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英雄の魔女  作者: 宮條夢乃
ケントス王国
8/10

黒紙と黒魔女

「これは…」


黒い紙が入っている。


文字はこの国の文字ではない。


他の国の言葉かも知れない。


ギースは生憎、自国の言語しか知らない。


ギースは気にせず、便せんに入れた。


ギースは翌日に行くことにした。


準備を整える。


朝に出向き、夕方には帰ろうと考える。


今日は早めに寝た。


「うっ…」


悪夢だ。


酷い悪夢だ。


雲一つない大空。


太陽も眩しい。


ギースはそれらの下に寝そべる。


急に現れた黒いローブを着た一人の女性は詠唱をする。


すると、空は赤く、大地は燃える。


人々の悲鳴が聞こえる。


ギースは寝そべったまま起きれない。


あの女性から金縛りの呪縛をされていた。


「サタンよ…我らの父よ…貴方様にお会い出来るこの日は吉日でありましょう!」


狂った女性は更に詠唱を続ける。


太陽は黒くなり、木々は枯れ果てる。


ありとあらゆる生物が命を落とす。


狂った笑い声が死んだ世界に響く。


その女性はギースに近づく。


ギースに向かって言う。


「あぁ、悪魔 サタンよ」


そこで悪夢は途絶えた。


「夢…なのか?」


冷や汗をかき、枕は濡れていた。


誰かに見られている気がする。


「誰だ!?」


奇妙な笑い声が部屋に響く。


「サタンよ…我らの父…」


耳元で呟くその声はあの声だ。


すぐに分かった。


女性の手はギースの心臓と脳を掴む。


ギースの目からはその手は見えない。


黒い悪魔の手がギースを掴む。


言葉では言い表せない痛みが襲う。


人間の目では痛みの正体はわからない。


「あっ…がっ…」


「サタンの心を受け継ぐ魂」


そう呟いて、痛みは去った。




-「なるほど、興味深いな」


ギースはパイモンとブエルに全てを話した。


"興味深い"と言いつつも2人の顔に汗が見える。


ブエルは1冊の本を持ってきた。


本はボロボロで、ページもところどころ破けている。


文字も消えていて、読めない。


「サタン、悪魔の王であり最恐の魔女の名前」


ブエルは本を開くと、黒い手が出てきた。


ギースは驚いて声がでない。


「後に黒魔女と言う名称が付けられた」


黒魔女は妖術を使い、世界を終わらせようとした魔女に付けられる。


魔女 サタンは黒魔女とも呼ばれている。


「その黒髪紙は入れた覚えがないな」


ブエルは魔室の皆に確認をしたが誰もその紙を入れた覚えがない。


「確実に言えることはギースは黒魔女に気に入られてる」


パイモンはそう言って、奥の部屋に行く。


「ギース、来てくれ」


ギースを魔法陣の真ん中に立たせた。


パイモンとブエルは対角線上に並ぶ。


「第9の悪魔 パイモンよ。我の声を聞け。我が命に従え」


「第10の悪魔 ブエルよ。我の声を聞け。我が命に従え」


2人は詠唱を始める。


「この者に宿る悪しき魂よ」


「この者に留まる邪悪な霊よ」


2人は交互に言っていく。


詠唱が長くなるほど、魔法陣は光を発する。


徐々にギースの身体に痛みが走るようになってきた。


詠唱中は誰も魔法陣の中に入ることはできない。


詠唱中の2人に話しかけることも出来ない。


ここは我慢するしかない。


「第9の魔女の名の元に成敗する」


「第10の魔女の名の元に罰する」


「セイクリッド・オベレード・サンケーヌ!」


ギースの悪い魂が現れる。


「ふふふ、パイモンとブエル。やってくれるな」


ギースは無意識に口が動く。


声もギースではない。


「目覚めたな、最恐の魔女サタン」

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