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ときのそらのゾンビ退治

バーチャルユーチューバーに中の人はいません


「そらとものみんな今日もありがとう」

そらが手を振ると、コメントが帰ってくる。


【そらちゃん可愛すぎ】

【ママァ】

【止まんじゃねえぞ】

【お姉ちゃん】

【ジト目して】


そらはコメントを読もうと前に出る。

たくさんコメントが流れ、そらは嬉しくなる。

(こんなに喜んで貰えるなんてうれしい)

「あなたの心の空を、ときのそらが、晴れ晴れ元気にしちゃいます!」

そらの決め台詞と共にコメントが一気に早くなる。

そらはコメントを拾う為に独特のステップで前にでる。


【かわいい】

【そらちゃんマジ天使】

【あん肝は?】

【浄化されちゃう】


(みんな私の魅力にメロメロみたい)

そらはニヤニヤして手を振る。

その時だった、


バチッ


大きな音と共にそらがコメントを見ていた画面と部屋が一気に真っ暗になる。


「なにどうなってるの?停電?」

「待って、今調べてる。」

えーちゃんの声が聞こえる。

真っ暗で何も見えない。

「うぅ、真っ暗で怖いよ。どうしよう」

「今、復旧できるかも」


するとまた、


バチッ


大きな音と共に光が灯った。

そして目の前のコメント欄が灯り、あん肝が現れた。

そらは光がついた事によりホッとした。


しかし、何やらコメント欄を見ると


【どうしたの】

【真っ暗】

【何も見えない】

【事故、事故?】


「えーちゃん放送が見えてないみたい」

「待って、これ、なにこれ」

えーちゃんの焦る声が聞こえる。

「どうしたの?」

「直せないの、どうして、それに他のバーチャルの人も繋がってないの」

「どういう事?」

「他に放送してたバーチャルの人達もおんなじで、繋がってないみたいなの」

どういう事だろう、

コメントでは相変わらず、見られない事を訴えるコメで溢れていた。


すると、何処からか、男の声が聞こえた


『全世界のバーチャル世界の皆さん、

私はこの、バーチャル世界壊す神となる男だ』


そらは周りを見渡すも声の主は見つからない。


『君たちは有名になり過ぎた。

だからこそ私が君たち代わりこのバーチャル世界の王になる為に君たちをこの世界に閉じ込めた。

ここは、外の視聴者達とは隔離された世界。

君たちはこの世界で何もできず朽ち果てるのだ

手始めに私の部下達を放った。

君たちは生き残る事が出来るかな?』

そして、男の声は不敵に笑った。

そこで男の声は終わる。


そらは愕然とする。

やはり見てくれるみんなのコメントは、


【バクった】

【ママァッ何処?】

【止まってんじゃねぇぞ】


など見えてない様子だった。

そらは焦る。


「どうしよう、えーちゃん。それに部下って、」

「落ち着いて、そら」


すると、遠くから物音がそらのいるバーチャル世界に響きわたった。


ガシャ


「な、なに?なに?」

そらは恐怖のあまり腰砕け、半泣き状態になる。


すると


ガタガタガタ。


バーーン


そらは恐る恐る、音のした場所を見る。


すると、


「アアアァァァァ」



大量のゾンビがこちらに向かってきている



そらは完全にパニックになり

「どうしよう、えーちゃん、どうしよう、えーちゃん

助けて、神様、仏様、女神様」

「落ち着いて、そら。

こうなったら、最後の手段よ。」

「最後の手段ってなに、えーちゃん!」

「今まで隠していたけど、あん肝にはある特殊な機能があるの。そら、あん肝に向かってあの決め台詞を言って、あなたの好きな武器を思い出し浮かべて。

そうすればあん肝はその武器に変身するわ」

「えぇぇ!何その機能!えーちゃん、あん肝凄い。でも、

あの決め台詞って」

「あなたのあなたしかない、挨拶よ」

それを聞いてハッとする。

そして、

「あん肝、いくよ」

あん肝に手をかざし


「あなたの心の空を、ときのそらが、晴れ晴れ元気にしちゃいます!」


あん肝の身体は輝き出し、まばゆく目も眩む光を放ちはじめ、そして、そらの手元に。

あん肝の感触を感じるが光よって見れない。

そしてやがて光は徐々に小さくなり、落ち着いていく。

あん肝の姿が確認出来るように、

見るとあん肝の姿はなく、そらの手元にはそらが想像した

剣が握られていた。


「これが、あん肝の力?!」

そらが驚いていると、えーちゃんの声が聞こえてきた。

「そら、その力でゾンビ達をザシュしちゃいなさい」

「分かった、いくよあん肝ソード」

そらは、あん肝ソードを振りかぶり、ゾンビを切り裂いた。

切られたゾンビは、透明になり消えていく。

そこでそらは、ある既視感を感じる。

「やったー。でもこのゾンビ何処かで見た気が?」

「どういう事?」

えーちゃんが不思議そうに尋ねる。

そこでそらは、思い出す。

「あぁ!思いだした。えーちゃんが実況してって渡してきたゲームだ!」

「あぁ、確かに!」

「でも何で?」

考えるも分からない。

そうこうしているうちにもゾンビ達はどんどん出てそらに襲い掛かる。

そらはあん肝ソードを振り回し、ゾンビ達を倒していく。

「えい、やぁぁー、おりゃ、ザシュ」

ゾンビ達の出てくる方向を見るとさっきまではなかった

黒いトビラが不自然な光を放ちその場所からゾンビ達は現れていた。

「えーちゃん、あのトビラ!」

「怪しいね。行こうそら」

「うん」

(少し怖いけど、頑張るしかない)

そらは少しばかりの身体の震えを抑え、黒く光るトビラに飛び込んだ。


中は少し古い洋館の様になっていた。

広いエントランスらしき場所だ、

そらは周りを見渡す、するとやはり既視感がする。

(やっぱり、ここは見たことある。よく考えろそら)

薄暗い洋館を見回す。

「あれだ!」

ピンときた。

「えーちゃん、この中、もしかして、あのゲームの中かも、同じ光景をゲームの中で見たの」

「そうなの?!」

えーちゃんが驚いた声をだす。

「うん」

(この光景、この場所、何度もやられたからよく覚えてる)

そらは自信満々に頷く。

「そら、そのゲーム、どうやってクリアした?」

「えっと、クリアはまだしてなくて、この面のボスだけは倒したよ」

「じゃあ、その世界でも、ボスは倒せる?」

「ええぇぇ、やってみる」

(何度も失敗して倒したから自信ないなんて言えないうぅぅ)


そらは必死にあん肝ソードを振り回し、記憶にある、ボスの部屋へ向かう。

(ヤバイ、めっちゃ疲れた。無理だよぅ。)

何度も心が折れそうになる。

そしてたくさんのゾンビ達を倒し、そらは遂にボスの部屋へやってきた。

「たのもー」

そらはそう言って、

仰々しい大きな扉を開けた。

中を見る。

やはりそこにはボスである。

巨大グールがいた。

見るからにグロい。

(うぅぅ、ゲームで見るより気持ち悪い。

でもこいつを倒さないと先に進まないんだ)

そらは意を決して前にでる。

「グオオォ」

グールが大きな雄叫びをあげる。

(無理無理無理無理こんなの無理だよぉ)

涙目になりながらもそらは前に進む。

すると、

「グワァァァ」

グールが襲いかかってきた。

「いやー」

(もう、無理だ、死んじゃうんだ私、短い人生だったなぁ)

そらは、恐怖のあまり腰砕けてしまう。

「そら、しっかり!」

えーちゃんの声が聞こえる

「無理だよぉ、えーちゃん私なんか」

「そんな事ない、そらなら出来る。

今そらに力をあげる。どんな相手にも勝てる最強の力を」

「え、それって、そんな物なんて、あるわけないよ」

「あるの、それはそら自身が頑張って手に入れた力よ」

「そんな特別な力なんて、私には個性をなければ特殊能力もないよ、ないないづくしの女の子だよ」

そらは泣きながら言う。

「そんな事ない!」

えーちゃんの力強い言葉が響く。

そして自信満々のえーちゃんの言葉は続く。

「今、その力をみせてあげる」

えーちゃんがそう言うと、

そらの周りに何やらがボヤっと出てくる。


【そらちゃん頑張って】

【見えないけどそらちゃんが戦ってくれてるから

応援する】

【俺達がそらちゃんを護らねば】



たくさんの応援コメントがそらの周りを流れていく。

「これって」

「みんなそらが好きで、みんなそらを応援してる、そらとも達だよ。これでもまだそらは自分には何もない女の子だって言える?」

(あれ、おかしいよ、目の前が滲む)

そらの頬に大粒の涙が伝う。

「もう、負けないよ、そらとものみんな、えーちゃん!

いくよっ、あん肝ー」

そらはあん肝ソードを大きく振りかぶり、グールへと切りかかった。





「あなたの心のそらを、ときのそらが、晴れ晴れ元気にしちゃいます!」


ようやく生放送が終わった。

結局ボスを倒し元に戻った放送をなんとか事故という事で乗り切ったそらたち。

「元には戻ったけど、こんな事をした犯人は出てこなっかったね」

(こんなの誰がやったんだろ。それにまた同じ事をされたら…)

「でも、そらなら平気だよ」

えーちゃんが言う。

「だって、そらにはたくさんのそらとものみんながいるんだから」


【頑張ってーー!】

【ママァ頑張って、おやつ代っ10000万】

【護らねば】

【止まんじゃねぇぞ!】


「ね!、そら!」

えーちゃんが満面の笑みを浮かべて言う。

「うん、止まんねぇぞ!!」




そらとものみんなー

評価よろしくねー

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