ひぃばあちゃん
大好きなひぃばあちゃん
ひぃばあちゃんの家は
潮の匂いと草木と土の匂いのする場所にあった
春は少し歩いてお花見に
夏はいっしょに魚釣り
秋はどんぐり探して山のなか
冬はこたつでぬくぬくと
そこにはいつも しわくちゃな笑顔が
大好きなひぃばあちゃん
ひぃばあちゃんの家は
いろんな人とお坊さんとねむったひぃばあちゃんがいる
どうしてひぃばあちゃんねむってるの?
はやくそこから出してあげて
次は貝がら集める約束してる
どうして涙がとまらないの
そばにあった しわくちゃな笑顔は…
ひぃばあちゃんはおきないんだよって
うつむいて こえをふるわせて だれかがいった
わかってるんだ
もういっしょにいられないことくらい
でも みとめたくなくて
ひぃばあちゃんとあそぶんだって
なきわめいた
あれから何年たっただろう
もう泣いて周囲を困らせることはなくなったけど
今でもふと思い出して
ひとりで涙をながしてる
あのしわくちゃの笑顔が大好きだった
本当にほんとうに大好きだったんだ