最後の一人は・・・。
もう慣れた。
誰もがそう思ったであろう光景。
とある昼下がりの、とある喫茶店。
決まった時間に、ティータイムをしている3人(?)組。
1人といっていいのだろうか悩ましいが、馬の被り物をした人。
そして何時しかリスの被り物をした人。
後は普通に人間。
この3人(?)を見かけてから早数か月。
いつかこの3人目の人間も被り物をする日がくるのだろうか。
と、この光景に慣れきってしまった人々がそう思っていたのに、最後の一人は人間を貫いていた。
何故被り物をしているのか、そもそもどうやって飲み食いしているのか。
そういった疑問は遥か彼方に消え去った。
・・・考えるだけ無駄だろうという、現実逃避を添えて。
そうして今日も3人(?)は定時でティータイムを切り上げた。
周囲の目は気にも留めない様子で別れていく。
よかったような、よくないような。
そんな日々が続いていたのに。
とうとうこの日が来てしまった。
この日、見かけた3人目は。
瞳孔が開いたような大きな目がクルクルと回り、赤いトサカが目に付く、大きな頭のニワトリの被り物な人と化していた。
というか、これはニワトリのカテゴリーに入れていいのか甚だ疑問ではあるが。
それにしても、ハッキリ言って中々に恐怖の光景である。
馬の被り物に始まり、リスの被り物が追加され、最後の最後でニワトリの被り物が来やがった。
目が行くどころではない。
イヤでも釘付けになるこの光景は混沌とかしていた。
一瞬でも目を離せばテーブルにあるケーキや紅茶は減っており、明らかに食べた形跡があるのにどうやって食べているのか全く分からない。
おまけに何を話しているかも分からない。
だが、やはりこれはツッコんではいけないものだと、暗黙の了解が周囲に出来上がっていた。
とてもじゃないが話しかけられないという現実も踏まえて。
そうして3人(?)はティータイムを終えて別れていった。
そしてその時は来た。
ニワトリ(?)の被り物をした人がその手を頭にかける。
思わず周りが息を飲む中、被り物は外され、中から出てきたのは。
最後の最後まできて・・・、全く同じ狂気のニワトリに終わった。
(((この光景、いつまで続くのだろう。)))
周囲の意見はやはり一致する。
そして思いもしなかった。
その数日後には、3人組(?)が1人増えて4人になっているとは。
馬に始まりニワトリに終わる。