第三章 地獄と化したビル
父親は皆に会場に戻るように言った。
「生意気な!てめぇなんなんだ!」
不安でたまらない三森が大声を出す
「黒田くんはね、元刑事さんだから、安心しいいよ。」
赤平は優しい声で三森の肩を叩く、皆も安心して会場に戻る。
「よろしくだぞ元刑事さん!」
赤平は父親の緊張をほぐそうと笑顔で言った、会場に行く道をUターンして赤平は朔之介に優しく
「朔之介くんも安心しな」
と言って去って行った。
「それじゃ私たちも行こうか、美波ほら来なさい」
美波の手を強く引っ張りながら戻っていった。
「あの人怪しいよな」
「え?」
父親の急な発言に驚き目が大きく開いた。
「父親の感って奴だよ、とりあえず行こう。」
エレベーターに乗り会場に向かう。
「いいか何かあったら俺に言え、子供よりは相手にしてもらえるだろう、後サーバーのことは絶対に言うなよ!」
強く念を押され皆が待っている会場に入ろうと扉に手を伸ばした瞬間大きな扉が開き皆がバラバラに出ていった。
「なっ何だ!」
「すまない、黒田くん止められなかったよ。」
さっきの勢いで倒れた父親に手を伸ばす。
「ありがとうございます。何があったんですか?」
「それがな」
――数分前――
「どうしましょう?」
「大丈夫だろ、食料とかあるし非常食もあるよな?如月ちゃん」
「はいあります」
「まぁそんな固まるなって話」
色んなことがあって固まっている皆を和らげるように話した。
「可哀想に矢久保事故で落ちるなんて。」
皆は悲しい顔をした、矢久保は念願の天国ビルを建てパーティーの最中に亡くなってしまった。そんな悲しみの中夏越は大きく声を上げる
「事故じゃない!!」
その声に皆は夏越の方を見る
「は?どうしたの急に夏越くん」
「いいかよく聞け、これは殺人だ!」
三森が震えた声で言う。
「根拠ないでしょ!!」
「あるんだなそれが」
「……」
「サーバー誰かに壊されてたんだ意図的にだ!みんなをここに閉じ込めるためにな!」
皆に不安が襲いかかる、自分が殺されるかもしれないそんな恐怖が皆をおかしくした
「うぁああやだやだもうここいたくない」
「ちょっと黒田くん待とうよ。」
出ていこうとする皆を止める赤平、だがおかしくなってしまった皆を止めることはできなかった。
「はぁ大体わかりましたよ、どうしてくれるんですか?夏越さん」
父親は呆れながら言った。
「俺が悪いか?危機感を持たせたんだ」
ドゴッと鈍い音がした。
「ふざけるな!なんで」
「ふざけるなはこっちのセリフだ!朔之介あの子気にかけとけ。」
父親は扉を出て皆を探しに行った、赤平も続いて出ていった、会場には朔之介と夏越親子が残っていた、朔之介は父親の言葉を思い出す。
(あの子を気にかけろ?美波さんのことか?)
美波の方を向くと外を眺めながら何か描いてる。
「美波さんさっきはごめんね。」
「……なにが」
冷たすぎる答えに朔之介は全身が固まる
(怖い、)
朔之介は頭の中で推理を始めた。
(あの時、会場を出ていたのは矢久保を除くと3人矢久保と喧嘩をし出ていった桐生士郎、その桐生を追いかけ出ていった如月玲奈、乾杯直前に会場を出た夏越美波、今のところ矢久保を殺す理由があるのは喧嘩をした桐生)
朔之介の推理を止めたのは、叫び声だった。
「きゃあああああああ!!」
声の主は西園寺だったその顔は真っ青、父親は駆けつけ質問をした。
「何が起きた?」
「人が落ちた。」
朔之介は周りを見渡す。
「桐生さんは?」
皆が周りを見渡す、桐生の姿だけ見えない、皆は慌てて警察のものに向かった、警察は焦っておりこちらに気づいていない警察の間から見えたのは地面に叩きつけられた桐生 だった、血はアスファルトに広がり、花のように咲いていた。
「嘘だ!」
入り口には顔に傷がついた警察が窓に紙を押しつけながら立っていた。
「何処から飛び降りたかわかる?」
父親は紙で会話を始めた。
「わからないです」
「探して」
続けて紙をガラスに押し付ける。
「みんないっしょに」
警察の指示に従い、桐生がどこから飛び降りたのか探したが一向に見つからなかった、屋上には鍵が掛かっており、硝子にはヒビ一つ付いていなかった。
「屋上には行けなかった、無かったガラスにはヒビすら入ってない」
顔に傷がついた警察は驚き頭を掻きむしり紙に文字を書いた。
「わかったみんないっしょにかいじょうにいろ」
皆は会場に戻った、会場は静寂に包まれる。
「何をしているの?西園寺さん?」
「黙れ!」
顔を真っ赤に答えた、西園寺は机の上グラスを何個も落としながら何かを探している。
「どうして、どうして、どうして」
西園寺は座り目には涙を浮かべていた。
会場は再び静寂に包まれた。
「硝子の死神みたいだな。」
その言葉に三森は声を上げる。
「言うなよ!!なんで言っちゃう??」
「だって飛び降りたのに屋上には鍵が掛かっており、ガラスにはヒビ一つないなんて硝子の死神の噂じゃないか!」
「うわぁー!!」
三森は会場から出た。
「またかよ!」
父親は机を蹴る。
「あっちょっ」
西園寺も続いて会場を出た。
朔之介は父親に耳打ちした。
「事情聴取してよ、あの二人は僕が探しに行くから。」
「気をつけろ何かあったら電話わかったな?」
朔之介はグッドサインをし出ていった。
父親はまず赤平に話を聞いた。
「赤平さん、ちょっと聞きたいことが」
「何でも聞いていいぞ」
悩んだ挙句ズバッと聞いた。
「矢久保さんと桐生さんを恨んでる人いますか?」
赤平はんーっと悩み小さな声で言った。
「いるよ、如月さん彼女は母子家庭だったんだけど、その母親を矢久保が殺したんだ。」
「え?!」
父親は飛び上がるほど驚いた。
「馬鹿!実際には自殺に追い込んだって感じ、母親のことバラされたくなければって脅されて、秘書やってるらしいよ。」
「バラされたくなければ?」
「そう、内容は知らないけどね。」
赤平との会話が終わり次に話題に上がった、如月に話を聞きに行った。
「質問いいですか?如月さん。」
「はい、いいですよ」
さっき赤平に聞いたことを思い切って聞いてみた。
「なんで?!」
そのなんでには色んな意味が入っているように聞こえた。
「何処で聞いたかは言えません、質問にお応えください。」
「…………」
如月は口を固く閉ざしている。
「だんまりですか、質問を変えます、矢久保桐生を恨んでる人心当たりありますか?」
「小野寺さんと西園寺さん、あの二人と喧嘩をしているのをみたことある。」
如月は早くどっかいけと言う雰囲気を出していたので、父親は追加の質問をせず、小野寺の方へ向かった。
「こんにちは、小野寺さん質問よろしいですか?」
「はい、何でも聞いてどうぞ!」
如月に聞いた話をした。
驚きはぁーとため息をして話始めた。
「なんで知ってるんですか?まぁいいですけど僕と西園寺さんは建設に関わっていたんですけど問題が起きて、喧嘩になってしまったんです、こんな面倒くさい仕事を押し付けられたのは喧嘩が理由でしょうね。」
また大きくため息をつき話を終えた。
「もう一つ質問です、あの二人を恨んでる人はいますか?」
指を差し言った。
「夏越さんだよ、桐生さんと喧嘩してたよ。」
父親は感謝し夏越のもとに向かった。
「夏越さ――」
「わかってる!質問だろ確かに俺は桐生と喧嘩したでも殺すほどじゃねぇ!」
言葉を遮り大きな声で言った。
「けんか――」
「金だよ!金!喧嘩の内容は金!あいつらを恨んでるのは如月!小野寺!西園寺!これでいいか!」
怒涛の勢いで押し押せた言葉に少し戸惑いながら父親はいった。その言葉に如月と小野寺が出ていった。
「わかりましたから、ちょっと2人」
夏越は父親を睨みチッと舌打ちをしながら出ていった。
「はぁ」
次に美波に話しかけた。
「何か知らないか?」
「…………」
(まぁ知ってたよ、大丈夫かな、朔之介)