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46話:ガネメモ秘話・降神戦争 その3

 


 周囲の戦いの様相は一変していた。



 孤軍奮闘していた妖精達だけでなく、周囲には様々な旗が翻っていた。


 王国、帝国、共和国、そして教団……


 それらの勢力と妖精達は力を合わせ、加護が失われ守り一辺倒だった戦いは攻勢に転じていた。


 国家連合はかなりの勢力であり、アンデットの総数が多いがその数をどんどん減らして行く。



 その様子に決着が着くのは、時間の問題かに思えたが……



 ――唸り声を上げる巨大な狼が怒りを称えた形相で、精霊女王(アリアンロッド)とローランを見据える。



『ティコ……やはり、おすわりはなかったんじゃないかな? チンチン(※犬の動作)くらいにしておけば……』


 ローランはニヤけた感じで精霊女王(アリアンロッド)に告げるが、精霊女王はいつものことの様にため息を一つ尽き。


『キミは子供か…… そんなことよりコイツが降神の本体だけど、この犬の姿は仮の姿で色々な存在に変身するんだ。そして残念だけどボクにはコイツは滅ぼせない』



 その言葉にローランのにこやかな顔付きが鋭くなる。


『へえ……君にそこまで言わせる相手とはね』



 ローランは手にしていた蛮剣(バスタードソード)を構え……なんと黒い狼に突撃した。



『なら……その力、見せてもらおうか!!』



 だが、黒い狼は駆けてくるローランの速度を超える速さで、その肉体(エサ)を噛みちぎらんと口角に捉える。



 ローランを捉え閉じられる口角……



 黒い狼はその口内にズタズタになったであろう人間の血の味を連想しただろうが、その匂いも味も全くせず、自身の涎の味しかしなかった。



 ――『取り敢えず相手の弱点を突くのは戦術の基本だから、弱点っぽい所を突かせてもらうよ』



 自身の口内に居るはずであろう人間が、自分の口角の真横に居ることに黒い狼は驚きを持つ。


 だが、すぐにそんな驚く余裕は狼から消えた。



 ローランは狼の下顎に刺さっていた剣の柄を持ち……


 下顎から上顎にかけて口角を切り裂く。



 苦しみの声を上げる狼



 そしてローランはその剣を狼の開き放しなった、喉の奥に投擲する。



『ほら、返すよ』



 剣は狼の頭も貫く形となり絶命した。



 そして黒い狼は再びパズルの様に分解され、降神の本体が剥き出しになる。



 ―刹那



『確かに硬い……いや、これは切れないのか……』

 ローランは意外そうに告げる。



 よく見るとローランはいつの間にか立っている位置が変わっていた。



 ――ギィ!!



 何か硬いモノ同士を擦り合わせる様な音が周囲に響き渡る。

 まるで音が遅れている様に……



「一体何があったんだ」


 正直俺は先程の狼を倒した時と言い、ローランが何をやっているのか全然分からなかった。


「藤也さんならご存知でしょうけど、先程からローランは《光速陣》のスキルを使用しているのですよ」



 《光速陣》

 ガーネット・オブ・メモリアルで、主人公が体得出来る最強スキルの一角であるもので、技解説にはその名の如く光速で動くことができ、必ず先手を取ることが出来る上にランダムの連続攻撃を行う、最終付近ではとても世話になる。公式ぶっ壊れスキルである。



(光速陣ってリアルで使うとこんなことになるのか……)



 光速なので俺の目に映る訳がない……



 そして再び異形の姿を取る降神の”核 ”今度の姿は俺に馴染みのある姿だった。



 それは古式ゆかしい和風の大鎧を身に纏った武士(もののふ)であった。



 だがその姿はとにかく大きく身長は優に3mほどある。


 そして最大の特徴はその額に生えている”ツノ ”であった。


 いわゆる鬼で、俺はつい有名なあの鬼の名を呟く。


「酒呑童子かコイツ?」


 だが、俺のその言葉にシロはただ一言「おしいですね」


「大江山の鬼ですが、これは星熊童子ですよ」


 聞いたことが無い名前に俺は「そんな鬼居たか」とシロに返すが……


「藤也さんの世界に資料や記述は殆どありませんが、酒呑童子の配下の鬼で戦いにおいては、実は酒呑童子より強かったとかなんとか」



 シロの説明に俺はそうなのかと納得し、幻影に再び目を移すと星熊童子は自身の身長くらいはありそうな野太刀を構える。


 その構えは剣術の流派も無かった時代の者だと言うのに様になった姿であった。



 俺は降神がこの姿になった理由をすぐに知ることになる。



 初手攻撃を仕掛けたのはローランであった。


 ローランの立ち位置が僅かに動いている。


 そして遅れてくる金属音、ローランは《光速陣》を使用したのだろう。


 だが、光速のその剣を星熊童子は、そこに斬撃が来るのが分かっているかの様に野太刀で受け止めたのだ。



 再びローランは斬撃を仕掛ける。


 今度の姿は《光速陣》より遅いのか、ほんの僅かながら俺の瞳にも映る。


 恐らくガネメモでの《音速陣》だろう。



 それで俺は思い出す。


 光速陣はリキャストターンのあるスキルであるので、現実においては連続使用に何かしらの制限があるのだろうと



 星熊童子は何とその《音速陣》から繰り出される斬撃も野太刀の(しのぎ)使い受け流し、その威力を借り、弧を描く様に星熊童子の野太刀がローランに振り落とされる。



 ローランは直感でその一撃を受けてはいけないと悟ったのだろう、僅かに後退し一撃を避ける。



 退避を好機と星熊童子は見るや、下段、そして突きの型の攻撃を繰り出し攻勢に転じる。


 ローランは何とか凌ぐが、攻勢・守勢の立ち位置は完全に入れ替わっていた。




「星熊童子は源頼光と四天王に退治されたとありますが、何とか生き延びその後、人として生き兵法を修めたとか…そして彼の消息はそこで途切れます。恐らくは……」



 俺はローランが苦戦している理由と、”核 ”がこの姿を盗った理由を悟る。


 剣術は対人間用のいわゆる殺人術であり、人間相手を想定された技術だ。


 ローランはデタラメな能力を使っているが、その基本の戦い方は人間のものであり、この星熊童子は人間の剣士にとっては特効の様な力を持っているのだ。



 昔友人とRPG議論をした時に、チート系を除き最強の魔物は何か?との結論で人間の戦闘技術と知性を身に着けたオーガと言う結論になった話を思い出す。



 この鬼はまさにそれを体現した存在であった。



『ローラン、1人でコイツを倒せる』


 ローランに精霊女王から念話で話しかけられる。


『……少し時間はかかるけど、負けることはないよ』


 相手はローランにとっては相性が悪い相手なのに、その自信はまったく揺らぐことはなかった。



『《解析》が終わったのだけど、”核 ”の《相移高次元神体》はボクの力やキミの力でも届かないんだ……だから”核 ”を《精界の聖地》に封印する』



 また分からない単語が出てきたが、俺は取り敢えず話を聞こうと念話に集中する。


『ボクは精界城で封印の準備をするからここを離れるよ。準備が出来次第念話で合図を出すから、このオーガもどきを倒して欲しい。そしたらまた”核 ”が出てくるだろうからそこを封印するよ』


『分かった。それまで舞踏(ダンス)を楽しむことにするよ。アテルアが相手なら最高だったのだけどね』


 そう言って精霊女王は精界城に転移を行う。



 精霊女王が居なくなったことにより、星熊童子は警戒心を上げるが……



『おいおい、今の舞踏(ダンス)の相手はコッチだろう。油断していると……その足踏むぜ!!』



 星熊童子の隙を突き、反撃を喰らわせるローラン。


 それにより星熊童子の意識は完全ローランに向かうことになった。



「色々聞きたいことはあるけど、まずは《相移高次元神体》って何だ?」


 俺は意味が分からないことそのイチをシロに尋ねることにする。


「うーん。これは人間である藤也さんには難しい話ですけど……何とか分かる様には説明しましょう」


 そう言ってシロは何処からともなく一冊の漫画を取り出す。

 それは俺でもと言うか、世界中でファンの居るインフレバトル漫画だった。


「まず、この漫画のキャラクターはメチャクチャ強いですよね」



 まあそうだな。


 何せ星とか平気で吹っ飛ばせる奴ら満載だし……


「確かに意味が分からないくらい強いけど、それが?」


 シロは俺のその返事に首を縦に振り告げてくる。


「では、凄まじい強さを誇る彼らですが……藤也さんを彼らが殺すことが出来ると思いますか? ちなみに現実に彼らが!とか、変なトンチとか、そう言った話はなしで」


 俺は少し考えるが、結論はすぐに出る。


「無理だろ。だって架空のキャラクターだし」


 俺のその言葉にシロは「正解です」と言い。


「そうです。彼らがいくら強くても藤也さんとは住む”次元 ”そのものが違うんです。いわゆる2次元と3次元ですね」



「これが《相移高次元神体》の基礎理論です」



「たとえどんなに強くても、この次元が上位の相手は滅ぼすことが出来ない。これは全ての真理です。丁度いいので、例をこのインフレバトル漫画を参考にして”数値 ”で表してみましょう」


 そう言ってシロはまた何処からか、ホワイトボードを取り出し色々書き込んでいく。


 手もないのにどうなっているんだと俺が思っていると、表の様なものが書き出される。



「ちなみにこの数値はあくまで概算の様なものです。本来は結構ややこしい要素で数値以上に変わることがあるので、ご注意ください」



 まず最初にシロが学校などで使われる指示棒で示した内容は”ガネメモ世界生物 ”と書いてあった。



 数値は1~90くらいとある。


「この数値は大体一般的な生物が持ちうる数値です。ちなみにこの数値の生物では上位の次元体に傷すら負わすことができません。工夫次第では次の上位に手をかけることは出来るかもですが、基本は無理です」




 そして次に100~490の項目に指示棒を移動させる。


「このランクになるといわゆる神…またはそれに準ずる者の数値になります。降神が盗っていた姿の者達の、元も大体はこのランクですね。ただ注意してほしいのは、次項の次元より劣るからと言って弱いとか、次の次元の神を滅ぼせないとか言うことはないので、そこは間違えない様に……」



 次は500~990の箇所だ。


「このランクは神々の中でも主神クラス、ゲームやアニメなどでも出てくる誰でも知っている者が多いですね。前項の300クラスより上の者達とはこのランクとゴチャ混ぜになることも多いです。300~600辺りは混沌としていて、高次元による優位不利はあまりないですね」



 シロはコホンと咳払いを一つつき


「ちなみにティコは700くらいのランクになります」


 ティコってそんなに強かったのかと俺は驚くが……


(まあ、親バカ補正もあるのかもな)


「あ、友神のたっくんは700~900のランクです」


 恐るべし、たっくん。



 そして最後


 その数値は1000以上と書かれていた。


「この数値は本来はありえないランクになります。まず1000を超えると未満の数値の者では決して手を出せない存在となり、まさに不滅の存在です。このランクの神は私でも知っている方々は僅かで、ここで名前は言えないのはご了承ください。まあ、たっくん以上と言えば大体分かると思いますがね」


 俺は何となく納得してしまった。


 神様の世も色々あるのだなと考えてしまう。



「で、あの降神が1000の高次元の神と言うことだよな」


 シロは頷き。


「はい。ティコが”アレ ”を使って滅ぼせないとなると、そうとしか考えられないのですよ」


 そして俺の次の質問《精界の聖地》について質問をするが、それは続きを観てもらうのが早いと言うことで続きを見ることにする。



 降神の封印を行う為に精界城に戻った精霊女王は、城の機能(システム)にアクセスする為、玉座の間で聖地の封印を解除していた。


『ローランこっちの準備は出来たよ。そっちはどう!』



 精霊女王(アリアンロッド)はローランに念話を送る。



『驚いたよ。まさかオーガもどきが正統の剣術を会得するとここまで強いとは……』



 確かに、元より人間とよく似た体型をし、身体能力においては人を超えた存在であり、それが弱者が強者を倒す為の戦術を会得し実行する。


 言葉にすれば何てことないことだが、天性の強者は弱者の闘い方を学ぶことはあまりない。


 星熊童子はそれを実行したことが、まさに天性の才能だと思う。


 いや……、星熊童子をその様に駆り立てる何かがあったのか…


 俺は大江山の源頼光の酒呑退治のくだりを思い出し、恐らくそれが原因かと推察する。



 精霊女王(アリアンロッド)は玉座の間で、ローランと降神との闘いの幻像を出し戦況を確認する。


 こちらで観ているとTVの中のTVを観ている様な妙な気分になるな。



 戦場の、人と鬼との戦いは膠着状態になっていた。



 ローランは音速陣を用い星熊童子の上、下、左右死角と言う死角を突き攻めるが、星熊童子の間合いは広く、又その範囲は結界とも言うべき鉄壁守りをみせていた。


 更にローランの攻めに対し、古流剣術の返しでローランにその刃が届きそうになるが、スキルで何とか渡り合っているのが実情だ。



「星熊童子はスキルも無く、ただ対人剣術の技術だけでローランをあそこまで追い込むのは大したものです……」


 シロの説明は続いたが、内容を要約するとローランの剣術は対魔物と人との間の技術であって、ガネメモ世界の習得技術としては通常の技術である。



 対して、星熊童子の剣術は対人間のみを想定したものであり、魔物相手だと対応力が弱いが、人間相手になると本人の身体能力も合わさり、スキルなどを問題にしないほどの力を発揮するものだそうだ。



 闘いはスキルによる性能(スペック)で上回るローラン、技術で上回る星熊童子という様な様相を呈していた。



『できればズルなしで何とかしたかったけど……仕方ないか』



 そう言った直後、ローランから光のオーラが立ち上りそのオーラは鎧の様に物質化した。



 俺はその姿をその瞳に収めた時、まさかと思う。



「あれは、《精霊転生》の防御タイプ技か」



 《精霊転生》は主人公のみが持つ、いわゆる超必殺技なのだがキャラクターの成長過程で、様々なタイプの特性を得ることができるもであった。


 一つは”攻撃タイプ ”いわゆる必殺の一撃の超必殺技だ。


 もう一つが、”回復タイプ ”これは味方を支援するものだ。


 そしてローランが使用したのが、”防御タイプ ”主人公の強化バフの奥義である。


 ちなみに俺はガネメモにおいては、ソロ用としては防御タイプが最強と思っているので、主人公(シュート・きみまろ)にも防御タイプを備えさせていたのだが……


「あ……申し訳ありませんが、ローランの基礎設計に藤也さんの創られた主人公(シュート・きみまろ)を参考にさせていただきました」


 え、そうだったのか……


 と、言うことは主人公(シュート・きみまろ)が実在するとあんな感じで戦うのかと思うと、少し気恥ずかしく感じる。



 運動会で父兄出場のリレーで親父の活躍を観る様な感じがした。



 光の鎧を纏ったローランは手にある蛮剣(バスタードソード)を構え星熊童子に斬りかかる。


 だがその速度は先程までよりも遅い。


 星熊童子にとっては遅いその動きは餌食でしかない。


 だが、ここでローランの速度が上がる。


 急な速度変化だが星熊童子にはその様なフェイントは通用しないかの様に、先の《光速陣》の攻撃を受けたかの様に受けと返しを行おうとするが



 今度は結果は違った。



 高く鳴る金属音。


 それは剣激の音ではなく、断ち切られる音……



 星熊童子の野太刀は半ばから断ち切られ宙を舞う。



 そして《精霊転生》のバフが乗った、ローランの《鋭斬(ハイ・スラッシュ)》のスキルの一撃が星熊童子の胴を薙いだ。


 大鎧の胴丸ごと肉を裂く一撃だが血は出ない。


 降神の一部となったことで、血を流すことはなくなったのだろう。


 この姿では勝てないと考えた降神は、星熊童子から別な姿に変わろうとするが……



 星熊童子は崩れゆく自身を抱き締める様にし、降神の変身を阻止しようとしていた。



『……まだだ……っ!! ハァ……ハァ……!! まだだ!!!』


 その言葉には強い意志を感じる。



「どうやら星熊童子の意識がまだ残っていた様ですね」


 星熊童子は半ばまで折れた太刀を下段に構え、自らの体を前傾姿勢に傾かせる。



 それは燃え尽きようとする者の最後の一撃なのだろう。



 ローランは相手の覚悟を感じ取ったのか、剣を構える。



 裂帛の怒号と共に、先に仕掛けたのは先程まで防御に徹していた星熊童子からだった。


 ローランに向かい、間合いに入った所でその動きが加速する。



 それは剣道でも基本となる摺り足だった。



 だが、その足運びは流水の如く迷いのない足運びでローランの間合いに入り、折れた太刀で袈裟懸けに斬り掛かる。



 後手に動き出したローランはその袈裟懸けの斬撃に対し、剣を横薙ぎに振う。



 先程の結果を観るなら、星熊童子の袈裟懸けの一撃はローランの横薙ぎの払いに刀を砕かれ刀ごと首が飛んだだろう。



 変化する剣線――



 星熊童子の刀は袈裟懸けから横薙ぎに変化しローランと同じく狙うのは……



 相手の首であった。



 交差する両者……



 互いに一撃が入る。



 宙に舞う頭部……



 そして肉が地に落ちる鈍い音が”一つ”した。





『驚いたよ……スキルもないのに、まさかこの姿の私を上回る一撃を放つとは、これが剣の極みと言うものなのか』



 星熊童子の最後の一閃は確かにローランの首を”先に”捉えた。


 だが、その攻撃はローランが纏う光の鎧が防いだのだ。



 ――ポタ……



 ローランの首筋から僅かな血が垂れる。


 光の鎧が無ければローランは首が飛び、星熊童子の首は半ばまでしか断たれなかっただろう、それは真逆の結果だ。



『勝負は君の勝ちなのは認めよう。オーガモドキ』



 星熊童子の死から再びパズルの様に分解される降神、どうやらまた別な姿になる様だが……



 玉座の間に居るティコは


『させないよ。ここで滅ぼせないのは不本意だけど……君には休暇を取ってもらう……永い休暇をね!!』



 精界城から放たれる光の柱。


 柱は変身を行おうとした降神を捉え、その柱に呑み込まれるが如くその姿を消した。





「以上が降神戦争の最終戦の内容になります」


 え?もう終わりなのか……色々分からないことがあるのだが……


「さっき言っていた精界の聖地って結局何なんだ、話しからすると降神をそこに封印したみたいだけど」



 シロは”それですか”と言い、幻像をまた表示させる。



「これは降神の現在の状態です」



 そこには先程の降神の”核”の状態の姿が見える。


 周囲には何もなかった。


 そこは平地の砂漠と言えばしっくり来る環境であった。


 その平地のど真ん中に降神は静に佇んでいる。


 降神は動かない……いや、いま僅かに動いた。



「ここが精界の聖地です。ここの空間の分かりやすい例としましては……竜宮城ですね」



 竜宮城と言うがここには鯛も平目も踊っていないが


「竜宮城のお話はご存知ですよね。いわゆる1日が地上の百年以上と言うあれです」



 そう言ってシロは降神に視線を合わせ告げる。



「この聖地は”妖精廻廊”と言われるものの亜種で、精界と現実では時間の流れが違うと言う所は共通しておりますが、この聖地中央の流れる時は1日が千年になります」


 俺はその言葉にエグいなと口に出す。


「ここの聖地は出入り自由ですので拘束は無理ですが、先の戦いで降神が弱っていることもあり、脱出までこっちの世界換算で数千年は時間が稼げるでしょう。それまでには何とかする予定です」


 降神の幻像を消したシロは俺に向き直り、仕切り直す様に

「では……今までの話を踏まえた上で、話を続けます」

 と言って来た。



いつもお読み頂いている皆様。

新規にお読み及びブックマークをして頂いた皆様。

そして、過分な評価をいただけました皆様。

皆様のお陰で、ここまで書くことが出来ました。

ありがとうございます。


今回もお待たせしてしてしまい、更に連続投稿で申し訳ありません。


書く自体は暇を見つけてある程度出来ていたのですが、リアルで忙しくて編集や訂正を行う時間が無かったので時間が掛かってしまいました。


転属で仕事が忙しくなりそうなので、暫く変な形での投稿になるかも知れませんが作品自体は続けたいと考えておりますので、稚拙な作ですがお付き合い頂けます様よろしくお願いいたします。


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