第四章 死神の影
「西園寺さんと三森さん何処行ったのかな?」
父親に会場の事情聴取を任せ朔之介は出ていった2人を捜していた。歩いているとカランと何かを蹴ってしまった。
「何だこれ?ロケットペンダント?」
ペンダントの写真には男性が写っていた。
「誰だ?パーティーにこんな人いなかったよな?」
後ろからハァハァ吐息を切らしながら誰かが来た。
朔之介は後ろを見ると、手に持っていたペンダントを取られた。
「西園寺さん!どうしたんですか?」
「あった……やっと見つけた」
ペンダントを胸に押し付け今にも泣きそうな声で呟いた。
「西園寺さん、探したんですよ会場に戻りましょうよ。」
「……わかったよ」
西園寺は目に溜まった涙を拭い笑顔で言った。
「探しに来てくれたのかありがとう!」
「いえ、後は三森さんを探してるんですよ。」
かなり強く肩を叩き喋った。
「ペンダント拾ってくれたお礼だ、一緒に探そう!」
西園寺と三森を探すことになった、天国ビルと言う名に恥じぬ大きさに、朔之介は疲れてしまった。
「広いね!さすが天国ビル!」
「聞きたいことでもある?」
オブラートに聞くか直球に聞くか悩んでいると西園寺が言った。
「何でも聞いていいよ!ペンダント拾ってくれたお礼!」
その言葉を聞いて直球に聞いてみた。
「そのペンダントに写っている男性は誰なんですか。」
少し悲しそうな顔をして話し始めた。
「これは私の彼氏だよ、もうこの世には居ないけどね。」
「そうなんですね、ど、どうして亡くなって?」
朔之介は思い切って亡くなった理由を聞いた。
「……詳しくはわからない」
沈黙が続く悲しい雰囲気が続く。
「探しに行こう!」
西園寺は笑顔で言った。
「監視カメラ!あいつに言われた通り動くぞ!」
三森は制御室で監視カメラを見ていた。
「写っているかもしれない、犯人が!ん?なんだよこれ?」
三森は目を凝らす監視カメラには黒いフードを深く被った人影がいる。
「まさか――」
三森は後ろを向くそこにはこっちを見ている硝子の死神がいた。
「やめろ!何する」
硝子の死神は笑いながら言った。
「待てよ、犯罪者!」
「お前に言われたくない!」
三森は壁に追い込まれる。
「じゃあな!三森!」
「おい!いた朔之介!!」
父親は大声を上げて来た
「さっき警察から電話が来て、三森が死んだって」
朔之介は唖然とした。
「とりあえず入口に行こう。」
入口には傷のある警察が手を降っている。父親は電話をスピーカーにし警察は話し始めた。
「いやー最初から電話で会話すれば良かったね、そんなことはいいんだけど、今三森さんが上から落ちてきました、目撃情報によると3時半頃20階ぐらいのところから落ちたらしいので見に行ってもらえませんか?みんな一緒に。」
「わかりました。」
みんなで落ちたと思われる場所を探していると、小野寺が監視カメラを見つけて言った。
「これ動いてるみたいですよ。」
「犯人映ってるんじゃないですか?」
その言葉に皆はカメラの前で何か映ってないかじっくり見ている。
「これ!」
そこには廊下にじっとしている黒いフードを被った人影がいた。
「硝子の死神じゃないか!」
皆の顔が青くなる。
(硝子の死神本当にいるのか?そんな訳)
「そんな事ないだろう」
父親が反論する、その言葉に夏越も反論する。
「じゃあ何処から飛び降りた?一通り見たが飛び降りた場所なんてないぞ!しかも飛び降りたと思われる時間にちょうど死神が廊下に現れた!どう説明する?」
父親はその圧に怯む、そんな父親に朔之介は言う
「皆にアリバイあるだろ、ない人は僕と西園寺さんだけだ!簡単な話だ」
朔之介の言葉に気まずそうに答える。
「それがなアリバイがあるのは赤平さんだけだ」
「え?なんで」
「あーでも美波は少しトイレに行ってただけだから――」
父親が誤魔化そうとしてるのに朔之介はキレた
「父さん!!」
「本当にゴメン」
「僕廊下見に行くからここ!よろしく」
朔之介が切れたことで開いた口が塞がらない父親の肩を叩き、廊下で向かった。
(第三の殺人の殺人現場は制御室で確定だろう、何処から突き落としたかはまだ分からないが、あの硝子の死神は何かおかしかった。)
「もうわかんない!トイレ行こ」
朔之介はトイレを済ませ手を洗いながら顔を見上げ鏡に映る自分を見ていた。
「これ……もしかしてあれは!」
朔之介はルンルンでトイレの外に出た。
「何か、わかったのか?」
西園寺は硝子をベタベタ触りながら喋った。
「どうしたんですか?」
「いやー、私が建設に関わっていた時。ロックされない窓が、何個かあった気がしてね、変わったのか?」
西園寺は硝子を強く押しながら言った。
(今の話、気になる)
考え事をしてると、大声の喧嘩が聞こえてきた。
「だーかーらー!!!殺人犯がいるところにいる方が危ねえだろって!」
「一人でいる方が危ないだろ!!!!」
父親は夏越の倍の声で反論する。小野寺と赤平の仲裁の声は小さ過ぎて二人には届いていない。
喧嘩を口を開けながら見ていると、肩をトントンっと叩かれる。
「貴方探偵さん?」
美波が小さな声で言った。
「いや別に違うけど。」
朔之介が答えると、不思議そうな顔で言った
「じゃあなんで、そんな熱心に捜査してるの?」
その言葉に朔之介は悩んだ。
(確かに、なんで僕こんな熱心に捜査してるのかな?)
んーっと声を漏らし腕を組みながら悩んでいると美波はクスッと笑った。
「!!笑った!」
美波は驚き目を丸くした、そしてまた笑い始めた。
「ふふふ、貴方面白い」
(面白いか??)
朔之介は納得はいってないが、美波が笑ってくれた事で笑顔になった。二人で笑っていると美波の手を夏越が取り言った。
「こんな奴らと一緒に入れるか!行くぞ美波!」
「あっ」
美波は悲しそうな顔をし夏越と去って行った。
朔之介は少し落ち込み父親の方を見ると顔を真っ赤にしており今にも爆発しそうだった。
「お、お父さん〜」
「もういい!!他の人は」
父親が後ろを見ると赤平しかいなかった。
「トイレだよ、すぐ戻って来る。」
その言葉に安心したのかふぅ~と息を吐き赤平に言った。
「皆を、ここで待っててください、見に行きたいところがあるので。」
朔之介の手を取っていった。
「矢久保が乗ってたあれを調べよう。」
「どうやって?」
「ゴンドラに乗るところが何処かにあるはず、ここに入る前ゴンドラが全く見えなかったからな。」
父親は自信満々に言い、最上階へ向かった。