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1年後の君へ

作者: レモン
掲載日:2026/08/12

 まだこない恋人を、待ち続ける、さくらは、だんだん、悲しくなっていた。恋人の名前は、賢一、警察官で、28歳だ。さくらも、同じ28歳で、婦人警官だ。

 賢一は、とある田舎町の駐在所に赴任して、長かった。1年後、待ちあわせの場所で、2人は会うことにしていたのだ。待ちに待った、1年だった。約束の時間になっても、賢一は、現れなかった。

 さくらは、もう、1時間、待っていた。しびれをきらして、もう、帰ろうかな、と、思ったその時、賢一から、電話が入ったのだ。今日は、所用で、行けなくなった。ごめん。とだけ言って、電話は、切れた。

 さくらは、仕方なく、家に帰った。

賢一は、さくらに、このことを、言うべきか、悩んでいた。賢一は、赴任先で、好きになった女性がいた。その女性は、紀子といって、離婚したばかりだった。いろいろと、相談にのってあげていたのだ。でも、賢一は、まだ、ハッキリ、紀子にするか、考えていた。

 さくらとは、5年の付き合いだ。そろそろ、結婚を、考えていたときだった。紀子は、活発なさくらとは、真逆で、おとなしい感じの女性だったのだ。5年の付き合いを、考えた時、別れるのは、正直、辛いものがあるが、賢一は、紀子に、惹かれていった。

 元旦那が、紀子を、ストーカーしていたのだ。賢一は、紀子を、守ってやらなくてはいけないと、思う様になっていた。紀子も、誰かに、守ってほしかったのだ。賢一は、守り切れるのは、自分しかいないと、自負していた。

 さくらに、別れを告げるのは、忍びなかったが、やはり、早めに、言わなくては、と、思っていた。さくらに、連絡して、会うことにした。賢一は、なかなか、言い出せなかった。意を決して、賢一は、さくらに「別れてほしい。」と、言った。さくらは、「なぜ?」と言った。「好きな人ができたから。」賢一は、言った。さくらは、「そう。」と言った。さくらは、とても悲しかった。もうじき、結婚できると思っていたからだ。涙が、止まらなかった。

でも、どうすることもできないのだな、と、思っていた。さくらは、ふりしぼった声で、「幸せになってね。」と、言った。賢一は、「すまない…さくらも、幸せになってくれ。」そう言って、帰って行った。

 さくらは、この5年間のことを、いろいろ、思い出していた。よいことばかりではなかったけれど、楽しかったことも、たくさん、あったな、と。

 賢一は、すぐに、紀子に、連絡をして、「早めに、結婚しよう。その方が、あなたを守れるから。」と、言った。紀子は、元旦那が、怖かった。賢一と、結婚した方がいいのかもしれないと、思う様になっていた。

 結婚を、急いだので、賢一と紀子は、2人だけで、教会で、ひっそりと、式を挙げたのだ。

これで良かった、と、2人は、思っていた。

 でも、元旦那のストーカー行為は、おさまらなかった。結婚したのを知って、ますます、エスカレートしていったのだ。

 賢一の護衛にも、限界があった。とうとう、紀子は、大変なことに巻き込まれてしまったのだ。そして、亡くなってしまったのだ。

 賢一は、男泣きをして、泣き崩れた。自分がいながら、守りきれなかったことに、責任を感じていた。悔しかった…

 その知らせは、さくらのもとにも、届いた。さくらは、賢一が、あまりのことになってしまった、と、思った。新婚そうそう。

 さくらは、賢一に、メールを入れた。大変なことになったわね。大丈夫?とだけ。賢一は、返信する気力もなかった。ただ、さくらに、会いたくなっていた。自分勝手だとは、思ったが。

 賢一は、さくらに、メールした。会えないか?と。さくらは、会おうか。と言った。

 カフェで、会った。憔悴した賢一がいた。

さくらは、なんて、言葉をかけていいのか、わからなかった。賢一は、言った。「きっと、バチがあたったんだ。お前を捨てたから。」さくらは、「そんなことないよ。」そう言った。

 賢一は、さくらに、「改めて、お前の包容力を感じてるよ。ありがとう。」そう言った。さくらは、涙ぐんだ。

 賢一は、言った。「もし、1年後、2人がまた、同じ気持ちになれたら、あの、約束した場所で会おう。もしも、2人のどちらかが、別の気持ちなら、あの場所には、来なくていいよ。」

 さくらは、本当に、お互いが、強い気持ちを持っていたら、結ばれることになると、確信していた。遠回りは、したけど、1年後の賢一を信じたかった。

 


 



 



 

 


 



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