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英雄の魔女  作者: 宮條夢乃
ケントス王国
9/10

魔女の呼び声

「目覚めたな、最恐の魔女 サタン」


ギースは魔法陣を取り払った。


それも魔術も魔法も使わず、素手で退けた。


「流石は最恐の魔女 サタンの力か…」


ブエルはギースの隣に立った。


ブエルはギースの額に指を添えた。


ギースの額に描かれた魔法陣から電気が流れる。


「くっ、この程度の魔術で我の存在は消えない!我はサタンである以上、永遠の命を持つ魔女。我の存在は絶対である」


悪魔の王 サタンは永遠の命を持つ。


必然的にサタンと契約した魔女も永遠の命を持つことになる。


サタンとの契約は不可能だと魔女宗教では信じられてきた。


「2人の悪魔と孤独の魔女の戦いではどちらが強いか、汝ほどの魔女なら解ることであろう?」


パイモンはブエルの隣に立つ。


ブエルはハッとした顔をしたが、口角を上げる。


パイモンはその様子を見て笑う。


「この体は我の物だ!」


「汝の物ではない。ギースの体はギースの物だ」


パイモンは魔法を放つ。


パイモンは氷魔法イズの最高魔法を放つ。


その名はイズ・パルフェルト。


放つと体の魔力が根絶するが、パイモンの魔力は多い為倒れない。


「ギースは我らの客だ。客をとられるなんぞ不服だ」


ブエルも魔法を放つ。


ブエルも水魔法ウォルの最高魔法を放つ。


その名はウォル・ディズラー。


パイモンの氷魔法イズとブエルの水魔法ウォルは組み合わさり、大きな氷の塊となった。


サタンの体には氷が巻き付く。


腕や足は荊の様な氷が巻き付く。


腹部は太くて厚い氷が巻き付く。


ギースの心はまだ蘇らない。


元はギースの体だ。


出来るだけ傷つけずに対処したかった。


ギースの体にはところどころに切り傷、擦り傷がある。


「今回はここまでにしといてあげる」


サタンが去った体はバタりと倒れた。


ギースは気を失っている。


「ギース!」


パイモンはギースの手を掴んで、自分の頬に寄せる。


「ギース!!」


パイモンの必死で心配する少女声が魔室中に響いた。

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