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永遠の眠りにならない事を信じて。

 どうも、片桐ハルマです。

連載を一つも終了していないのにまた新しい新作を出すことはダメな事だとwかっているのですが、頻度のことを考えると可能かと思いましたので、投稿させていただきます。


 今回は、SF風の作品となっております。都市伝説ではあるあるの天体接近に伴う人類の滅亡。そして、科学知識を持った人間がどう抗っていくのか。を、描いた作品ではなく、現実感を少し残した異世界ものに近い形になってしまいました。(笑)。

 ですので、ほとんどは現状の地球での常識を残しつつ、新たの恒星気道で発生した新惑星の生態系を模しています。


 時間があればどうぞ。


大きな病院にあるような大勢の人間がどこからでも見えるような大きさのテレビが点灯している。不特定多数の人が見るためなのか、当たり障りのない国営のニュースが放送されている。しかし、今回は、そんなことが理由ではなく、もう民放放送など無くなってしまっているからである。


 「大変悲しいことですが、これが決定された我々の決断です。残された我々も・・・。」


 昨夜はかなり泣き喚いたのか、目の下が赤くなっている女性キャスターが平静を装いながら原稿を呼んでいる。その内容は今では日本国内のみならず、地球に住んでいる全人類が承知の事実である。淡々と読んでいたキャスターなのだが、最後まで読み上げる前に感情が高ぶってしまったのか、涙をこぼしながら、噎び泣きながら何を言っているのか分からない原稿を読み上げている。


 本来であれば放送事故として代りの差し替えの映像が流れるところだが、世界全て巻き込んだこの非常時にそんなことを気にしている人はいない。もし、この世界崩壊の危機が嘘であった場合は、このキャスターの女性は一生の黒歴史としてネットの中にその映像が永遠に残ることだろう。しかし、そんな絶対に回避したいが本心から望んでいる軌跡など起きない。


 それが分かったのはほんの五年前の話である。とある、天体観測所が偶然にも観測することに成功した一つの天体が、宇宙空間にもその傲慢な両手を伸ばしかけていた人類に衝撃の結末を予言した。


 「本日未明、某国のハスター天体観測所が一つの遊走天体を観測することに成功しました。えー。その予測軌道上には地球の軌道に重なる可能性がまことしやかにささやかれているとの情報も入ってきています。」


 当時の人々にはこれは一つのエンターテインメントであると思っていた。可能性は考えられるが、衝突はしない。もしくは、小説や映画であるような超巨大な核ミサイルでも打ち込めばその天体を崩壊させることも可能であろう。それだけの科学力を人間はすでに有していると。

 そして、ネット配信者も『これは都市伝説の延長線上なのではないか?』とか、『実際に観測されたデータはなくでっち上げなのではないのか?』とか、どこから仕入れたのか分からない情報を説得力のある仮説で固め、その再生回数の餌にしていた。

 

 そして、混乱を避けるために代表諸国が放送を制限したため、本当に都市伝説として大半の人々の頭の中から忘れられたころ、再び衝撃の放送が人類に絶望を叩き落した。


 これは、某国の大統領の演説を日本語に訳した某新聞の抜粋である。


 『人類滅亡の危機!?

 昨日、突然行われた大統領による重大発表が行われた。昨年に観測された天体は実際にこの地球に迫ってきており、最新のスーパーコンピューターの試算では地球の軌道上を通過するとのことだった。実際に衝突する可能性は低いのだが、その天体との重量影響により、太陽外軌道へ飛ばされる可能性が十分考えるとのこと。その為、我が国は国民を収容するためのシェルター建設の為、諸国との貿易を一時制限するとのことであった。』


 これにはさすがに平和ボケした先進国の凡人たちも一挙に政府に対して自国の危機管理状態を把握するために多くの人間が押し寄せた。

 幸いなことに、稀にみる赤字国家であったのだが、腐っても先進国であったようで、某国が発表したシェルタ―とは別の方法でその危機を乗り切る方向で思案されていたようであった。しかし、その内容は、今を生きるすべての国々を敵に回しかねない内容であり、その内容は国民に知らされたのは、天体が市販の観測機材でも確認できるほどに肉薄した時であった。


 『我が国の資産、技術力、領土の関係上すべての国民が生活可能なシェルタ―を建設可能ではないという結論に至りました。その為、最小限の面積で最大量の国民をこのような形で収容することは非常に心苦しく思っております。』


 それは、小さな島国で、世界を牽引することの出来る技術を一つくらいは有していた、天然資源が全くない貧乏な国が出した苦肉の策であった。


  コールドスリープ。


 その機械を収容することの出来る施設を少ない国土の地下にこさえることで、この危機を彼らなりに回避できると信じていた。人間の生命活動を一時的に停止させるので、生活に必要な食料も居住面積も必要ない。他の国がその為に使っている面積を機械の正常可動を維持するためだけに使えるので、かなり長期間の凍結が可能になる。など、期待が高まる文言が多く並べられていた。しかし、暴動が起きた。当然の結末である。国民全員は決して助からない。そう突き付けられ、「はいそうですか。仕方ないですね。」と、受け入れらるものなどごく少数だろう。しかしそれは、全国民を収容すると言っていた諸外国でも同様の結末であった。


 しかし、その暴動は急速に鎮静化していった。いや、今までその国がやってきたような警察官が盾を持って抑えるような安全で平和的な方法ではなく、暴力を持っての圧倒的な戦力による鎮圧であった。それはまるで、テロリストを排除するかのような。

 そして、その鎮圧作戦には、諸外国も助力を惜しまなかった。


 棒島国首相はさらにこう語った。


 『これは、自国民を助けるための策ではありません。地球に住む人間という種の存亡をかけた作戦です。ですので、当然ながら全人口を治めることは出来ません。また、より確実なものとするため、感情的選抜も行われません。より確実で、最も可能性のある者たちに我々人類の存亡を託します。』


 それは、以下の項目に当てはまる者たちの事であった。


凍結人員は、男性満30歳、女性満25歳を越えない健常なものとする。

学術的、知識的、技術的牽引者としてその例外は認めるが、その者の家族に関しては上記の規定通りとする。

技術的問題の為、満14歳を超えないもの凍結は不可であり、同理由にて満70を超える者も不可とする。

精神的、身体的に異常をきたし、日常生活における障害のある者は対象外とする。


 その他にも、健康管理がずさんな者(太ってるもしくは、痩せすぎている者)。そして、容姿もまた目覚めた時の不確定因子として、水準を満たせないものを排除した。


 その為、人権団体や選考を漏れた者たちが政府の決定に対し意義を唱えたが、その声に対し当時の首相はこう語った。


 『我々は今、一つの種族としてこのような決定をいたしました。これは、政治的方針ではありません。現に他の国々のとった方針でも漏れた者は多くいます。そして、私自身もその既定の外、死にゆく人類の一人に過ぎないのです。』


 人間、この未曾有の危機をどう乗り切っていいのか全く分からなかった。故に、ついに人類は一つとなって決断を下した。


 人類の全滅だけは間逃れよう。


 その結論の末、国ごとに独自の方法で人類を残すことにした。地下に巨大なシェルターを作る国。火星に移住し新天地とする国。宇宙に飛び出しフロンティアを求めた国。コールドスリープ状態で眠りにつく国。どの方法が確実なのかは分かるわけがない。だからこそ、種として生き残る道を模索し続け、この決定に至った。

 その為、それでもなお反発するものには容赦のない鉄槌が下って行った。その内容は、五年経った今でも思い出したくない。


 そういった内容の原稿を読み終わるころには、落ち着て生きた女性キャスター。


 「それでは、選ばれた皆様方。我々の方法が成功法であることを。いえ、旅立った者たちを含めすべての人類が生き残ることを祈って。もし、滅びの道をたどらなかった時は、私達が優しく起こすことを約束いたしましょう。」


 原稿を読む女性キャスターはもう涙を堪えようとしない。彼女はこれから多くの人類と共に死にゆく存在だ。そんな、切な願いを画面越しに聞きながら、このコールドスリーパーに選ばれたオレ―久保谷 雅は、何の味もしない液体を飲み干しながら同じくコールドスリーパーに選ばれた人と話かける。

 周りに同様にコールドスリープの実行者に選ばれた者たちが談笑していたり、抱擁していたり、接吻していたり、神に祈っていたり、各々自由にしている。もうすでに凍結に入っているカプセルもいくつか存在している。


 「そんな期待されても隕石でも振ってこられればそのまま死ぬんだよなぁ。」

 「それに機械の誤作動とか言って、起きれない可能性もあるですしな。」


 彼は、俗にいうアニオタらしく、しゃべり方が少々異質なのだが、体だけは健康だったのか、雅の隣のカプセルに座って同様に何の味もしない液体を飲んでいる。


 「これクソ不味くないか?」

 「仕方がないですぞ。これを飲まなきゃ体内の隅々まで凍結できないのですから。」


 何でもこの液体には体温の恒常性を失わせ、細胞の分裂を止める作用があるらしく、これを飲まないとコールドスリープしても細胞が壊れて正常に起きれないか、そのまま冬眠に入ることなく死ぬらしい。

 また、副作用として免疫作用も無くなるので現在のこの部屋の様に無菌状態でなければ人を一瞬で殺せる合併症を発症するとかしないとか・・・って、完全に毒物じゃねぇか! とも思ったが、仕方なしにパウチに入ったその毒物を飲み干す。これで、二時間以内にコールドスリープされなければ体温が室温になってしまうので死んでしまうらしい。


 「どちらかというとオレらの方がリスク高いよな、この計画。」


 というもの一度コールドスリープに入ってしまうとこちらから何かをすることは出来ない。その為、想定した年数が経過するより早く地球が人間の住める環境になったとしても、外部から開けてもらえない以上は起きることは出来ない。同様の理由で、危機が訪れても逃げられないし、この機器を維持する施設が破壊されてもアウトと、結構なリスクが付きまとう。

もちろん、目の前に迫った危機は、上にいる人たちから比べれば助かる可能性があるのかもしれないが、それも絶対ではない。それに、現状の人類が我々に危害を加える可能性は低いと考えられるが、今後、シェルターに残った人類が外の世界に出て、文明を再び築いたとしたら? 文献も情報もなくこの施設に辿り着いてしまったとしたら? 凍結されている我々に危害を加えない確証などない。


 「そうはいっても今更遅いですぞ。薬は飲みほしてしまったのですからして、はい。」

 「確かにそうだな。腹決めるか。」

 

 と、決意を新たに決め直し、飲み干したパウチを握りつぶしてから備え付けのゴミ箱の中に入れる。恐らく、我々が眠ったあとで誰かが回収するのだろう。


 「じゃあ、オレ行ってくるわ。」

 「では、また起きましたらですな。」

 「お前は会いに行かなくていいのかよ。唯一のつがいだろ?」

 「問題ないですぞ。しっかり通じ合えておりますので。」


 普通に言っても気持ち悪い言葉を、そんな言葉遣いで言われると、引きつった笑みでしか返せない。


 つがい。まるで動物のような表現だが、こんな状況では人間も地球にいる一つの生の種類に過ぎないことを認識させられる。そして、それは正しい表現なのかもしれない。このコールドスリープ班では、目覚めた時に子をなすためのつがいが用意されている。多少の好みの差は個人にあったかもしれないが、AIによって性格、趣向、判断材料、適正抗体、等々その個体間で最良の個体を生むことのできる組み合わせらしい。

趣向も思考のルーティーンも全てが理解しあえる関係であるといえるので、目の前ですでにカプセルの中に入っている彼の考えは、彼のつがいでも同じことが言えるのだろう。

 だから、雅がここで会いに行こうと思ったように彼女もまた会いに来てほしいと思っているに違いない。そんなこと思いながら隣の区画にいる、つがいの元へと歩みを進めた。元も子もないことを言ってしまえば決められた結婚でお見合い以上に夢がないのかもしれない。でも、こんな状況で唯一感じる幸せといってもいい。何せ、この計画に選ばれてから実に一年以上の月日を彼女と過ごしてきたのだから。


 そんな事を考えながらつがいのいる壁一枚向こう側の区画へ雅は足を運ぶ。

 そこにも同様にいくつもカプセルと大きなテレビ。そして、コールドスリーパーたちが多くいた。といっても、以前の国の1000分の一にも満たない人数なのだろう。


 「入ってもいいか?」

 「ドアなんてないでしょ?」


 そんな冗談を口にする雅の声にこたえてくれたのは明らかに日本人離れした一人の女性だった。名前は、本条 優佳里。生粋の日本人のような名前なのだが、父が日系二世で母は確かコスタリカの方の人であると聞いたことがある。なので、彼女が日本人離れした顔立ちでも驚くことはない。そして、比較的容姿も整っている方なので、当りといえるだろう。


 彼女の腰かける凍結用のカプセルのクッション部分に雅も腰掛ける。


 「もうすぐだね。あたし不安だよ。」

 「大丈夫だ。起きた時にはオレもいる。」

 「約束だよ? ちゃんと起こしに来てね。」


 同時に起きるプログラム設定なので、一度眠れば次に意識を取り戻すときには一瞬の出来事のはずなのでそこまで感動的なことはないはずである。


 「心配しなくてもちゃんと起きれるよ。しかもこんなにすぐそばでな。」


 壁が一つあるとはいっても同じ施設内の徒歩0分の距離だ。それでも不安はぬぐい切れないのか、優佳里は一つのペンダントを取り出す。普通のペンダントは金属製が多いのかもしれないが、コールドスリープの影響状そのペンダントは樹脂でできているようだった。


 「これ。持ってて。お守り。また会えるようにって、お願い込めておいたから。」

 「ああ、必ず会えるさ。お休み。」

 「うん。」


 こうやって話していると名残惜しくなってずっと話してしまいそうだから先に薬を飲んでおいたのだ。タイムリミットの代償が死であれば長話をしようとも思わないだろうから。

 それでも、話を切って眠るのは少々いやな気分である。もう少し、あと少しだけでも彼女の不安を取り払ってあげたいそう思う感情を抑えて。


 「もう行くよ。薬を飲んであるんだ。」

 「わかった。おやすみ。またね。」


 そう最後の挨拶を交わした後に、彼女の唇にオレの唇を重ねる。海外の映画であれば情熱的なキスになるのかもしれないが本当に今は時間がない。軽く触れあうように愛を確認しあうと、オレは顔を放す。すると、見えた優佳里の表情から先程まであった恐怖や不安といった色は薄くなっているような気がした。


 これ以上会話をするとまた名残惜しくなるので、別れの言葉をこれ以上並べることなく雅は、自身のカプセルのある区画へ帰ってくる。もうすでに半数以上が冬眠状態に入って言うので焦らされるように雅もカプセルの中に入る。

 人ひとりが十分に眠れる大きさを用意する必要などないので、普通に眠るには少々小さめのサイズの数セルの中には、先程腰かけた低反発のクッションが引いてある。そして、カプセルの蓋部分が閉まると、その部分が全面スクリーンのパネルに変異する。

 雅もベットの上に仰向けで寝ると、中に存在するパネルを操作する。操作といっても、開始までの時間を確認したり、外野環境情報がどの程度の値になるを凍結解除されるのかといった設定を確認するくらいで、雅が操作できることは全くない。最後に、先程貰った樹脂でできたペンダントを首からかける。


 「もう一度。君に会いに行くから、どこに行っても、どんな世界であっても。」


 そう心で呟くころには、気体状の睡眠薬がカプセル内を満たし、雅を眠りに誘う。その後、薬が上手に回ったあたりで瞬間凍結が施されることだろう。意識を取り戻し、再び活動する頃は一万年後か、百万年後か、はたまた予想に反して一時間後にはまた起きるのかもしれない。もしかしたらこのまま起きれない可能性だってある。それでも後悔はない。きっとこれが最善の方法であることを信じているから。




 どうも片桐ハルマです。

 いかがだったでしょうか。と言っても、まだ始まったばかり、主人公がこのまま目覚めない可能性もありますよね。と、言っても構成的にそれは無いのですが(笑)

 彼女が出来たこともない人間からしてみればここで出た、つがいを強制的に設けられる制度は羨ましい反面、人間性を失う要因の一つですよね。後、賛否が絶対に出てくるインプラントなのですが、ジブンとしてはいいのではないでしょうか? 結局、人間の創った物は人間で制御しうると思っていますので。


 こんなどうでもいい話はさて置いて、楽しく読んでいただけたのならば幸いです。後書きにはまだまだ不慣れなので、この辺りで締めとさせていただきます。


 では、

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