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第六章 硝子越しの夜明け

「朔之介くん!急にびっくりしたよ危ないよ!」

 息切れした赤平が朔之介の肩をつかみ言った。

「すみませんでも犯人分かったんです。」

 その言葉に皆が驚き朔之介の方を向く。

「何だって!犯人がわかった?!」

「はい、あの4人を殺し父さんを殴った犯人がわかりました。」

「じゃあ聞かせてよその推理、矢久保はどうやって殺したんだ?」

 西園寺が挑発的に聞いてきた。

「矢久保さんが乗っていたゴンドラにはとある機械がついてた、それは一定時間乗っていると板が落ちるようになる機械だ」

「は?そんなの警察や皆が見たら呪いじゃないってすぐバレるよ」

 如月が質問した。

「数秒経つと板は閉まるようになってる、だから皆が落ちた矢久保を見てもゴンドラには元通りで呪いに見える、機械は警察が来る前に取る予定だったんだよ、ゴンドラがある窓に物が挟み、サーバーが壊れても窓が閉まらないようにしたんだよ。」

 朔之介の推理に皆が驚き黙り込む。

 そんな中小野寺が聞いた。

「じゃあ桐生さんは?窓をすり抜けたとでも言うのか?」

 朔之介はニヤリと笑い答えた。

「窓が開いたんだよ」

 皆は首を傾げた。

「何言って?」

「窓が開かないと思っただけ本当は開く場所があったんだよ。着いてきて」

 朔之介は皆を連れてき窓の前に立ちボタンを押しながらスライドさせた。

「嘘だろ!?」

「矢久保は皆にそう思い込ませビルを守っていたんだ。だから皆は窓が全部開かないと思ってた。」

「じゃあ!監視カメラに写った影は?あれは殺される数秒前に現れたあそこから制御室まではもっと掛かるよ?」

 如月は質問する。

 朔之介は着いてきてといって皆を制御室に連れてきた。

「ちょっと見てたください、再現してあげます」

 朔之介の言った通りカメラを見ていると、廊下に影が現れた。

 皆が目を丸くしてると赤平の肩が叩かれた

「わ!!」

 後ろにはニヤリと笑っている。

「これは鏡の反射を使ったんだ。ほら見て」

 そこには反射ガラスがあった。

「カメラの死角に立った犯人の姿が、反射で廊下の奥に映り込んでいた。

まるでそこに死神がいたように見せかけたんだ。」

「あの影は?」

「あれは犯人が描いたんだよ」

「でもあそこを一回通った時には何もなかったよ」

 西園寺が不思議そうに聞く。

「三森さんが亡くなって夏越さんがいなくなった時にトイレに行くふりをしてやったんだよ。」

 赤平が怯えながら指を差し言う。

「じゃあ西園寺さんが犯人?一番最後に来た」

 朔之介は首を振り答えた。

「いや違う犯人は透明の特殊インクを先に塗っておりトイレに行くふりをし特殊な光を当て色を出したんだ!色は光を当てれば数秒で浮かぶから現場からニ、三分くらいでできる。」

 美波が小さな声で朔之介の隣に立ち言う。

「じゃあ犯人は?」

「この犯行に必要なのは、このビルの構造を熟知していて機械の知識がある貴方が犯人ですよ。」

 朔之介はビシッと犯人に指を差した。

「小野寺 勇仁」

 皆が驚き小野寺の方を向く。

 小野寺は固まり立ち尽くしている。

「嘘でしょ!?小野寺!」

 その言葉に小野寺は大きな声で反論し始める。

「違う!僕じゃない!なんでそれで俺になる?それには西園寺だって当てはまってるだろ!そんなのただの妄想だ!証拠がない!物的証拠がないだろ!!」

 朔之介は拳を突き出す。

「これが証拠だよ、特殊インクとライトが置いてあったところに落ちてたよ。」

 開いた手のひらには指輪があった。

 その指輪には勇仁と美琴と書かれていた。

「それは……誰かが……」

 その場は静まり返った。

「…………そうだよ全部僕がやった。」

「そんな」

 小野寺は朔之介から指輪を取り泣きそうな声で話し始めた。

「この指輪は天国ビルの工事が終わって落ち着いたら美琴に渡す予定だった、結婚指輪だ」

 指輪を強く握る。

「だけど渡せなかった……事故で死んだ……安全装置がなくてね」

「安全装置がない?!なんでそんなのダメじゃないか」

 赤平が驚きながら言う。

 小野寺は泣きながら答えた。

「そうだよ駄目だよ……でもあいつらは工期短縮のために、コスト削減のために、安全装置をなくしたんだ……責任は誰も取らなかった……」

 怒りに満ち震えた声で話を続ける

「数字で殺されたんだよ!……美琴は……」

 小野寺は硝子を叩く。鈍い音が響いた。

「だから決めたんだ……この天国ビルを墓標に変えてやるって……金に目がくらんだあの化け物達を……一人ずつ、この硝子の檻から突き落としてやるって!」

 涙で濡れた顔は怒りとも悲しみともつかない表情をしている。

 崩れ落ちた小野寺に近づき朔之介は言った。

「美琴さんはそんなの望んでなかったらはず、小野寺さんが幸せに暮らすのを望んでたはずだ。」

 小野寺は泣き笑いのように歪んだ顔でかすかにうなずいた。

「……そんなのわかってた……わかってたよ、でも止められなかった……」

 そして、握りしめていた指輪を床に落とした。

 コンクリートの床に転がるその音が、やけに大きく響いた。

「……せめて、この指輪だけは……美琴の眠る墓に……届けてくれ……」

 力尽きたように、小野寺は肩を落とした。

 窓から差し込む光が、彼の涙を照らし、黄金色に輝かせた。

 皆は開いた窓から外に出た。

「皆大丈夫?怪我はないですか?」

 顔に傷がある刑事が皆のところに来た、小野寺は皆の前に立ち言った。

「僕が、小野寺勇仁が四人を殺した!」

 刑事は一瞬何言ってるか分からなかったが小野寺の目をよく見て言った。

「そうか、小野寺勇仁矢久保正一、桐生士郎、三森誠及び夏越宗介以上四名の殺害容疑で貴方を逮捕します。」

 両手を差し出しガチャリと言う音と共に拘束されパトカーに乗った。

 朔之介はパトカーの窓を叩き言った。

「これ指輪忘れ物だよ」

 小野寺は小さな声で答える。

「……琴音の墓に……」

 朔之介静かに頷いた。

 小野寺は少し笑顔になり去ってた。


 数日後

「退院結構早かったね。」

 朔之介は元気になった父親に言った。

 父親はいつも通り元気な声で答えた。

「石頭だったからな」

 そんな雑談をしながら歩いていた。

「ここか?」

 朔之介と父親は、美琴の墓の前に立っていた。

 朔之介は小野寺の指輪を墓の前に置いた。

「終わりだ!」

 体を伸ばしふぅ~と息を吐いた、そしたら後ろから、聞いたことある声が聞こえた。

「朔之介君貴方も来ていたのね。」

 それは美波だった。

「美波ちゃんなんでここに?」

「父親の墓があるんです。あんな父親でしたけど好きだったから」

「そうか、美波ちゃんの父さんの墓参り終わったらカフェにでも行こう!美波ちゃんどう?」

 美波は目を丸くして言った。

「えっ?私もですか?朔之介君も?」

 朔之介君も?と言う言葉にちょっと疑問があったが父親はいつも通りに答えた。

「当たり前だ!」

 カフェに着いてコーヒーを頼み会話を始めた。

「それにしてもさすがだな朔之介、俺の息子だ!」

 父親の言葉に少し怒りながら言った。

「何回も言ってるけど僕の頭の良さは母さん似だから!」

「ふふっ」

 美波が笑う。

「何が面白いのかね?」

「さぁ?」

 朔之介と父親は何故美波が笑っているか分からなかった。

「それにしてもうるさいな」

 カフェの近くで工事をやっている、その工事を朔之介が見ていると、土方が落ちそうになった。

「わっ!!」

 カフェのガラスをドンと叩きながら立ち上がった

 土方は安全装置により落ちずに済んだ。

「良かった」

「安全装置があるから大丈夫に決まってるだろ。もう二度とあんな事は起きないよ。」

 父親がそう言いながら外を見ると大きな観覧車が見えた。

「あれ!乗ろうよ」

 父親は興奮しながら言う。

「嫌だ」

 朔之介は一瞬で答える。

「なんで?良くない?ね!美波ちゃん」

「ふふっそうですね。」

 美波を嘘だろと言う目で見ていると父親が聞く。

「もしかして高いところ怖くなっちゃった?まだまだ子供だねー」

 その言葉に朔之介は切れて近くにあった紙ナプキンを父親の顔面に投げつけた。

 カフェには明るい笑い声が響いた。

 

お読みいただきありがとうございます!

これにて天国ビル殺人事件は、終わりです。

飽き性なので完結出来るか不安でしたが大丈夫でした。

次回作も予定しているので感想やレビューブクマなどしていただけると励みになります


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