒れているんだ?」

「それは正当防衛というか、なんというか」

「悪い奴はだいたいそういう言い逃れするんだ」

 ギャーギャーと言い合う中、静かに挙がる手。

「その人、悪くないですよ」

 宅井は冷静に言った。

「お前は誰だ?」

「僕は1年の宅井です」

 その言葉を聞いて、大虎は表情を明るくした。

「おー、お前が宅井か。噂には聞いていたよ」

「そ、そうですか」

 肩を掴みグイグイくる大虎に宅井は少し困った顔をしていた。

「そいつ、そんなに有名なんですか?」

「有名というか、噂になっていたんだよ、俺たちの中で?」

「どういう噂ですか?」

「今年の新入部員に、宅井という名前の女子が入るって。うちの卓球部、男性しかいないからどうしたらいいんだろうと話をしていたんだ」

 ……


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