Extend6 俺は踏み台なんかじゃない!
クソ野郎の視点なのでクソみたいな差別用語がクソほど一杯出てきますが、筆者はその手の言葉を常用するクソ野郎の事はクソ喰らえだと思っているので、どうかご了承いただければ幸いです。
おいいいいいい↑っっす!!!!!
どうも、丹室努務で~す!
えー今日は、闘技大会当日ですけども~。
ダーティ・スーが出てきて、恐怖で足がすくんで控室に引き篭もってま~す。
「よしよし、怖かったね~」
俺は、今。
うちのパーティメンバーのバブみがヤバい方ことフィリエナに慰めてもらっている。
というか。
さっきまで、フィリエナとベッドシーンの真っ最中だったわけだが。
いけないことしてるみたいで最高だったわぁ……。
みたいっていうか、実際いけないことだけどな!
緊急事態に子孫を残そうとする男の本能は、どうやったって抗えないだルルォ!?
ていうかフィリエナのほうから誘ってきたから俺べつに悪くないし。
あと医務室の簡易的なベッドだが、ギシギシと軋む安っぽさが最高だった。(小並感)
お互い、浴びるほどの酒を呑んだのもあるよね。
酔っ払っちゃったらハッスルしちゃうよね。
一体何がダメだったんでしょうかね~?
スペック的には余裕でこっちが圧勝の筈なのに、最初に出会った時に両足を串刺しにされたトラウマが蘇って、ちょっと戦える気がしない。
たぶんファーストコンタクトからして駄目(名推理)
まず、これだろ?
モブ顔レズクラブで門前払いされて一日を無駄にした疲れからか、不幸にも黒塗りの高級車に追突してしまう。
後輩をかばいすべての責任を負った丹室に対し、
車の主、暴力団員ダーティ・スーが言い渡した示談の条件とは…。
車っていうか馬車だし追突なんてしなかったんだよなぁ……(正論)
あと示談どころか両足を串刺しにされたから……(震え声)
おれは しょうきに もどった!
ただ単に魔物が襲ってきただけなら、俺だって積極的に飛び込んで戦っていたさ。
マキトなんて、いい奴ぶってはいるが、俺をダシにTSUEEEしたいだけだろ。
あんな奴に任せて大丈夫なのかって思わなくもないが……まぁいいや、放っておこう。
あいつがミスって吠え面かいて、俺に泣き付いてくるのを待つとしようじゃないか!
闘技場の近くの魔物はあらかた片付けたし、それで仕事は済ませたってことでいいよね。
……俺の腕の中に抱かれながら、フィリエナが俺の頬を優しく触れる。
「ねぇダーリン」
「お? どうしたフィリエナ」
「キャトリー、探さなくていいの?」
「……あいつの好きにさせてやろうぜ」
キャトリー……あのボクっ娘のチビ……!
フィリエナの誘いを拒否しやがった。
――『ボクの知るフィリエナは確かにアホの子だったけど、ボクに奉仕を強制まではしなかった! ボクはツトムが好きで来たんじゃないのです。フィリエナが、好きだったのです……フィリエナがお前を好きと言ったから、ボクもお前を好きになろうとしたのに! お前は今まで何を見てきたのですか! もう、知らないのです……』
なんて、涙混じりに吐き捨てて。
お前まで俺を見捨てるのか、キャトリー。
ソリグナは俺に内緒で他の男に股を開いた。
薬を盛られて眠らされたなんて、嘘っぱちに決まってる。
……だから、もういいんだ。
フィリエナだけが、俺の心の拠り所だ。
俺を慰め。
俺を支え。
俺と共に在り続け。
理想の愛は、此処にある。
「……フィリエナと初めに出会ったのは冒険者の酒場だったっけ」
「そうそう。ゴロツキ共が、すれ違いざまにさ、ダーリンにぶつかってたじゃん? あっという間に全身の骨を叩き割って、びっくりしたよね。でも、ダーリンの顔を見てすぐに気付いた。例の、ヒコーキとかいうのに乗ってきた人達だなって」
「あのクソ雑魚モヒカン共、マジで史上最弱だったな。その後に鉄砲玉として雇われてやってきた兵士見習いのほうがまだ骨があった」
「ねー! あれから数日かけてゴロツキと元締めをぶちのめしていくうちに、キャトリーと再会できたんだよね。あの子、私に依存しすぎないようにって、いつも一人で戦おうとして……」
「幼馴染、なんだっけか」
「うん。私の言うことなんでも聞いてくれるんだ。あッ……ぐッ……ち、違う、私を、止めようと……えっと……間違えた……なん、だっけ……?」
おいおい、しっかりしろよ~?
ココ最近ずっとそんな調子じゃねーか。
まあ、ダーリンって呼んでくれるようになったし、こうして積極的にスケベしてくれるの最高だから、別にこのままでいいや。
あ。
遠江とかいうスパイの侍が確かダーティ・スーの手下らしいけど、そいつはそのうちブチ殺すんでよろしく。(ニッコリ)
―― ―― ――
物音と地響きが止んだ後、俺達は控室から出てきた。
誰にも気付かれないようにするため、闘技場の外側へ。
辺りはすっかり暗くなっており。
瓦礫ばかりで人の姿は見れず。
避難はもう終わったのであろう事を、足跡で形作られた轍が教えてくれた。
なんだ、つまらん。
マキトの奴、もっと本格的にしくじってくれると思っていたのに。
とりあえず、仕事をしたふりだけでもしておこう。
もし瓦礫の下から死体とか見つけちゃったら、丁寧に埋葬してやるか。
「あ~う~……」
――なんだ?
「なぁフィリエナ、今の声」
「うん、多分すぐ近くだねぇ~」
「ここだ!」
……うーわ、ひっでぇなこりゃ。
確か、グレイ・ランサーだっけ?
「あぁ~、あう、あうは」
完全にガイジで草。
手足を失ってダルマ状態な上に、よっぽどひどい目に遭わされたようだ。
両目は焦点が合っていないし、口から涎どころか身体中から体液を垂れ流している。
「う゛~……きれい、きれい、すきぃ……」
うわよく見るとウンコ漏らしてるじゃん、くっせ。
よくこれで生き残れたな……。
それとも、頑張りすぎてこんなふうになっちゃったとか?
まぁいいや。
なんか女の死体にくっついてるが、このまま死なせるのも寝覚めが悪い。
「ほら、そんなところにずっといると風引いちゃうぞ。俺が温めてやるから」
元が男だとしても、今は女だろ。
だったらハーレムに加えてやろうじゃん。
身体もきれいに洗ってやりゃあ、穴は使える。
よって俺はホモではない。(迫真)
それにこいつの告白が事実なら、大罪人だろ?
寝取られ仲間っていうのは同情するけど、やってきた事を考えればメチャクチャにされても文句は言えないよなぁ?(ゲス顔)
ほい決定!
始まるぜ、俺の爛れたスローライフが!
まともに世界を救うのはマキトにでもやらせりゃいい。
さぁほら、そんな死体は放っておけよ、グレイ。
よい、しょ――
「――や~! あ゛ぁ~!」
「こら暴れんなって!」
「フォルメーテ、フォルメーテぇえ゛えええぇぇぇぇ!!」
うるせぇコイツ。
……だがまぁ、ちょうど、俺にとってのフィリエナみたいなもんだろう。
仕方ない、多少は荷物になるかもしれないけど、連れて行くか……。
「フィリエナ、グレイ・ランサーを運べるか? 俺こっちの女を運ぶからさ」
「お安い御用でーっす♪」
「助かるよ」
というわけで約得タイム!
臭くてうるせぇガイジはフィリエナが運んでくれている。
今ならこのフォルメーテとかいう女の身体を触り放題だ。
このふくよかな双丘に指をあてがうと、あ^~……ふわふわなんじゃあ^~……
あれ、心臓が動いてる……?
なんだ、じゃあ死体じゃないじゃん。
良かった、それなら俺の心も痛まずに済む。
さて……――
「――ツトム」
あーあ……マキトちゃん現るってか?
優等生気取りの湿気っぽい声音が癇に障る。
「今まで何をしていたんだ?」
うーるーせぇーよ優等生気取りの石頭がよ。
こっちの事情も考えろっての。
仕方ないからフォルメーテを掲げた。
「いやいや、ちょっと人命救助をね!」
「……そっか」
ま、嘘なんだけどな!
この場で殺すのは勘弁してやるよ。
だが……覚えてろ。
いつかお前の善人ツラをブチ壊してやるからな!
「今から会議だから、二人も集まって欲しい。キャトリーさんにも声を掛けてね」
「あぁ、あいつ癇癪起こしてどっか行っちまったよ。気が向いたら探しとく」
探すわけねぇーだろ。
リーダーが傷ついてるのに労ってくれない奴は、他の男に心奪われてる証拠だ。
……ふと横目に見たフィリエナの表情が、ひどく邪悪に歪んで見えた。
 




