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4、女神と再会する。壱

かなり不快な表現があるかもしれません、ご了承ください。

 

 「はぁ~・・・・・」


のどかな昼下がり、俺は師匠のいない家で分厚い魔法に関する本を読みながら、今日何度目か分からない溜め息をついた。


師匠はというと、一週間ほど仕事で家を空けるらしく、昨日からいない。


それだけならイビリがなくなってむしろ嬉しいのだが、師匠は二つの課題(無茶ぶり)を置いていった。


1、()()()()防御魔法の完成。


2、自らの力で魔法を一つ創る。


この2つをクリア出来なければ破門されストリートチルドレンへの道が開ける。


課題1の役に立つ防御魔法の完成に関しては防御魔法自体は創る事ができた。だが、金鎚で叩いた程度で割れる非常に脆いものだった。これの原因は俺の『魔力値』と呼ばれる体内に存在する魔力が少ない事が原因で、防御の膜の強度が上がらないらしい。


課題2の自らの力で魔法を創るに関して、魔法は想像次第でどんなものでも創ることができる。師匠曰わく、『魔力とはイメージを実体化させる()()()()』だからだそうだ。


想像するだけなら中二の力を借りて簡単に凄いのが作れるのだがやはりそんなに都合のいいことがある訳なく、この本によると、イメージの大きさと魔力の消費量は比例するらしい。


要はカメ○メハや魔○光殺法も不可能ではないが、それには大量の魔力が必要で、魔力値の低い俺が使おうもんならスカしか出ない上に魔力を使い果たして最悪死に至るということだ。

そんなダサい死に方するくらいなら、爆弾背負ってこの世界のどこぞにいると言われる魔王に突貫した方がまだマシだ。(まぁ、そんな事するつもりは無いが。)


 「思いつかねぇ・・・・・・・」


自然と独り言が多くなる


全く案が浮かばない訳ではない、ただ試したもの全てが使い道が無い、もしくはある程度の威力はあっても一発撃っただけで魔力切れを起こして眩暈めまいがするの二択なのだ。(一発ポッキリの魔法では何一つ出来ない。)


ああでもないこうでもないと考えるうちに、空は赤く染まり夕方になっていた。


 「そろそろ夕食の準備でもするか・・・・・」


俺はそう呟いて今日は考えるのを止めた。



次の日の朝早く、まだ太陽は上がりきっておらず、窓から差し込む朝焼けが室内を淡いオレンジ色で照らしだす。

そんな中


 『ドンドン ドンドン』


ドアを強く叩くする音が聞こえた。余程急用なのか?


 「はーい、今でます」


ドアを開けるとそこには汚れた服を着た金髪の美少女が立っていた。そのことにドキッとする。


 「どちら様で・・・・・?」

 「やっと見つけた・・・・・・外道俊成ぃぃいッ!ぶっ殺してやるッッツ!!」


 -ボコっ!-


ズカズカと家に入ってきた少女は出会い頭に物騒なことを叫び殴りかかってきた。

パンチを正面から受けた俺は鼻血を振りまきながら床に倒れ込んだ。


 「なんなんだ!?まず誰だよ!?」

 「まさか私を忘れたの!?女神よ、偉大なる女神ルーナ様よ!」

 「はぁ?」


これはヤバい奴だ、自分自身を女神とか完全に頭のイッちゃってるヤバい子だ。こういう時は頭から否定せず、殴られたのを気にせずに大人な優しい対応で慎重にお帰り願うのが一番だ。


 「あの・・・・・・きっと人違いでは?それに女神様なら色々と忙しいでしょうに・・・・」

 「まだ思い出せないの?だからずっと底辺ドキュソ野郎なのよそのまま一生童・・・・」

 「潰れろウ○コ女神野郎がぁあ!!」


 -ボゴっ-


 『底辺ドキュソ野郎』その言葉で全てを思い出した俺はクソな女神、ルーナの顔面に全力スマッシュを決めた。


 「な、いきなり何すんのよ!!」


ルーナは鼻血を流しながら抗議の声をあげる姿は馬鹿っぽくて少し笑えた。


 「テメーのせいで俺の人生マジ○ァックな事になってんだよ!早く日本に帰してくれよ!責任とれよこの疫病神がぁーー!」

 「なに言ってんの?それはこっちのセリフよ、

アンタを落とさしたら天界規定とかに違反して私まで堕天させられちゃったのよ!

ねぇ、どうしてくれるの!?償いに自害したってアンタのゴミ虫以下の命なんて何万個あったって足りないわよ」

 「え?堕天って、降格?アハハハハッ ざんまぁぁあ!(嗤)お前が俺をこの世界に落としたのが悪いんだ、罪なすりつけんなよ!」

 「元々アンタが夢と勘違いして私を怒らせたのが悪いのよ、諸悪の根元!」


 -ドゴッ!-


ルーナは怒り任せに俺の腹を蹴り飛ばしてきた。俺は痛みに腹部を押さえながらイリスを睨みながら言う


 「おい、テメェ俺がケンカが怖くて反撃出来ないヤラレッパのチキンハートなヤツだと思うなよ?て言うかお前相手なら人形殴るより罪悪感無いわッ!」


俺はのそ勢いでアゴに天を仰ぐアッパーを決めた。ルーナは豪快に尻餅をつき、口元から一筋の血が流れる。


 「痛い・・・っ」


頬に手を当てて俯いて消えそうな声で言った。

流石にやり過ぎた。

幾ら『人形殴るより罪悪感が無い』と口で言っても見た目は美少女、そんな声を出されたらリアル女体に免疫の無い俺の脳は情報を処理しきれなくなる


 「ああ、わ、悪かった、やり過ぎた、謝るから泣くな・・・・・う゛ぁい!?」


罪悪感に呑み込まれ、オロオロと近づいた。それが間違いだった。この女を信じてはいけなかったのだ。


ルーナは俺がオロオロと近づき油断した隙に脚を振り上げて俺の股間を蹴った。

グシャリと股の間からイヤな音が聞こえ、脳天まで突き抜ける激痛とその後に来るジワジワと押し寄せる腹の痛みに悶絶する。


 「クソアマ・・・・・っ!」


更にルーナは倒れ込む俺の上に馬乗りになり、悪魔のように笑いながら首を絞めてくる。


 「騙されたわねエロ餓鬼、ぶっ殺してやる!」


締め付ける力は増していき、だんだん視界のフォーカスが合わなくなる。

ヤバい・・・・・本当に殺される・・・・・・


このまま俺は殺されるのか?また死ぬのか?・・・・・もっかい死んだら日本戻れるか?・・・・・俺はこの堕女神に殺されるのか・・・


    -ない


 「あああああッ!!!どけぇぇぇえ!!!」


俺は朦朧もうろうとする意識の中、最後の力を振り絞って相手の体を押し返す


 -パァァァァアン!!!-


 「は!?」


その時、何かが破裂するような大きな音が鳴り響き、それと同時にルーナの身体は2メートル近く弾き飛ばされ、飛ばされた先にあった家具などを破壊しながら床に落ちた。


 「ゲホっゲホっ・・・な、何が起こったんだ?」


自分の手を見るが特に変わった様子は無い。


ルーナの方を見ると、彼女は破壊された食器棚の前に白目を剥いて間抜けな顔で動かなくなっていた。


 「え、え、死んでないよね?」


先ほど本気で自分を殺そうとさた相手だが、いざ自分が殺したかも知れないとなると、得体の知れない恐怖が身体中を駆け巡った、


恐る恐る近づいてみる。指で突っついてみたり、頬をペチペチと叩いてみたりするが、白目を剥いたまま一向に起きる気配がない。


やっぱり死んでる!?


 「嗚呼、どうしよう、やっぱ警察に捕まる?死刑とか絶対いやだ!・・・・・・

そうだ!見つからうちに貧民スラム街とかに棄ててくれば!」

 「勝手に殺さないでくれる!?てかア女神を遺棄いきするとかどんな神経してんの?アンタ程のクズなかなか居ないわよ?」


 「嗚呼ああ・・・・・・良かった・・・・・生きてた、正直スラム街まで見つからずに運ぶとか不可能だし・・・・」

 「長いこと女神として存在してるけど、今ほど誰かのことを心の底から『屑野郎』って思ったのは初めてよ」


気づくと彼女は先ほど殴ってきたと思えないほど冷静になっており、養豚場のソレを見るかのような目で俺のことを見ていた。












































































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