招待状
パイモンはあれから1週間経つが目覚めることはない。
腕の良い医師さえも諦めていた。
どうすることも出来ないのかと、諦めていた。
その時、一筋の光がさす。
「ギース様、アザリア殿に会いたいという物がいまして」
ギースは門に向うとブエルがいる。
ブエルは笑っている。
ブエルはとても心配していたらしい。
「我が名はキュレル。アザリアという少女は居るか?」
ブエルの本名はキュレルだ。
魔女の義理の名前と本名は同じ魔室ならば知っているのは当然のこと。
ブエルはギースにパイモンが寝ている部屋に連れて行ってもらった。
二度と開くことのない重い瞼。
パイモンの頬はいつもより白くて、冷たい。
1週間飲まず食わずのパイモンの体は少し痩せた。
笑っているパイモンが思い浮かぶ。
ブエルはパイモンの手を握る。
「第10の悪魔 ブエルよ。我の声を聞け。我が命に従え。汝の力と我の力が合わさりし時治癒を与えよ。この者を癒せ」
淡い水色の光がパイモンを包む。
ブエルはパイモンの傷をあっという間に治した。
医師も騎士も驚く。
魔力も与えること魔術はブエルにしか出来ない。
「…ぁ、ブエ…ル」
弱々しい声だが、安心しきった声だ。
「ギース殿。我が友が迷惑をかけた。こんなことしか出来ぬが許してくれ」
ブエルはパイモンをお姫様抱っこをして、窓から去っていった。
「あっ…」
パイモンが寝ていたベッドの上にはギース宛の魔室の招待状がある。
ギースは自室に戻り、招待状を読む。
「親愛にたる ギース殿へ
この手紙を最後まで読んでくれると助かる。
この手紙は内密にして欲しい。
この招待状は限られた人物しか渡さない。
汝は魔女に対して敵意を持っているだろう。
それでも構わない。
魔女と親しくなりたい、魔術に興味があるなら来てほしい。
我々は汝を拒まない。
来なくても構わない。
これからもパイモンを、魔女のことを良く思っていてほしい。
第5の魔室 一同より」
後、地図がある。
魔室の地図だ。
「こ…これは?」
1枚の黒い紙が入っている。